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オフィスのための作品、求む!マネックス証券の現代アート公募プログラム「ART IN THE OFFICE」とは?

「ART IN THE OFFICE 2011」受賞作品「CHARACTERS」

「ART IN THE OFFICE 2011」受賞作品「CHARACTERS」

会社のオフィスに現代アート!?

この異色のコラボで新進アーティストを支援するユニークな公募プログラムが、マネックス証券株式会社(以下、「マネックス証券」)の「ART IN THE OFFICE」です。

「ART IN THE OFFICE」は、マネックス証券の社会文化活動の一環として、特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]の運営協力を得て、2008年から毎年開催されているプログラム。

マネックス証券本社の会議室に展示する作品アイデアを新進アーティストから募集し、キュレーターやギャラリストといった現代アートの専門家と、マネックス証券の社長ら実業界のリーダー、あわせて5名が、合議制でこれを審査します。受賞したアーティストは、マネックス証券本社の会議室で制作活動し、ここで生まれた作品が、約1年間、そのまま展示されます。

「ART IN THE OFFICE 2011」では、75の応募作品案から、渡邊トシフミさんの「CHARACTERS(キャラクターズ)」が選ばれました。白クロッキー紙と2色の水彩絵の具というシンプルな画材で、ヒトや動物、宇宙人など、様々な生物の表情を描くドローイングを245枚並べた、縦1.6メートル、横10メートルの作品です。曲面となっている会議室の壁一面をカラフルに彩り、みんなが笑いあえる明るい世界が表現されています。

曲面の壁一面をカラフルに彩る作品

曲面の壁一面をカラフルに彩る作品

「ART IN THE OFFICE」の最大の特徴は、この会議室にマッチする現代アート作品を、その場で制作すること。会社のオフィスに相応しい作品でなければならないのはもちろん、曲面の壁にフィットする平面作品であること、剥離する作品や臭いを放つ作品はNGなど、多くの制約条件があります。アーティストにとっては、これらの制約のもと、「その空間で、何をどう表現するか?」、クリエイティビティの真価が問われる大きなチャレンジの場。

実際、「CHARACTERS」を制作した渡邊さんも、色の相性のみならず、照明の光なども考慮し、ドローイングの配置に苦心したとか。とはいえ、制作期間中、マネックス証券の本社に通い、会議室で制作活動に取り組んでいるうちに、新しいインスピレーションが湧き、ドローイングの色調などにも変化が生まれたそう。当時の制作活動を、「苦労したけれど、楽しい思い出しかない」と、振り返っています。

「ART IN THE OFFICE 2011」で受賞した渡邊トシフミさん

「ART IN THE OFFICE 2011」で受賞した渡邊トシフミさん

「ART IN THE OFFICE」の作品は、1年間、マネックス証券の“顔”としての役割を担います。この会議室は、報道関係者から取材を受けたり、経営陣が重要な経営テーマを議論し合う場として、日常的に利用。マネックス証券の社員が、現代アートに触れる場にもなっています。位置によって様々な表情が目の前に広がり、そのときの気分によっても目に留まるドローイングは異なるそう。個性あふれる“CHARACTERS”に囲まれた空間にいると、潜在的なクリエイティビティが刺激され、新しいアイデアがどんどん湧いてきそうですね。

「ART IN THE OFFICE」は、会社のオフィスをアート表現の場として活用し、新進アーティストに門戸を開いて、その制作活動を支援するとともに、現代アートの潜在的なパワーを社内外にもたらそうというユニークな取り組み。企業とアートとの新しいコラボレーションの可能性を示す例ともいえそうです。

「ART IN THE OFFICE」について調べてみよう。