2011年1月から2月にかけて世界中が注目した「エジプト革命」。ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルネットワークが人々をつなぐコミュニケーション手段となり、ムバラク政権に反発する大規模デモが次々と勃発。ついに、29年間の長期政権にピリオドが打たれ、現在、エジプトでは、本格的な民主化に向けて動きだしています。では、あのとき、あの瞬間、実際、何が起こっていたのでしょう?これを記録するドキュメンタリー映画が、ユニークな方法で製作されています。
エジプトの映画監督Amr Salama氏らのプロジェクトでは、エジプト革命の象徴「タハリール広場」の様子を記録するドキュメンタリー映画「Tahrir Square: The Good, The Bad, The Politician」の製作に取り組んでいます。中でも、Salama氏は、政治的な観点からこの出来事を検証する「The Politician」を担当。「ムバラク氏はどのように独裁者となり、民衆のパワーによってどのように崩壊していったのか?」を描こうと構想しています。
この映画製作における画期的な特徴は、ツイッターを通じて、映像コンテンツを一般の人々から集めている点。Salama氏が、公式ツイッターアカウントで、エジプト革命時のタハリール広場の様子を撮影したコンテンツの提供を呼びかけたところ、合わせて300ギガバイト分ものデータが集まったとか。一連のデモに参加した多くの民衆たちは、自分の周りで起こった出来事を携帯電話やスマートフォンで撮影し、「政権がどのように崩壊し、民衆はこれにどう立ち向かったのか?」というリアルな姿をオンライン上で共有していましたが、これらの貴重な記録が、Salama氏らのドキュメンタリー映画の中でもまとめられるそうです。
多くの人々のそれぞれの視点から記録され、広くバラバラに点在する”事実”たちが、ソーシャルメディアを通じて集約され、ひとつの作品としてまとめ上げられる―。Salama氏の取り組みは、クラウド時代ならではの映像製作のカタチといえるでしょう。
[via FastCompany]