以前、greenz.jpでも紹介したKickstarterのように、だれかのプロジェクトだったり、作品制作などを支援して、”パトロン”になることができるサービスが、今年日本でも盛り上がりそうです。
今回紹介する「Grow!」は、気軽に誰かのパトロンになることができるサービスです。”ソーシャルパトロンプラットフォーム”というコンセプトのこのサービスは、これからの消費に対する価値観を変えるかもしれません。
それでは、Grow!とはどんなサービスなのか。まずは簡単にGrow!について見てみましょう。
Grow!の仕組み
コンテンツクリエイターの新たな収益化、情報伝播の仕組みを生み出す。
創作を愛する人々が、各個人の主観に基づく本質的な価値設定を行う機会を創出する。
クリエイターとその作品を愛する人々の、創作を軸としたソーシャルグラフを構築する。
Grow!のビジョン
簡単にGrow!の機能を説明すると、このサービスはコンテンツが載っているサイト上に、Growボタンを設置して、そのボタンをクリックすることでそのコンテンツを作ったクリエイターに対して、ポイントをあげることができ、そのポイントは換金することができます。コンテンツクリエイターはそのポイントを換金し、マネタイズを行うことができるというもの。
クリエイターとして、Grow!してもらうにも、好きなクリエイターにGrow!するにも、アカウントが必要になります。アカウントの作り方は以下の通り。
1.アカウントの作成
Grow!トップページの「Join」または、各サイトに設置されているGrow!ボタンから、新規登録。
2.Twitterとの連携
新規登録が終わったら、Twitterと連携。Twitterを選択して、表示される認証画面で「許可する」をクリック。この設定をすることで、Grow!したことがTwitterに流れるようになります。(facebookとの連動は後日行われるそう。)
3.Grow!ポイントの購入
次にGrow!ポイントを購入。Grow!の決済は現在PayPalを通じてのみ可能。Grow!ポイントは100pt=1$となっています。PayPalがその日の円・ドルレートに応じて自動的に計算してくれるそうなので、とくに苦労することなく、円・ドルのどちらの通貨でも購入することができます。
4.Grow!してみる
Grow!ボタンが設置されているコンテンツが気に入り、それを作った人を応援したいと思ったら、Grow!(ボタンをクリック)しましょう!クリエイターに100ptが贈られ、そのコンテンツにGrow!したことをTwitterやFacebookなど連携しているソーシャル・ネットワークに流すことができます。
“スターバックスの紙コップ利用を減らすためのアイデアコンペに優勝したのはコップのデザインではなく、“行動”をデザインするものだった!! | greenz.jp グリーンズ” に “Grow!”しました。 http://grw.sc/VC
greenz.jp編集長もGrow!してみました。
※greenzにもGrow!ボタンを設置してみました!各記事に表示されるので、よかった押してみてください!
このようにひとつひとつの記事といった細かなコンテンツにもボタンを設置することもできるし、greenz.jpというメディア全体へのGrow!ボタン、という大きな単位での設定もできるそうです。
Grow!のWeb画面では、Grow内でもフォローすることができ、自分の友人がどんなものにGrowしたのかを見ることができます。
このように支援している様子をオープンにできるため、自分のフォロワーに自分がどんな人を応援しているのか、ということを知らせることができ、ウッフィーの獲得につながります。
このように新しいコンセプトのサービスですが、いったいどのようにしてこのサービスを考えるに至ったのか。Grow! Inc. COOのカズワタベさんに、Grow!の誕生の経緯や、その先の目指す社会について、お話を伺いました。
1986年生まれ。洗足学園音楽大学総合音楽科卒業
在学中よりクラブジャズバンド”Tough&Cool“において、ギタリストであると同時にリーダーとしてプロデュース、ディレクションに尽力し、アルバムをリリースするなど精力的に活動。
同時にプランナーとしてソーシャル・パトロン・プラットフォーム”Grow!”のコンセプトプランニングに携わり、法人設立と同時にCCOに就任。サービスのブランディングを中心とした、クリエイティブ・ディレクションを行っている。
Grow!が生まれた背景
リーマンショックなどの影響を受けて不況になってから、生活必需品でない、創造的なものに対して消費が行われづらくなったことを感じていました。自分は「イノベーションは創造からしか生まれない。」と考えていて、クリエイティブなものに対する持続的な投資が行われないと、社会は良くなっていかないと思ったんです。
「“クリエイティブ”が定価なのはつまらない。」
クリエイター向けのウェブサービスの充実、ソーシャルメディアの発達により、創作物の発信手段は多様になりました。 発信手段の多様化に伴って、そこに対しての人々の惹きつけ方、消費の仕方、いずれも変化が必要なのではないかと感じていました。
これまでの資本主義の大量生産・大量消費社会では、モノはパッケージ化され、多くのものに定価が付きました。ですが、創作物の価値は本来もっと流動的であり、受け手が能動的に設定して良いものです。
自身も音楽活動をされているカズワタベさん。名の知れたアーティストでさえ、音楽だけでは食べていけない状態になっているような現状は問題だと考え、Webを使って、クリエイターとユーザーを直接つなぐことができれば、問題を解決できるのではと考えたそうです。
「ソーシャルグラフを貸してあげる。」
クリエイターを支援しようと考えたときに、ひとりの人間がおもしろいと思ったということ自体を、多くの人の目に触れさせことも重要になります。つまり、収益化だけではなく、バイラルの仕組みも必要だと考えました。バイラルさせる手法として、Grow!は支援するユーザーのソーシャルグラフを利用するという手法をとっています。これはTwitterやFacebookなどソーシャルメディアが普及することで可能になりました。
Grow!が広まることで見えてくる社会
Grow!は「有料と無料の間」の価値観をもたらします。普通に生活していて、消費者が能動的に価値を設定する機会はほとんどありません。それは思考停止の状態だと思っています。素晴らしい創作物に触れて、自分の感情が揺り動かされたとき、その感動は人によって異なります。ならば、支払う価値も個々人が設定するべきではないでしょうか。
“パトロン”という価値観
Grow!は消費に対する価値観を変える可能性のあるサービスだと考えています。Grow!すること、つまり誰かの「パトロン」になるということは、好きなコンテンツの価値を自らの意思で決定し、自らの意思でお金を支払うこと。
自ら価値を決定し、支払うかどうかの決定も自らが行う。これは「フリー」や、「シェア」と呼ばれているような価値観の変化に近く、”消費”に対する意識の変化を促すものだと考えています。
このサービスが登場することで、人々の”消費”や”クリエイティブ”なモノに対する意識が変化するきっかけになるのではないでしょうか。
これからの消費のスタイルに影響を与えたり、クリエイティブな活動を活発にする可能性大のGrow!のこれからに期待です!