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半世紀の時を越えて伝わるやさしさとメッセージ 『レイチェル・カーソンの感性の森』

greenz/グリーンズ レイチェル・カーソンの感性の森

レイチェル・カーソンを知っていますか?「大好きです!」という人から「名前は聞いたことあるけど…」という人までさまざまだと思いますが、『沈黙の春』はほとんどの人が聞いたことがあるでしょう。そしてその本が環境問題を扱った先駆的な本であることも。そんなレイチェル・カーソンからのメッセージが詰まった映画が現在公開されています。

この映画を何の予備知識もなく見ると、びっくりしてしまいます。映画はカイウラニ・リー扮するレイチェル・カーソンに対するインタビューではじまります。普通は、そこから物語が展開されるのだろうと予想しますが、この映画はすべてがインタビューの映像で構成されているのです。

実は、これはこの映画がカイウラニ・リー自ら脚本を書いた一人芝居をもとにしているからなのです。カイウラニ・リーはレイチェル・カーソンの著作に感銘をうけ、彼女の遺作となった『センス・オブ・ワンダー』などをもとに、彼女の最後の1年を一人芝居という形で18年に渡って演じ続けてきました。それを映画にしたものがこの映画『レイチェル・カーソンの感性の森』(原題:A Sense of Wonder)なのです。

レイチェル・カーソンをすでに知っている、あるいは本を読んだことがある人は彼女の言葉をじっくりと受け止めることができるでしょうし、よく知らない人は本を読みたくなるだろうと思います。そのように感じられるのは彼女の言葉に力があるから。レイチェル・カーソンはもう40年以上前になくなってしまったわけだけれど、彼女の言葉はカイウラニ・リーの口を借りて生き続けています。

そして、映像であることで本に印刷された言葉からは感じ取れないものも感じることができます。それは「やさしさ」。カイウラニ・リー演じるレイチェル・カーソンからは「やさしさ」が強く感じられるのです。環境問題にいち早く警鐘を鳴らし、世界に議論を巻き起こすような著作を著したにもかかわらず、彼女の言葉や表情、立ち居振る舞いからは深いやさしさが感じられるのです。それは彼女の著作も言葉もすべてが自然への愛情から湧き出ているからでしょう。

「センス・オブ・ワンダー」という言葉は「神秘さや不思議さに目をみはる感性」という意味で、要は「子供の心」というようなものです。それを持ち続けたレイチェル・カーソンは、最後の著作でその心を皆に伝えたかったのでしょう。人工物によって感性を殺すのではなく、自然と触れることでそれを感じ取れるアンテナを持ち続けること、それこそが彼女が言葉とそのあり方によって私たちに伝えようとしていることなのです。そしてそれを感じ取ったカイウラニ・リーによって言葉以上のものとして表現されるそのメッセージをこの映画は発しようとしているのです。

アル・ゴアをして「『沈黙の春』がなかったら、ひょっとすると環境運動は始まることがなかったかもしれない」と言わしめるほど世界にインパクトを与えたレイチェル・カーソン。彼女のメッセージをあなたはどう受け止めるでしょうか?

レイチェル・カーソンの感性の森
2008 / アメリカ / カラー / HD / 16:9 / 英語 / 55分
監督:クリストファー・マンガー
脚本、出演:カイウラニ・リー
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト

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