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遺伝子組み換えにNO! ホンモノの食にYES!

Earth Day School Vol.3
2006年11月27日、アースデイ東京2007実行委員会主催の、「Earth Day School Vol.3」が開催されました。今回のテーマは「『ホンモノの食』を学ぼう!」。グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳さん・遺伝子組み換え問題ご担当のアキコ・フリッドさんが、健やかな人間を作るホンモノの食と、現在問題になっている「遺伝子組み換え食品」についてお話しました。

――最初に、星川淳さんからご自身の経験から思う「ホンモノの食」と「遺伝子組み換え問題」についてのお話です。

「二十歳をすぎたころから、日本や海外で、お米や野菜を作りはじめました。そして30歳ころから本格的に、自分の作った食べものだけで生活しはじめ、東京に出てくるまでは屋久島に住んでいました。やはり現代文明よりは、もっと人間同士仲良くして、長続きするような世界がいいな、と思っていたからです」

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「そして、そういう世界を思い浮かべながら、気持ちのいいように実践していたら、お米や野菜を自分で作っていた、というような感じですね。

野菜・果物・お米……いろんなものをいろんなやり方で作りました。自分で作った食べ物、というのは、自分で作った充実感や安心感だけでなく、すっごくおいしいんです。昔から「手前みそ」という言葉がありますが、あれはやっぱり自分の家で作ったみそやしょうゆに、その家の菌や空気がついているから、いちばんうまい、ということなんだろうと思います」

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星川淳さん

「自分で作っていると、『旬』を実感することができます。やはり旬のものをきちんと食べたほうがいろいろといいんですね。どんなサプリメントよりも、最高だと思います。そして、季節とともに食べるほうが自然とも、命とも調和します。

たとえ自分で作れなくても、身近で、顔が見える人の野菜を買うと、つながりの安心感、というものもありますね。外国のものもすばらしいけれども、作っている人の顔の見えない、不安なものです。空気を汚したりもする、石油を使って運んでいますしね」

「実は『食べる』ということを軸にすれば、平和・安心・伝統・心の平安……などなど、全部につながってくると思っています。今、心を病む人や問題を抱える人が増えていますが、きちんとした食べ物を食べれば、そういうことはおこらない、と僕は思っているのです」

「グリーンピース全体としてはこの遺伝子組み換え問題に1996年くらいから取り組んできて、もう10年が経ちます。遺伝子組み換え作物の栽培を阻止するため、世界中で色々な成果をあげてきました。日本でのキャンペーンも好調なスタートを切りました」

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「現在、スーパーの棚に並んでいる多くの食品に、遺伝子組み換え作物からつくった原料が使われているのです。しかし、きちんと表示もされていないし、知らない間に食べさせられている、という状況なのです。

遺伝子組み換えというのはどういうことか、みなさん大体はご存知かと思います。生物の進化は、長い長い時間をかけて、少しずつ生き抜いていくための性質を育てていったものですが、遺伝子組み換えは、種の壁を越えて、急速につくられたものです。しかも、非常に特殊な目的のために。

たとえば、雑草が作物のまわりに生えてめんどうくさい。だから除草剤をかけても枯れない作物品種をつくろう、というわけです。遺伝子組み換えには相当なお金がかかるし、一握りの多国籍化学薬品会社が特許を持っていますから、だれでもつくれるものではありません。今までは、自分のところで先祖代々伝わってきた種を植えていましたが、遺伝子組み換えの作物は種にも仕掛けがあるんです」

「そのうえ、種をとっておいても、発芽しないような遺伝子組み換えをしていたりもする。要するに、限られた多国籍企業が、自分のところの種を毎年毎年買わないとやっていけないような構造にしようとしているのですね」

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「日本に、どんどん入ってきている遺伝子組み換え作物には、ダイズ、ナタネ(カノーラ)、トウモロコシ、コットン(綿)があります。どれも、日本の食品加工の現場で驚くほど多く使われています。どれからも、油が搾れますが、『遺伝子組み換え作物を使った』と表示しなくてもよいそうです。それからコットンは綿素材として多く使われていますが、最近の綿製品はどうも遺伝子組み換えのものが多いようです。

また遺伝子組み換えでない原料を調達しても、流通過程で意図せずに遺伝子組み換えの種が混ざってしまうこともあります。日本では、混ざっていても5%以下なら表示しなくてもよいそうです」

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「それから、遺伝子組み換え農作物の周囲の環境も深刻です。トウモロコシの原種が多くあるメキシコでは、遺伝子組み換えトウモロコシによって、原種が汚染されているそうです。オーガニックで農業しようとしている人たちにも深刻な被害を与えています。

また、輸入した遺伝子組み換えナタネの種が道に落ちて、たくさん生えてきています。グリーンピースでは、このナタネを刈り取って、この種がやってきたカナダへ返す、というアクションもおこしました」

「最初にお話した食の話にもどりますが、僕は最初にいったような『ホンモノの食』の世界を作りたいのであって、子どもにも伝えていきたい。遺伝子組み換えはまったくそれとは方向が違いますね。ですから、遺伝子組み換え食品はいらない、という行動をぜひとっていきたいと思っています。

それにはまず『買わない』という選択ができる、ということが必要だと思います。そこでまずガイドブックを作って『買わない選択ができる』ということを可能にしようと思いました。そのガイドブック『トゥルーフード・ガイド』については、遺伝子組み換え問題担当のアキコ・フリッドにバトンタッチしようと思います」

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熱心に話を聞く参加者

――次に、アキコ・フリッドさんから「トゥルーフード・ガイド」の紹介がありました。このガイドブックは11月末日現在で、申し込み数が6万部を超えているそうです。

「日本の消費者は、遺伝子組み換え食品を避けたくても避けられない状況にあります。トゥルーフード・ガイドが、行動する消費者のきっかけづくりになってくれればいいと思います(編集部注:詳しい使い方・内容は、こちらをごらんください)。これは、無料で配っています。グリーンピースに申し込んで頂ければ、送付もします。このガイドブックと同様のリストは、Webサイトや携帯サイトで検索して見ることもできます」

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トゥルーフード・ガイド
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アキコ・フリッドさん

「このガイドブックを使って食品を選択するほかに私たちができるアクションもいくつかあります。たとえば遺伝子組み換え食品を作っているメーカーさんに『私たちはあなたたちの食品が買いたいので遺伝子組み換え食品を使わないでください』とお願いする、ということです。

遺伝子組み換え問題キャンペーンでは、いわゆる不買運動ではなく、『私たちはあなたの会社の食品が食べたい。だから遺伝子組み換え原料を使わないで』と伝えられる、ポジティブな運動をすすめることができるのです」

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参加者全員にトゥルーフード・ガイドが配られた

――最後に、星川さんが「ホンモノの食」へたどりつくための第一歩についてお話ししました。

「『ホンモノの食』へ向かうための第一歩は『自分の食べているものというのは何か』ということを気にすることですね。表示を見たり、お店を選んだり……。次には、作っている人たちとおつきあいをしたり、手伝いをしたりする……。

そういう方向でしか、確実にホンモノの食にたどりつく道はないと思います。そして、どうやって作られたのかまったくわからない外国のものよりも、日本のものを大切にしていく、ということなのではないでしょうか」

日本では、遺伝子組み換えされた農作物の商業栽培は行われていないのだそうです。つまり、日本で作られた作物を食べていれば、遺伝子組み換えの食べものに「ノー」をいう第一歩になるのかもしれません。

「ホンモノの食」には、まず「顔の見える食べ物」から。長年の実践者としての星川さんの言葉に、参加者の方々も深く実感しているようでした。

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ためになるお話、ありがとうございました!