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「ただ、離島で暮らしたい」を応援する。離島専門引越し業者が開いた、“島と私”のほどよい距離感を育む「シェアハウスBAY 上五島」

「ただ、離島で暮らしたい」を応援する。離島専門引越し業者が開いた、“島と私”のほどよい距離感を育む「シェアハウスBAY 上五島」
[sponsored by アイランデクス株式会社]

長崎県・佐世保港から五島列島行きのフェリー乗り場で入船を待つ人たちの中には、どこか浮き足だった様子で島に“旅する”人たちだけでなく、フェリーに乗り慣れた様子で島に“帰る”人たちの姿も多くあります。

上五島を訪ねるまで、人生に離島という選択肢を加えたことのない私にとって、「離島」という言葉の響きには、今ここにある日常とは遠く離れ、違う時間が流れる別世界のような雰囲気がありました。しかし本当はこうやって、交通や物流の発展によって、それを動かす人の手によってつながっています。フェリーや飛行機で、明日にも向かうことができるのです。
そしてそこには、人生を離島で過ごす人々の、日常があります。

海上で揺られること、2時間35分。到着した先は、「上五島」の中通島(なかどおりじま)にある有川港。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

五島列島は、“五島”とは言っても、実際には大小150余りの島々からなる群島。その中で、主な5つの島である中通島・若松島は「上五島」、福江島・久賀島・奈留島は「下五島」と呼び分けられる

「ようこそ」とメッセージボードを掲げるホテルやツアー会社の人に紛れて、真っ青なTシャツで私たちを迎えてくれたのは、アイランデクス株式会社の代表・池田和法(いけだ・かずのり)さん。初めましての照れくささを紛らわすかのように、「まずは海を見に行きましょう」と、くるりと振り返った背中には「人生に離島を」の文字がありました。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

池田さんの背中で見る「人生に離島を」は、他人に勧めたり提唱したりするのではなく、池田さん自身にある確かな意志や思いとして刻まれているように見える

8年前に池田さんが立ち上げたアイランデクスは、全国に416ほどある有人島のうち、北は北海道・利尻島から、南は沖縄県・波照間島まで、約80島への引越しを請け負う「離島引越し便」をはじめ、車両輸送なども行う、離島への物流事業を主とする会社です。福岡県に本社を置きながら、九州の8つの島に自社スタッフが常駐する営業所も構え、全国各地で関係を築いてきた運送パートナー(協力会社)と連携しながら全国で年間約800件、法人化してからの8年間に累計約3,000件の離島への引越しを手掛けてきました。

全国でも数少ない離島専門の引越し業者であるアイランデクスが、近年新たに始めたのが、離島でのシェアハウスの運営です。なぜ、引越し業者がシェアハウスを運営しているのか。そこではどんな人が、どんな暮らしを営んでいるのか。2025年11月、宮古島・福江島に続き、アイランデクスにとって3軒目となる「シェアハウスBAY 上五島」がオープンしたと聞いて、訪ねました。

地域の人を癒す場所から、地域と人をつなぐ拠点へ

シェアハウスBAY上五島は、有川港から車で6分の七目郷(ななめごう)集落にあります。地域の人には、シェアハウスの名前を言って分かってもらえなくても、「七目郷の整骨院」と言えばピンときてもらえます。ここは、先祖代々地域住民に親しまれる鍼灸師だった大家さんが整骨院を開き、島に暮らす人々を癒してきた場所です。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

集落の中に薄緑色の外壁が目立つ、シェアハウスBAY上五島。どこか公民館のような雰囲気もあり、日頃の疲れをメンテナンスする場所として、地域の人々が集い親しんでいた名残も感じられる

整骨院としては閉院し、空き家となっていたところをアイランデクスが借り受け、少しずつ手を加えて、2025年11月より正式に入居者を迎えてシェアハウスとコワーキングスペースとして新たに始動しました。

当初、売却のみで空き家バンクに登録されていた物件でしたが、池田さん自ら大家さんの親族に会いに行き、島に暮らしたい人を受け入れるシェアハウスにしたいということや、地域の方々にも愛着を持って受け入れられる場所にするために、まずは賃貸で借りて運営しながら、近隣住民の信頼を得た上で将来的な買取を考えたいという思いを伝えたところ、「そういうことならぜひ」と応援してもらうかたちで実現したそうです。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

上部に整骨院時代の院名がそのまま残る扉に、まだ使い始めたばかりの張りのある暖簾が重なる

シェアハウスBAY 上五島グリーンズ

整骨院として使われていたスペースは、シェアハウス住民以外も利用できるコワーキングスペースに。この日利用していたのは、シェアハウス住人でwebマーケターの野村さん。シェアハウス住人は無料で利用できる

シェアハウスの玄関は、表に面しているコワーキングスペースの出入り口とは別にあります。元々、現在のコワーキングスペース部分が整骨院として使われており、奥側のシェアハウス部分は住居として使われていました。玄関を上がって左手にある共有スペースのキッチン&リビングは広々として明るい空間でありながら、家のように落ち着くアットホームな雰囲気もあります。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

池田さん(写真左)に案内していただき、シェハウスへ。生活用品や家具は、必要なものがコンパクトに置かれており、すっきりと整っている。共有スペースでは、集まって食事をしたりおしゃべりが盛り上がることもあれば、同じ空間にいてもそれぞれ思い思いに過ごす時間もあるそう

個室は全部で4部屋。広さや部屋の種類に合わせて、賃料は25,000円〜43,000円(共益費として別途7,000円)。取材時は満室のため中を見ることはできませんでしたが、池田さんと、アイランデクスの社員でありシェアハウスのホスト(管理人)を務める三好正哲(みよし ・まさのり)さんがシェアハウスの日常や、住人のみなさんの暮らしぶりを教えてくれました。

島と私の“あいだの時間”を、シェアハウスで過ごす

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

三好さん(写真左)は、趣味の釣り好きが高じて上五島に魅了され、昨年6月、アイランデクスへ入社するタイミングで出身地の福岡から上五島に移住。「人のために何かすることが好き」と話す三好さんは、シェアハウスの住人にとって頼れる身近な相談役

三好さん 現在入居している4名は、シェアハウスBAY上五島として迎えた最初の住人です。一人目として入居された野村さん(30代、webマーケター)は、上五島への移住を視野に入れて、今のところ期限を決めずに長期滞在中。野村さんに続いて入居された20代の女性2名は、元々それぞれ別の物件を借りて島内で一人暮らしをされていましたが、住まいの環境や暮らし方として「シェアハウス」に魅力を感じ、引越してこられました。そしてもう一人、後でお話を伺う中川美紀さん(50代、農家)は、島での暮らしを体験する目的で北海道から来られ、約1ヶ月間入居されています。

シェアハウスの入居までの流れには、複数回の面談が含まれます。実は、中川さんは一人目の入居決定者(実際の入居は4番目)。シェアハウスとして住人の募集を始めてから約8ヶ月間は、応募はあったものの、面談した上で見送る状況が続いたそうです。一日でも早く入居を受け入れた方が事業収入になるにもかかわらず、入居者を慎重に選ぶ理由には、池田さん自身が大切にしている考えがありました。

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(画像提供:アイランデクス株式会社)

池田さん 入居をお断りする理由はその人自身にあるというわけではなく、他の入居者とのバランスや、現在のシェアハウスの状況を考え、このタイミングで入居いただくのがお互いにとってベストではないという判断がほとんどです。

受け入れに関して明確な基準があるわけではありませんが、“距離感”は大切にしています。人と人の間に適度な距離感が必要なように、島と”私”の間にも必要な距離感があると考えていて、それが尊重されるシェアハウスでありたいと思うんです。

シェアハウスBAY 上五島グリーンズ

池田さんが使う「島と私」には、二つの意味があります。一つは、“地域”としての島と私の関係性。人生の選択肢の一つとして地方移住を選ぶ人が増える中で、その地域のために何かしようという明確な志を持って移住する人もいます。池田さんはそういう移住のあり方も尊重しながら、一方で、「全員がそういう人ではない」という認識をしています。

池田さん 「ただ、普通に島に暮らしたい」という移住もあっていいと思うんです。
地域の活性化の旗振り役になりたいわけではない。必要以上に稼ぐつもりもない。ただ、そこにある風景が好きで、人々とのつながりを大切にしながら、ここで生きていきたい。そういう理由で移住する人も尊重される社会になってほしいし、そうやって人生に離島という選択肢を加える人が増えたらいいなと思っています。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

池田さんに連れられて最初に訪れたのは、地元の人々に「ハマンナ」(みんなが集う浜という意味)と呼ばれ、日常的に親しまれる浜辺。言葉を失うような美しい海に、遠くに浮かぶ島々。目を閉じ、波の音だけに神経を集中させて、大きく深呼吸をすると、自分の中のスイッチが切り替わったのを感じた

もう一つの「島と私」は、“島に暮らす人たち”との距離感です。池田さんは、シェアハウスで過ごしている間は、島の人たちと入居者、双方にとって「逃げ道がある状態」だと言います。歴史的にも外から多くの異文化を受け入れてきた島の人たちは、移住者に対しても親切に接してくれる人がほとんどです。しかし、同じ地域で暮らし続けていくためには、お互いにどんな人なのかを見極め、その地域に合うかどうかを確かめる時間も必要です。いきなり距離を縮めるのではなく、お互いにとっての「あいだの時間」を過ごすことができるのもシェアハウスならではの良さです。

池田さん 上五島はまだ始まったばかりですが、2023年にオープンした福江島のシェアハウスでは、シェアハウス暮らしを経て、空き家バンクなどを利用して一軒家を見つけて定住する人もいます。宮古島では、空き家のリノベーションを請け負うグループ会社も立ち上げ、人生に離島を選ぶ人の後押しを進めています。

上五島にも空き家はたくさんありますし、空き家バンクもあるので、いきなり物件探しから始めることもできます。でも移住の場合、本当に探しているのは物件ではなく人とのつながりだったりすると思うんです。まずはシェアハウスで“あいだの時間”を過ごしながら人とのつながりを見つけて、定住したいと思えれば物件を探し始めてみる。その地域にシェアハウスがあることで、無理のない、段階的な移住が選べるようになるはずです。

シェアハウスBAY 上五島  
 グリーンズ

共有部分のリビング。最近はここで、三好さんがDIYで手づくりしたスクリーンを使って、住人のみなさんでホームシアターを楽しむことも多いそう。20代・30代・50代と、それぞれに人生経験が異なるもの同士、映画や配信番組などを見ながら、ああだこうだとおしゃべりを楽しむ時間はシェアハウスならでは

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

ダイニングテーブルの上には、誰かが見つけてきた木の実に、付箋が添えてあった。ちょっとしたところに、住民同士の静かなコミュニケーションの跡が重なり、この場所に適度なぬくもりを与えている

期待はしない。心地よい距離感をつくる共同生活

「これ、すごく素敵な取り組みなんですよ」と、シェアハウス住人の中川美紀さんが自室から持ってきてくれたのは、数冊の本でした。聞けば、新上五島町観光物産協会が取り組んでいる「旅の本棚」で借りてきてきた本だそう。

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中通島にある2つの港(有川港・奈良尾港)に設置されている「旅の本棚」には、島に暮らす人の、人生のヒントになった本や好きな本が寄贈されており、誰でも自由に島内に持ち出し、読むことができる。貸出期限は特になく、どちらの港に返却しても良いというゆるやかなルールで運用されている

本好きの中川さんは、シェアハウスから3kmの距離にある、町立の図書館にもよく行くそうで、「図書館なのに音楽がかかっていて、選書もとてもいいんですよ!」と、次々にシェアハウス周辺の暮らしの情報を教えてくれました。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

シェアハウスから徒歩20分の「蛤浜」は、シェアハウス住人にとって親しみのあるさんぽコース。遠浅の白い砂浜に透き通るような青色の海と、島々の陰影が美しい

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

シェアハウスのダイニングテーブルには、中川さんが蛤浜で一つだけ拾ってきたという貝が湯呑みに入って置かれていた。中川さんは、島暮らしの中での小さな発見のおすそわけがとても上手

すっかり島の暮らしに馴染んでいる中川さんの様子からは、この日でまだ上五島に来て2週間ほどしか経っていないというのが不思議なくらい。普段は北海道に暮らし、パートナーとともに畜産業を営んでいるという中川さんは、約1ヶ月の滞在を予定にシェアハウスに入居しました。聞けば、息子さんが成人し子育てが落ち着いてからは、毎年11月から1月にかけての3ヶ月間は一人旅に出るのが恒例になっており、家族も旅の思い出話を楽しみに、心良く送り出してくれるのだそう。

今年の旅先に上五島を選んだのは、これまで旅した沖縄や徳之島、奄美など各地の離島で出会った人たちに、たびたび上五島を勧められていたことがきっかけでした。行き先を上五島に決め、滞在拠点とする宿泊場所をネットで探していた時に見つけたのが、シェアハウスBAY上五島です。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

シェアハウス住人行きつけのスーパー(徒歩10分)の地元産品コーナーで見つけたという「コシポ」とラベルが貼られた果物を振る舞ってくれる中川さん。気になるものは食べてみる、気になる場所には行ってみる。なんとも軽やかなフットワーク

中川さんが宿として選ぶ環境は、旅先によっていろいろ。ビジネスホテルや旅館、民宿やゲストハウス、移住を検討している人向けのお試し住宅に泊まったこともあるそう。同じ宿に1ヶ月ほど長期滞在することもあれば、あえて1泊ずつ別々の宿に泊まってみることもあるといいます。

中川さん 一日の予定は、一つしか決めません。
今日はここのカフェに行こうと決めたら、歩いて向かう道中もぶらぶらしてみたり、ぼーっとしたり。予定を詰め込んで観光地を回るような過ごし方ではなくて、この地域に暮らす人たちの日常の中にある場所を訪ねてみて、行った先でまた「あそこに行ってみるといいよ」と教えてもらって、次の日はそこを目指してみたり。そうやってご縁がある場所を巡るのが、自分にとっての旅の楽しみです。

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「おしゃれなカフェじゃなくていい」と話す中川さんが連れていってくれたのは、集落の中にある元空き店舗で60代の夫婦が営む、地域の人々が憩うコミュニティスペースのようなカフェ。中川さんが出会ってきた上五島の人々は、みなさん親切で外から来ている中川さんにもオープンに接してくれるそう

まだ1ヶ月にも満たない滞在期間の中でも、すでに地域の人々との出会いを楽しみながら島暮らしを満喫している中川さんですが、初対面の人同士が共同生活を送るシェアハウスへの入居については不安もあったと言います。

中川さん 自分より若い世代の子との共同生活には、正直不安もありました。無理に上手く関係を築こうとしなくてもいいから、若い人たちの邪魔にならないように、大人しくしておこうというように少し心構えしていたんです。

でも、実際に入居の日に早朝のフェリーで到着してシェアハウスに来てみると、先に入居していた20代の女性たちが「ウェルカム美紀さん」とメッセージを書き置きしていてくれたり、早朝にもかかわらず起きてきてくれて、自ら買って出てシェアハウスの案内をしてくれたり。

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リビングには、住人同士の和やかな関係性がうかがえるメッセージボードが。画鋲で留めてあるのは、シェアハウス住人行きつけのスーパーの抽選券

共有のリビングでは、時に住人が集まって食事会を開いたり、ホームシアターを楽しんだりと一緒に過ごすこともありながら、基本的には個々の生活リズムを尊重して過ごしているそう。共同生活においてストレスやトラブルの原因になりがちなルールも、きっちりと決めることによって縛るのではなく、「できる時にできる人がやる」をベースにお互いを思いやることによって、無理をしないゆるやかな連帯感を生んでいます。

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中川さん 洗面所やシャワーを使う順番は、仕事の都合で出発や帰宅の時間が決まっている住人を優先して、時間に融通の効く人が「◯◯ちゃんが終わってから使おう」「◯◯さんが帰ってくる前にシャワーを浴びよう」などと相手のことを少し想像して、自然な心がけとして調整しています。共有スペースの掃除当番は1週間交代にしていますが、それも基本的にはできる時にできる人がやればいいという考え方です。

私も含め、今の住人は4人とも、「シェアハウスなんだから、できるだけ一緒に過ごすべき」というような期待を、いい意味で持っていません。だからといって関係が疎遠になるかというと、そういうことでもありません。ご飯は個々につくりますが、タイミングが合えばそれぞれつくったものを同じテーブルで食べることもあります。たまに集まって過ごしていても、「私は先に寝るね」と言えるし、「おやすみ」と返すだけでいい。それぞれのペースでそれぞれの生活を営む中で、ほどよい距離感はつくられています。

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シェアハウスから徒歩10分のスーパー。お惣菜から新鮮な鮮魚、地元産の野菜やもちろん五島うどんも、何でも揃う。マグロの解体ショーなどの催し物も頻繁に開かれており、シェアハウスの住民同士の話題にもよく上がるそう

1ヶ月という限られた期間の中で暮らしをともにする同居人たちのことを話す中川さんの表情には、入居前に抱えていた遠慮や心配はすっかり消えていました。世代や立場、経験してきたことが異なるからこそ、お互いにカバーし合ったり、面白がったり。「恋愛話なんて、すごく盛り上がるんですよ!」と楽しそうに話す中川さんに、残り少なくなった滞在期間を寂しく思わないか伺うと、この数週間の間に築かれた心地よい距離感を感じとれる一言が返ってきました。

中川さん 寂しいなと思いますが、寂しくなったらまた来よう、と。
もしも次に来ることがあっても、住人も変わっていると思いますし、ここでの暮らし方も今の住人4人での暮らし方とは違うかたちになっていると思います。でも、それでいいんです。「こうあるべき」の期待はせずに、その時々の暮らし方を楽しめれば。

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中川さんに連れられて見に行った、奈良尾(中通島南側の集落)のあこう樹。根が二股に分かれ、両足で地面に踏ん張るような姿が特徴の巨木は、樹齢670年を超え、高さ25m・幹周り13.9mという日本一の大きさを誇る、国の天然記念物

離島への引越しは、とびきり楽しいライフイベント

シェアハウスBAYを運営するアイランデクス代表・池田さんは、愛媛県出身の37歳。現在は、家族が暮らす福岡と、事業を行う各地の離島を飛び回るような日々ですが、2013年に一人で起業した後、離島専門の引越し事業を立ち上げたのは偶然の出会いからでした。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

2011年、神戸大学の大学院生だった池田さんは、東日本大震災を滞在中の東京で経験。未曾有の災害に多くの人が苦しみ、社会が混沌とする中で、「自分も何か始めなければ」という衝動に駆られて大学院を中退し、当てもなく起業したそう

池田さん 起業当初は、今後の事業内容については何も決まっていない状態でした。最初はタダ働きでもいいから、とにかく何か人のためになりたいという思いでいろいろなことにチャレンジしてみる中で出会ったのが、結婚を控えた奄美大島出身のカップルです。出会って数ヶ月後、結婚を機に奄美大島に引っ越すという二人から「島への引越しを手伝うなら、いくらでできる?」と、引越し業者ではない自分になぜか引越しの見積もりの依頼がきたんです。

よくよく話を聞いてみると、大手の引越し業者に見積もりをとったものの、値段が高いことに加え、そもそもあまり協力的でなく、困っていたといいます。お二人の力になりたいと依頼を引き受けた池田さんでしたが、離島どころか、人の引越しを仕事として手伝うことさえ初めて。どうにか無事に引越しを終えた時、お互いに泣いてしまうほど感動したのだそう。

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池田さん 引越しは面倒だという人もいますが、本当はとびきり楽しいライフイベントなんですよ。引越しや移住にはそれぞれの人生の背景があって、新しい生活の転換点に立ち会う瞬間でもあります。

さらに、離島への引越しは全てオーダーメイドです。
人工知能が台頭して、将来的にはほとんどの仕事がAIやロボットに取って代わられると危ぶまれる中で、引越しはどこまでも身体性を伴います。特に離島への引越しは、島までの運搬手段も、船や航空便が不可欠で通常と異なる手配が必要な上、特に晩秋から冬にかけては海が荒れやすく、予定していた便が欠航・遅延することも頻繁にあります。引越し先の港によって荷物の運搬に関するルールも異なり、協力をお願いする現地の人たちと年月をかけて信頼関係を築くことも重要です。港から新たな住居に荷物を運ぶ道の状況もそれぞれ。過去には、引き潮の時にしか渡れない場所への引越しに、水牛を使ったこともありました。

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離島引越しの課題の一つは、荷物の壊れやすさ。海上の揺れでダンボールの中身が破損するケースが多いことを受けて、離島引越し便ではより頑丈なオリジナルの段ボール箱を開発。引越し先でトラックを開けた時に、美しく揃ったダンボールに嬉しい気持ちになってほしいという思いで、積み上げた時にきれいに見えるデザインにもこだわっている(写真提供:アイランデクス株式会社)

離島への引越しは、業者側から見れば、手配にかかる工数も多く、リスクも高い。その上、池田さんによれば、日本の引越し市場における離島引越しの割合はわずか0.5%と言われているそうです。大手が離島への引越しに躊躇する中、池田さんは創業時、全国の中小企業の運送業者を周り、運送業のネットワークをつくることから始めました。今では、離島の引越しに強いアイランデクスに、大手から連携を依頼されることも多々あります。

池田さん 偶然の出会いから経験した奄美大島への引越しのことを当時のブログに書いたところ、その後も離島への引越しの相談が続きました。引越しを通して出会う、“人生に離島”を選ぶ人や、島の人たちは、おもしろく魅力的な人ばかりです。何かをやり遂げているから素晴らしいのではなく、ただそこに普通に生きているだけで素晴らしい。そう思える、人情味溢れるあたたかさや豊かな精神が、島の人たちと過ごす日常の中には溶け込んでいます。

こういう人たちが暮らし、その土地の歴史や文化をつないでいく場所として、島が豊かであり続けることはとても意味があることだと思います。だから自分たちは、離島のためにというよりも、人生に離島を選ぶ人を応援したいんです。そうやって自分たちが引越しを通して応援した人が、暮らしながら島を大切にしてくれたら嬉しいですし、そういう人を離島に運んでいることを誇りに思っています。

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シェアハウスから車で25分、中通島の西側の突端にある「頭ヶ島天主堂」。上五島出身の教会建築家・鉄川與助が手がけ、地元で採れる砂岩を使って、長崎や地元の石工、信徒も参加し建てたとされる。隠れキリシタンの歴史を現世に伝える教会はもちろん、上五島には日常の至る所に島の人々がつないできた歴史や文化を肌で感じる風景がある

自分が思う“豊かさ”を叶える場所として、「上五島」に出会う

「離島引越し便」を使って上五島に引越してきた人は、2025年だけでも20件以上。さらに全国の離島への引越しを累計約3,000件手がけてきた池田さんは、それだけの数の、人生に離島を選ぶ人に出会ってきました。

引越しや移住の理由はそれぞれですが、池田さんが出会ってきた離島を選ぶ人たちの持つ考え方には、魅力を感じることが多いと言います。

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池田さん ネットで買い物をするときに、送料や配送先の項目に「ただし離島は除く」と書いてあるのを見かけることがよくありますよね。自分としては、こんなに物流の技術が進歩しサービスが行き渡っても、まだ離島が例外とされていることに悔しくも感じますし、そういう社会を変えていきたいとも思います。

ただ、そういう不便さもある環境を自ら選んで引っ越す人には、より便利に、より早く、より大きく、ではない豊かさを見つけている人が多いですね。例えば、身近な人と時間を重ねる中で得られる信頼関係や、世の中の常識にとらわれずに自分にとって本当に大切なものや価値観を選びとれるような。そういう人にこそ、「そんな考え方って、いいよね」と応援される人生を送ってほしいという思いが、引越しやシェアハウスの事業にもつながっています。

私たちの事業によって誰かの人生に離島を加えるという選択肢が増えることは、自分の人生を自分で選ぶことの背中を押すことだと思うんです。

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取材中に出会った移動販売車で、漁港で働く女性たちに混じって島の郷土菓子「かんころもち」を購入しようと並ぶ池田さん。不便の中にも、共助によって成り立つ豊かな島の暮らしの断片を実感する

事業に対する池田さんの考えは、地域のためというよりも、まず、人のため。

上五島を車で回っていると、車窓には、青く透き通る海とそれを鏡で写したような青空、生命力溢れる緑に、人の手によって積み上げられた石垣。その中に、信仰の歴史を今に伝える教会が大切に守られている、そんな上五島ならではの美しい風景が広がります。

その風景をつくり、守り続けてきたのは、島に暮らす人たちです。池田さんは、美しい風景のもとに暮らす人々の存在も含めて、「上五島を、観光だけではなく“暮らし”の切り口からも知ってほしい」と話します。

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頭ヶ島天主堂の聖母マリア像を囲む、丁寧に積まれた石壁。石垣は、民家や田畑などにも使われており、島の風景として馴染んでいる

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中川さんに連れられて行ったカフェの店主が教えてくれた、丘の上に佇む「桐教会」から眺める景色。上五島で出会う地元のみなさんは、「あそこはもう行った?」「私はここの風景が好き」など、日常の中で見つめる上五島の魅力を次々と教えてくれる

人生に、未来の日常に、離島を選ぶ。
その選択肢を、今はまだ遠く感じていても、まずは数週間だけ、シェアハウスに暮らしを置いてみることができます。

「ただいま」と帰り、一期一会の出会いで暮らしを重ねる住人同士、玄関に靴を並べる。スーパーで買ってきた食材をキッチンで調理して、いただきますと手を合わせる。明日の予定を考えながら、自分で干した布団で寝る。

わざわざ島に行かなくても、どこでもできる、なんてことのない“日常”を、島で送る。
その中で見えてくる、暮らす場所としての「上五島」の魅力や、少しずつ育まれていく“島と私”の距離感があります。目的も目標も、無くていい。ただ、ここで暮らしてみたいという自分の意思を見つめる時間を、シェアハウスで過ごしてみるのはいかがでしょうか。

シェアハウスBAY 上五島 グリーンズ

(編集:村崎恭子)
(撮影:亀山のの子)

– INFORMATION –

「シェアハウスBAY 上五島」で“日常”を過ごしてみませんか?
気になる方は、ホームページの「お問い合わせ」より問い合わせてみてください。
あなたの人生に離島を選ぶきっかけになるかもしれません。

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