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一緒になれば、私たちはより強くなる。ウガンダ発、難民による難民のための再生キャンプ「Unidos Social Innovation Centre」

突然ですが、世界にどれだけ多くの難民がいるか知っていますか?


2022年、UNHCRの調べによると、紛争や迫害によって故郷を追われた人は1億840万人。そのうち難民として認められた人は3,530万人に上ります。彼らへの国や団体、企業からの支援が続いていますが、持続的な支援や経済的自立など課題は山積している様子。(出典元

そこで、今回ご紹介する事例の舞台は、ウガンダ南西部に位置するナキバレ難民施設「Unidos Social Innovation Centre(ユニドス・ソーシャル・イノベーション・センター)」です。ここには、コンゴ、ブルンジ、ソマリア、エチオピアなど近隣諸国から逃れてきた約15万人の難民が暮らしていますが、なんとこの施設を立ち上げたのは、難民たち。つまり、難民たちによる難民たちのための施設としてつくられた再生キャンプなのです!

自然環境との関係の中で人間の暮らしを進化させる

きっかけは、難民に対する食糧配給の大幅な削減でした。危機に直面した彼らが、支援を待ち期待するのでなく、自らの手で未来を切り開こうと2018年に始めたのが「Unidos Social Innovation Centre」。今では700人以上の難民を支援しています。

中心的な活動は、環境にやさしい再生農業の実践と普及、そして農業を通じて地域の再生に取り組むことです。中心となったPaulinho Muzaliwa(パウリーニョ・ムザリワ)さんら難民グループが始めたこの取り組みは、2024年現在、不毛だった難民キャンプの土地を豊かな農地に変えつつあります。

その根底にあるのは、「共創=共に創る」という理念です。

彼らが目指しているのは、難民キャンプそのものを再生可能なコミュニティに変えること。難民として過ごした母国での困難を、コミュニティへの参加を通じて成功への架け橋に変えようと活動しているといいます。彼らの暮らしと自然を持続可能にするためには、人道支援機関からの援助ではなく、自分たちの手で土壌を再生し、理想的な栽培環境をつくり出していくことが大事だというわけです。

彼らにとって再生とは、自然環境との関係の中で、人間の暮らしとその中心にあるシステムを考え設計していくことです。その結びつき同期した状態が相互利益を生み出し、回復力のある生活につながる。そういった考えが「Unidos Social Innovation Centre」内に浸透しているのだといいます。

たとえばミミズ堆肥の活用や植樹活動を通じて、土壌の再生と微気候の改善に取り組んでいますが、この方法を学んだ農家は、自給自足だけでなく、余剰作物を販売して収入を得られるようになりました。

このような「Unidos Social Innovation Centre」の取り組みは、2023年にLush Spring Prize賞を受賞。彼らのパーマカルチャーと再生型農業の実践、そして彼らのつくるコミュニティが、国際的にも認められました。

「Unidos Social Innovation Centre」では、もう一つ重要な活動の柱があります。それが女性が活躍できる機会をたくさんつくること。難民キャンプで起こりがちな女性への暴力や望まない妊娠から逃れ、彼女たち自身が自立していくには・・・? そう考えた「Unidos Social Innovation Centre」は、女性たちに起業スキルを教え、経済的自立を促しています。

彼女たちが学ぶのは、石鹸づくりや農耕作業など収入につながるスキル。そういった研修・支援を経験した女性たちは、自己肯定感が上がり、センター内のコミュニティを耕すことにも積極的に関わるようになったそうです。

一緒になれば、私たちはより強くなる

難民による難民支援。研修、そして共創。こういった「Unidos Social Innovation Centre」の挑戦は、難民支援の新しいモデルと言えます。外部からの一方的な援助を否定するつもりはありませんが、現地で本当に必要とされている物資、必要とされている研修やコミュニティの醸成について一番知っているのは難民ですから。

「Unidos Social Innovation Centre」では、こんな言葉を掲げています。

一緒になれば、私たちはより強くなる(Together, we are stronger)

課題に直面している本人たちが当事者となり、共創して持続可能な未来をつくっていく。そんな彼らの姿には、社会課題を解決するべくコミュニティ活動をするすべての人々にヒントを授けてくれるのではないでしょうか。

[Pictures (c) Unidos Social Innovation Centre]
[via Unidos Social Innovation Centre, LUSH]