幼いころ、リカちゃん人形やウルトラマンなど人形遊びをした記憶がある方もいるかもしれません。小さな家や人形たちを前に、自分の思い通りに世界を描く遊びは、なんて自由で楽しかったことでしょう。
今回ご紹介するのは世界各国、大人も子どもも楽しめるレゴのこと。
おもちゃの世界であるレゴは、現在の街を映し出すのか?
はたまた、過去をすくい取るのか?
それとも、未来を描くのか?
そんなことを考えながら、読んでみてください。
レゴシティにソーラーハウスを建てる
再生可能エネルギーに関する製品を扱う会社のCEOであるAlexis Issaharoff(以下、イッサハロフ)さん。
彼は既存のレゴブロックを活用して、持続可能なソーラーハウスを11ヶ月かけて設計・模型をつくりあげました。
「大人も子どもも、再生可能エネルギーや持続可能性について楽しく学ぶ機会になるでしょう」と、イッサハロフさんは言います。
ソーラーパネル以外にも家の外には、雨水タンクや、ソーラーパネルで得られたエネルギーを蓄えるバッテリー貯蔵機、生ゴミや排泄物などの廃棄物を処理するためのバイオダイジェスターやヒートポンプなど、一般家庭にはまだ馴染みのない機械も備え付けられています。
既存のレゴのキットを試行錯誤しながら組み合わせて、ここまで現実世界にある製品を表現できるなんて驚きですね。このようにすでにあるものを使って、新しいものをつくることは下記のレゴのミッションに通じているようにも感じます。
屋上と家の脇では、電力や水だけでなく、食糧を自給する仕組みが整えられており、よく見ると、壁に沿ったかたちで果物などが育てられています。
自転車専用道路は、政治的な主張?
こんなにも具体的な形になっているということは、すでに製品化されていると思われた方もいるかもしれません。しかし、残念ながらソーラーハウスのキットは、まだ製品化されていないんです。
実はこのソーラーハウス、「LEGO IDEAS」というサイトに掲載されているアイデア。 「LEGO IDEAS」では、レゴシティで実現してみたいアイデアを誰でも投稿できます。1万人の賛同コメントを得られれば、実際にレゴ社で製品化が検討され、そこで承認が得られれば、実際に商品として販売される仕組みになっているんです!
一見、時代の流れからすると多くの賛同を得られそうなアイデアですが、イッサハロフさんのアイデアの中に含まれている自転車専用道路は、イデオロギーなど政治や社会に対しての考え方を主張・提案するような見え方を避けたいというレゴ社の考えもあり、製品化は見送られているとのこと。(65. Where are the Bike Lanes In Lego City? – The War on Cars参照)
現実の世界で主流でないものを取り入れる際には、議論の対象として取り上げられることが多いですよね。しかし、すでに社会に広まっているものを取り入れる際には、議論に上がらないことがほとんど。
そういった点で、イッサハロフさんがソーラーハウスで表現している、自分自身でエネルギーをまかない、食べ物を育て、ごみなどの廃棄物を家庭で処理するというライフスタイルの提案は、社会への問いかけのように感じられました。
おもちゃとはいえ、現実の世界に近いものを描くレゴだからこそ、生まれた議論がここにはあるように感じます。おもちゃの世界だからこそ、一歩引いて客観的に世界を見て、考えることができる。
レゴをめぐる議論から、私たちの暮らしや社会を見つめることで、新たな視点が得られそうです。
[via treehugger, LEGO IDEAS, LEGO.COM, thewaroncars]
(企画・編集: スズキコウタ)