ゼロ・エミッション・モビリティに向けた決定打といえる電気自動車、その開発のトップを走る企業の一つが今夏に“iMiEV”の発売を予定している三菱自動車だ。しかし、この三菱自動車も世界的な不況の中、コスト面で大きな不安を抱えている。
iMiEVは従来のニッケル水素電池に代わってリチウムイオン電池を使用することで走行距離を飛躍的に伸ばしたのだが、製造コストは依然高く、iMiEVの予定価格は約300万円となっている。これは原型となったガソリン車のアイの3倍にもなる。
そのコスト問題の打開策として三菱自動車が打ち出したのが日米欧の自動車メーカーに対するOEM供給である。OEM供給とは、同製品を他社ブランドで製造し販売すること。つまり、三菱自動車はiMiEVと同じ車を他社からも発売するという方針を固めたのだ。
そしてまずは、政府などの支援により需要増が見込まれるフランスをターゲットとし、プジョーシトロエングループに2011年をめどに供給を開始する計画だという。
環境によいとわかっている技術も、そのコストから市場への投入が見送られてしまうということはこれまでも数多くあった。三菱自動車の今回の取り組みはそれを防ぐために、あらゆる手段を使って生産数を上げようと取り組んでいるように見える。
電気自動車については、90年代にはカリフォルニアでブームが起こったが、数年で姿を消してしまったという苦い過去がある(ドキュメンタリー映画『誰が電気自動車を殺したか』に詳しい)。この三菱自動車の取り組み方を見ると、今回はブームで終わらないのではないかという希望が持てそうだ。
環境省が行う電気自動車の実証試験事業について調べる。
『誰が電気自動車を殺したか』を見る。