「働く」で社会を変える求人サイト「WORK for GOOD」

greenz people ロゴ

作家アラン・シリトーが残したもの。それは現代社会の自由への扉

2009 photography/Wolfman-K.com

奴らはずるい。が、おれも負けずにずるい

ー 盗みの罪で感化院へ入れられた非行少年の、権威に反抗するアナーキーな憤りを描いて青春の生命にあふれた話題作。
『長距離ランナーの孤独』(ちょうきょりランナーのこどく、The Loneliness of the Long Distance Runner)より

イギリス人作家であるアラン・シリトーが4月25日、ロンドン市内の病院で死去しました。82歳でした。映画にもなった『長距離ランナーの孤独』では、権力に屈しない主人公の生き様等を描きました。当時、学生だった私は、自由とはなにか自分とはなにか、無意識ながら数多くの影響を受けた記憶があります。権力社会への屈しない姿、これが彼の残した現代社会への最大の功績と言えるのではないでしょうか。また、『土曜の夜と日曜日の朝』を読み、好き勝手振舞う主人公に当時影響された人も多いと思います。

シリトー氏のご冥福をお祈りします。

シリトー著作年譜

●『土曜の夜と日曜日の朝』小説1958
『長距離走者の孤独』短編集1959
●『将軍』小説1960
●『鼠、その他の詩』詩集1960
●『ドアの鍵』小説1961
●『屑屋の娘』短編集1963
●『愛から醒めて、その他の詩』詩集1964
●『ロシアの夜とソビエトの朝』旅行記1964
●『ウィリアムス・ポスターズの死』小説1965
●『燃える樹』小説1967
●『マーマレード・ジムのぼうけん』童話1967
●『グスマン帰れ』短編集1968
●『ヴォロネズ近郊の愛』詩集1968
●『すべての市民は兵士』戯曲1969
●『華麗なる門出小説』1970
●『ニヒロンへの旅』小説1971
●『素材』小説1972
●『ノッティンガム物語』短編集1973
●『嵐』詩集1974
●『見えない炎』小説1974
●『私はどのようにして作家になったか』随筆集1975
●『やもめの息子』小説1976
●『ビッグ・ジョンと星』童話1977
●『蚤の名剣士』童話1978
●『三つの戯曲』戯曲1978
●『ストーリーテラー』小説1979
●『ルシファー北の雪』詩集1979
●『農場のマーマレード・ジム』童話1980
●『悪魔の暦』短編集1981
●『彼女の勝利』小説1982
●『消えた飛行艇』小説1983
●『サクソンの岸辺』旅行記1983
●『マーマレード・ジムと狐』童話1984
●『旅立ち前の太陽』詩集1984
●『丘から降りて』小説1984
●『人生はいつまでも』小説1985
●『潮と石塀』詩集1986
●『渦をのがれて』小説1987
●『アラン・シリトーのノッティンガム洲』旅行記1987
●『通りのはずれ』短編集1988
●『開かれたドア』小説1989
(集英社ギャラリー「世界の文学5」より、河野一郎編)

アラン シリトー(Alan Sillitoe)

1928年英ノッティンガム生まれ。14歳で学業を離れ、4年間工場で働く。その後、英空軍に入隊し、マレーシアで無線技師として勤務。帰国後、結核で1年余り入院生活を送る。その後7年間に渡りフランスやスペインで過ごす。58年「土曜の夜と日曜の朝」を出版。59年「長距離走者の孤独」でホーソーンデン賞を受賞。2作品はともに映画化された。50年代の「怒れる若者たち」(Angry Young Men)のひとりと称され、若者たちのやり場のない怒りや反抗などを描いた。