2021年も、あっという間に半分が過ぎ去ってしまいました。みなさんはお元気に過ごしていますか?
グリーンズの2021年は、greenz.jp創刊15周年を祝う1年であり、偶然にも総発信記事数が7000本を突破するダブルアニバーサリーイヤーになりました。
新型コロナウイルスを筆頭に、私たちは社会の絶え間ない、そして急激な変化を経験している真っ最中。そんな時期に、「いかしあうつながりがあふれる幸せな社会」をどのように目指していけばいいだろうかと、スタッフ間ではこの数ヶ月ディスカッションをしたり、社員研修やオンライン合宿を繰り返しています。
まだ明確にみなさんに提案・発信できる解が固まってきたとは言いにくい状況ではありますが、ぼんやりと少しずつ「こういうことに挑んでいけば、目指す社会に近づけるんじゃないか」というものは見えてきました。
今回お届けするのは、greenz.jpや「グリーンズの学校」、greenz peopleを運営するNPOグリーンズの第9期アニュアルレポートです。アニュアルレポートとは、NPOとして展開した活動の年次事業報告書のこと。私たちが1年間、何を行い、どのような成果をあげ、これからどうしていきたいかを発表するもので、グリーンズでは2017年にパンフレットを初めて作成して以降、オンラインで発表してきました。
第9期=2019年12月1日〜2020年11月30日までの活動を振り返るとともに、次の1年間どのような挑戦をしていくことで、NPO団体としての価値を高め、同時に社会への貢献も果たしていけるか、みんなで考えてきたものをお届けします!
NPOグリーンズ 第9期 活動報告
9期会計報告
・部門別売上: 【昨対比-0.1%】 58,561,000円
・経常収益と経常費用
greenz peopleのみなさまへ
正太郎 2021年7月16日でWEBマガジン「greenz.jp」は15周年を迎えます。
これもひとえに、NPOグリーンズの活動を日々応援してくださっている全国の「greenz people」のみなさんのおかげです。
「いかしあうつながり」というタグラインを掲げてから3年が経つわけですが、持続可能な社会のための「関係性のデザイン」という領域について、わたしたち自身も探究が深まってきています。
世の中の流れも大きく変わる中で、表層的な取り組みではなく、しっかりと根を張った本質的な実践を一歩ずつ続けていきたいと思っています。その中で学んだことを、WEBマガジン、スクール、コミュニティといった場に還元しつつ、これからも読者ならびにgreenz peopleのみなさんと探究を続けていきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします!
グリーンズの各部署が取り組む、9のチャレンジ!
チーム全体で取り組みます!
1. 実践共同体になる
菜央 今期のNPOグリーンズのチャレンジを一言にまとめると「実践共同体になる」です。
私たちのビジョンである「いかしあうつながりあふれる幸せな社会」の実現に向けて私たち自ら実践することと、あらゆる方法で読者・参加者の実践を促すことが重要です。
そして、その実践を、孤立した一人ひとりでなく、助け合ったり、学び、高めあえる豊かな関係性の中で実践することが必要です。NPOグリーンズを構成するあらゆるチームで、「実践共同体」を形にしていきたいと考えています。
鈴木菜央(すずき・なお)
NPOグリーンズ代表 greenz.jp編集長 2006年にウェブマガジン「greenz.jp」を創刊。いすみローカル起業プロジェクト、いすみコミュニティベンチャースクール、いすみ発の地域通貨「米(まい)」、パーマカルチャーと平和道場、トランジションタウンいすみなどを共同で立ち上げ、千葉県いすみ市での持続可能なまちづくりに取り組む。
2. いかしあうチームになる
正太郎 組織もひとつの「社会」とするならNPOグリーンズのスタッフ同士が「いかしあう」関係になることが、私たちが目指すビジョンに向かうために、とても大切だと考えています。
昨期は新型コロナウイルス流行をきっかけに、グリーンズも完全リモートワークに移行しました。オンラインで協働していくためには、より一層コミュニケーションと自己認識の技術を高める必要性を感じ、今期から意識の探検家・三好大助さんに月1回社内研修をお願いしています。スタッフ全員でNVC、メンタルモデルを基礎から学びながら、いかしあうチームになるための学びを深めています。
植原正太郎(うえはら・しょうたろう)
NPO法人グリーンズ 共同代表
NPOグリーンズで健やかな事業と組織づくりに励む。2021年5月に熊本県南阿蘇村に移住。暇さえあれば釣りがしたい一児の父。
編集部が取り組みます!
3. HOWとWHYを探究する
コウタ greenz.jpの記事を作成していく上で、何を=WHAT、どのように=HOW、なぜ=WHY伝えるかを考えてきましたが、このメディア運営の思考回路を記事ひとつひとつの内容に落とし込んでいくことが、編集部として大きなチャレンジになっていきそうです。
どのようなビジョンでどのような活動をしているのかという「WHAT」な情報をひきつづき大事にしつつ、彼・彼女たちの活動から何を学べどのように未来づくりにいかしていけるのかという「HOW」、そしてその取り組みが日本〜世界社会でなぜ重要なのか、個々人のやり遂げようというエネルギーの根源はどこにあるのかにふれる「WHY」の後者2点がより際立つ記事をつくっていきます。
スズキコウタ
greenz.jp副編集長。日々のメディア運営の傍ら、ゼミクラス「作文の教室」を各地〜オンラインで展開。2020年、greenz.jp第2編集部として「greenz challengers community」を結成。
編集部とピープルチームが取り組みます!
4. 人生を豊かにする「いかしあうデザイン」をみんなで使いこなす
おぐなお 9期は、「いかしあうデザインカード」「いかしあうつながり宣言」ポスターの作成など、「いかしあうつながり」を暮らしや仕事に取り入れやすくするためのツールづくりに力を注ぎました。
ただ、自分だけだとなかなか使いこなすのが難しいという声も。
今期はそのツールを使っていただく機会を増やすため、カードの使い方をまとめた冊子をつくり、カードを使ったワークショップを開催します。また、世界中の「いかしあうつながり」を集めた事例集も作成します。リビングに飾っておいて、ふとした時にパラパラと眺めたり、家族や友達と「これはマネできそう」とか「こういうのやりたかった!」と話せるような、おしゃれで分厚い本を目指します。
小倉奈緒子(おぐら・なおこ)
ピープルチーム。「集う人が、本当の意味で心地よい場」を探求中。
茅ヶ崎在住、2児の母。サーファーを夢見るカナヅチ。
ピープルチームが取り組みます!
5. 実践共同体を支えるコミュニケーションへ
めぐみ 9期は、コロナ禍のなかでも「green drinks stay home」、オンラインでのオープンランチ会、100人アンケートなどを通じて交流をはかってきました。また、今期は種のシェアリングやいかつなデザインカードを使ってみる回、いかつな進路相談会など「実践」を後押しするイベントも数多く実践。
そのなかで見えてきたのは、「暮らし」を一人ひとりが変えていくことが、社会を変える大きなエネルギーになりうるのではないか、ということです。
そうなると大事なのは、people同士の活発なコミュニケーション。例えば、「コンポストをはじめてみようかな」というタイミングで、気軽に「何からはじめればいい?」「こんなとき、どうすればいいの?」と聞き合うことができれば、グリーンズは実践共同体になれるはず。そこで、今期はコミュニケーションの場としてSlackへの移行にチャレンジします。
渡邊めぐみ(わたなべ・めぐみ)
ピープルチームメンバー。学生時に初代ピープルアシスタントになり、教育コンテンツ開発会社に勤めたのちグリーンズに再ジョイン。福岡と岡山の二拠点生活中。
「グリーンズの学校」チームが取り組みます!
6. 【SURPRISE】あんなクラスから、こんなクラスまで、ワクワクのラインナップを(スクール)
YOSH 9期はバリ島へのスタディツアー、「サステナビリティカレッジ」や「いかしあうデザインカレッジ」といったサブスク型クラス、「コミュニティの教室」の入門編と実践編の接続など、ラインナップに広がりと深まりのあった一年でした。
新型コロナの影響もあり、当面はオンライン中心となりますが、学長ではなく編集長という肩書きで、暮らすだけでなく、記事、音声、映像など教材となるコンテンツをつくりながら、「こんな人たちともコラボレーションするんだ!」というサプライズを仕掛けてゆけたらと思っています。
兼松佳宏(かねまつ・よしひろ、YOSH)
元greenz.jp編集長。16年より京都精華大学特任教員として、ソーシャルデザイン教育のプログラム開発を手がけた後、21年より「グリーンズの学校」編集長。
7. 【PILLAR】NPOグリーンズの未来を担う、大きな柱のひとつに(スクール)
YOSH 新型コロナの影響によって、NPOグリーンズの経営方針にもテコ入れが必要となった中で、9期のスクールが、むしろオンライン化を追い風に売上、利益ともに過去最高を記録することができたことは、大きなメッセージとなった気がします。
東京以外の世界中の方々にグリーンズ的な学びの場が求められていること、また、企業のなかでも学びのコミュニティのニーズがますます高まっていること。そうした大きな流れを引き受けながら、収益の柱のひとつとなれるようビジネスモデルをさらに磨いてゆきたいと思っています。
8. 【IMPACT】学び合うコミュニティを、社会的インパクトへ(スクール)
YOSH greenz.jpそのものが学びの場であり、実践共同体であり、個人の、やがてはコミュニティや組織のトランジションが進み、その結果、いかしあうつながりあふれる社会が立ち上がっていく。
そうしたNPOグリーンズとしての社会的インパクトはなかなか測りにくいのですが、まずはグリーンズの学校としてのインパクト指標を見定め、個人的な変容はもちろん、greenz peopleのみなさまにとっても十分に手応えのある成果を生み出せるよう、体制を整え、改めてビジョンを明確にしてゆきたいと思っています。
ビジネスチームが取り組みます!
9. 15年培ってきた資源をもとにパートナーと共創していく(ビジネス)
まんのう町を視察した時の風景。(photo: Naoki Akiyoshi)
正太郎 最近では、香川の会社「サニーサイド」の新規事業にパートナーとして関わっています。まんのう町でワクワクなプロジェクトがまもなく始まります。
ビジネス・公共セクターでも「サステナビリティ」への意識が高まる中、グリーンズが果たせる役割が大きくなっていることを肌で感じます。創刊から培ってきた実践者たちとの全国ネットワークと幅広い分野でのナレッジをもとに、企業・団体・行政とプロジェクトを共につくっていきます。
特に力を入れたいのは、パートナーの組織内外をつなぐ「ラーニングコミュニティ」の育成。持続可能な社会を事業でつくるためには学習と実践が不可欠です。グリーンズのビジネスチームは、チャレンジする組織の「相棒」になりたいです。
今後とも、グリーンズをよろしくおねがいします!
– greenz.jp 15th / 7000th Anniversary –
「いかしあうデザインカード使い方ガイド」プレゼント!
&鈴木菜央によるカードワークショップ
「今日1日どう過ごそう」「今とは違う働き方がしたいのだけど、自分の強みや資源をどういかせるだろう」「5年後の地域のデザインを市民みんなでしてみたい」。そんな風に、「いかしあうデザイン」を自分の暮らしや仕事、コミュニティに取り入れられるツール「いかしあうデザインカード」。もっと気軽に使ってもらえるように「いかしあうデザインカード使い方ガイド」をつくりました!
夏には鈴木菜央によるカードワークショップも開催します。これを機会に、まだ使ったことがない方も、使ってみて、「#いかしあうデザインカード」をつけて、SNSでワークの感想や収穫を教えてください。
greenz peopleについてはこちら!
“わたし”をめぐる大冒険!
新クラス「beカレッジ」スタート!
beカレのbeは、being(あり方)を意味しています。
忙しい日々の中で、ついないがしろにしてしまいがちだけど、本当は仕事やプロジェクトの土台でもある”わたし”という存在。beカレは、そんな自分のあり方を見つめ直すためのさまざまな手法を探究しながら、それぞれの”ほしい未来”をともに形にしていく学びの場です。
かつてないペースで社会が移り変わっていく中で、自分自身もトランジション(変容)を迎えていることに、不安や戸惑いを感じている人はたくさんいるはず。だからこそbeカレでは、ともにトランジションの旅をゆく仲間と出会える、仏教でいう”サンガ”のような場所でありたいと願っています。
「beカレッジ」についてはこちら!