1997年にメキシコで結成されたNGO「VIVE Mexico」は、青少年の育成と交流を目的に、福祉、文化、環境ボランティアを集めて、国際ワークキャンプを実施している。また、メキシコの若者たちにも積極的な参加を求め、海外の若者との文化交流も推奨しているのが特徴である。
私が参加したのはMoreliaでのワークキャンプ。スペインの植民都市として建設されたメキシコ中部にあるMoreliaは、スペイン統治時代の優雅な面影を残す美しい町だ。ワークキャンプに集まった国際ボランティアは、フィンランド、ドイツ、カナダ、日本の4か国から6人。地元の学生たちと一緒に、フェンスや壁のペンキ塗りが主な仕事だった。
私たちのワークキャンプには笑いがたえなかった。メキシコ人の学生たちは明るく陽気で本当に気が利く。ワークの間も歌ったり踊ったり、よく笑った。
メキシコ人でない人たちも、日に日に“メキシコ人化”していった。移動中の車の中で歌いながら踊ったり、時間に遅刻しても平気だったり……。ワークの後には、どこかに遊びに行ったり、誰かが家に遊びに来たり、毎日がお祭りのよう。ボランティアの仲間にも恵まれ、何かトラブルがあると助け合い、楽しいことは一緒になってはしゃいだ。
私はメキシコの文化や社会システムの違いを感じながらも、メキシコという土地の中で、のびのびと自由に生きようと思った。メキシコ人はメキシコが大好きだ。私も、彼らに日本のことを教えながら、日本のことをもっともっと知りたくなった。
そうそう、メキシコ人を含め、外国人たちは日本に興味津々で、現地で知り合った外国人の友人も学校で日本語のクラスを受講していた。帰国の前日、そのクラスにお邪魔して、日本語を教えたのは印象深い出来事だったなぁ。
人と人との繋がりがすばらしく、メキシコ人の家に遊びに行ったり、泊まらせてもらったり、料理を作ってもらったり、友達を紹介してもらったり。ただの旅行では、絶対に味わえない経験が数多くできた。
別れの時、私が涙を流していると、「またいつでも戻っておいで。そのときはうちに泊まればいいから」とみんなが口々に言ってくれた。ホームステイ先のお父さんやお母さんは、私のメキシコの両親になった。
できることなら、また同じメンバーで、ワークキャンプがしたいなぁ……。