働き方も暮らし方も、選択の幅が広がった昨今。この記事を書いているわたし自身も、働き方を変えて、どこでも仕事ができる生活に切り替えようとしているタイミングにいます。
でも、現在の家は1箇所だけで、実際は東京にこもりがちな日々。別荘を持つ余裕はないし、思い切った移住以外の選択肢ってなんだろうか? とぼんやり悩んでいました。
そんなとき、毎月定額で全国どこでも住み放題になる「ADDress(アドレス)」というサービスが、戦略発表を兼ねたトークセッションを開催すると聞きつけ、大きな期待とともに参加しました。
ADDressを使うことによってどんな暮らしができるようになるのか、どんな風に地域の人とつながるのか、どうやって多拠点生活をはじめればいいのか。私のヒントになったことをお届けできればと思います。
日本全国に、ただいまを言える場所を
ADDressとは、登録されている物件ならどこでも住み放題になる、サブスクリプション型の多拠点居住のシェアサービス。
2019年4月の第1弾スタート時には鎌倉市、南房総市、徳島県美馬市、福井県美浜町など日本各地に11拠点用意される予定で、随時拠点を増やしていきます。
サービスの価格は、年会員なら月額4万円、月会員なら月額5万円。会員になると、空き家や遊休物件をリノベーションした住居に予約して滞在することができ、自分の個室やシェアスペースなどで好きなように暮らすことができます。
海、山、町。明日はどこへ行こうか、と迷ってしまうほどの拠点数とバリエーション。どの物件にも、こだわりの家具やアメニティが揃っているので心地よく滞在できそうです。
ローカルな地域に住みたいと思っても、何を基準に決めたらいいかもわからないし、そもそも住んでみないと分からないことも多い。でも、これなら気軽に色々な地域に住んでみることができるので、ADDressの拠点をいくつか滞在するうちに「ここだ!」と感じる場所に出会えるかもしれません。
都心と地域のハブは「家守」(やもり)の存在
イベントでは、10名以上ものゲストを招いたトークセッションが2部に分けて開催されました。
第1部のテーマは「日本の住まいに革命を起こす」。
今年、都市と地方の二拠点で生活をする「デュアラー」が話題になり、都会から離れて暮らすサービスは増えてはいます。しかし、いきなり地域の人々の輪に入ることは決して簡単ではありません。
そこでADDressが重要視しているのが、「家守(やもり)」という役割です。ADDressを提供する株式会社アドレスの代表、佐別当隆志さん(写真下、左)は家守をこのように紹介していました。
佐別当さん 家守は、ADDressの各拠点に管理人として住んでいる方のことです。地域のことを知り、都心からのユーザーがその拠点の既存ユーザーや地域にとけ込みやすいようにしてあげる、いわゆるコミュニティマネージャーの役割を担います。
SUUMOジャーナル編集長の池本洋一さん(写真上、右)もトークセッションに登壇され、家守たちへの期待を語られていました。
池本さん 都心と地域のハブになる家守は大切な存在ですね。気になる家守がいることによってそこへ行く気持ちが強まるユーザーも出てくるでしょう。地域のことをよく知る方からお勧めされた場所には、行ってみたくなりますから。地域の魅力を伝えられる家守が育ち、家守の仕事に価値があることが若い人たちの間で認められるといいなと思います。
まずは、地域から信頼されること
家守を大切にしているもうひとつの理由に、地域との信頼関係をしっかりと築きたいという佐別当さんの想いがあります。
佐別当さん ユーザーを増やし地域に頻繁に来てくれる人を増やすことはもちろん大切ですが、地域側の拠点をつくり、ユーザーを受け入れられる風土をつくることが大切です。そこで欠かせないのは、地域との信頼関係。
誰だって、自分の思い入れのある家が知らない人に使われたり、跡形もなく変えられたりしてしまうのは嫌ですよね。だから私たちは、地域に住みそこの人々の文化や考え方を理解した家守に仲介役になってもらいます。貸していただく物件も、オーナーさんが使いたいときにはお返ししたり、リノベーションする際もできるだけ元の形を残す。
まずは、ADDressだったらいいよ! と言ってもらえる信頼関係をつくり、それを土台としたサービスを提供していきます。
家守の存在は、ADDressと他の民泊サービスとの違いを強化するとともに、ユーザーに新たな地域活動の可能性に気づかせるといった価値創造に直結していそうです。
では、それぞれの仕事や暮らしに合わせてADDressはどう活用できるのでしょうか。
第2部のトークセッションでは、個性豊かな登壇者が「ADDressで変わるライフスタイル〜働き方・暮らし方」について意見を交わし、ADDressの多様な使い方を紹介されていました。
働き方・暮らし方が変わる時代。
あなたならADDressをどう活用する?
登壇者たちが盛り上がったのは、ADDressを「短期で使う」か「長期で滞在する」か。
都心で会社勤めをする人たちにとっては、地域に滞在するのは週末やお盆、お正月休みというイメージが強いかもしれませんが、ADDressはそのイメージを刷新するサービスでもあるのです。
例えば年間契約をしてひとつの拠点でベットを占有し、私物を置いておけば、曜日を問わずいつでも利用可能になる(※同じ拠点に連続して住めるのは1週間まで)。これは、ホテルでも民泊でもない、ADDressがシェアハウスであるということを改めて感じる特徴です。
会社員の人でも、仕事終わりの格好のまま、ふらっともうひとつの拠点に帰り、翌朝にはまた会社に出勤する。リモートワークをしている人であれば、週の何日かはADDressの拠点で仕事をする。そんなことも珍しくなくなるかもしれません。
短期の滞在は、住みたい場所で働く一歩として、活用することもできるのではないでしょうか。
一方で、ADDressが長期滞在にも向いている理由を語ってくれたのは、ご自身も渋谷でシェアハウス暮らしをしているシェアリングエコノミー協会の新事務局長・石山アンジュさん(写真下)。
石山さん 家族で多拠点生活をすることで、子どもたちは多様な価値観を肌で感じることができます。
東京で生まれ育った人の中には、帰る田舎がない人も多いかもしれません。そういう人にとって、自然豊かな場所で、地域コミュニティとの人間関係を築くことはうれしいもの。大人も子どもも、様々なコミュニティに属することで価値観をアップデートしていくことができると教えてくれました。
多拠点生活によって、地域と都心の境界線がなくなっていくのだろう、また、そうなってほしいと思いました。
シェア経済は、自分ではじめることもできる
トークを聞きながら、今にも会員登録のボタンを押しそうになる自分と、同時に「そうはいっても現在の家賃とは別に毎月4〜5万円支払うのは難しい」と思う自分を感じていたとき、石山さんからの言葉が響きました。
石山さん それぞれの拠点を使うユーザーの皆さんにも、“自分の家をシェアする側でもあるという視点”が大事だと思います。いまの家をシェアに変えてコストを抑えることで、ADDressを使う資金にもなる。自分の家をシェアして誰かの居場所にする、という発想も必要だと思っています。
石山さんの言葉で、たしかに言われてみれば、わたしが今住んでいる家だって誰かの拠点になり得ると気づき、ハッとしました。
わたしは最近、自分の家を友人たちにイベントスペースとして使ってもらうことを始めたところで、なんと無意識ながらもすでにシェアリングを始めていたことに気づかされたのです。
自分のものを他の人に有効利用してもらうことは、実は暮らしの中で自然と起きやすいこと。そこに焦点を当てると、できることの幅や、暮らしの豊かさがぐっと増していくのではないでしょうか。
プラットフォームが用意してくれたものを使うだけでなく、自分も提供するという姿勢を持つことで、シェアリングエコノミーは循環し、持続可能なものにすることができるのです。
ADDressの拠点を使ってみる。家守になってみる。自分の持っているものでちょっとしたシェアリングをはじめてみる。ぜひ、あなたらしいアクションをしてみてはいかがでしょうか。
(Text: 森野日菜子)
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