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【Bioneers 2008(7)】お待たせしました、最終日レポート!

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photo:Jennifer Esperanza

いよいよエコスゴイパイオニアが3000人も集まるBioneers カンファレンスが終了!いつになく大きな転換期にある今、現場ではどんな空気が流れていたのか、速報レポートします。関連記事はこちら!

こんにちは!greenzクリエイティブディレクターYOSHです。お待たせしました、Bioneersレポート最終日の様子をレポートします。

ちなみに今僕は、世界でも有数のパワースポットであるハワイ島で、この原稿を書いています。目的は、カーボン社会から水素社会へのシフトを目指すシスターカンパニーh2テクノロジーズを取材するため。再生可能な自然エネルギーの事例やハワイ州政府と進めている水素社会化への取り組みについてお話を伺い、”Island of Adventure”ならぬ”Island of Innovation”の可能性をレポート予定ですのでお楽しみに!

※一足先にハワイに行ってその後Bioneersにも同行したgreenzメンバーHIROMI氏が、自身のブログ“Breeze of Kalani”で、ハワイの素敵すぎるエコビレッジやBioneersのオフショットなんかを書いてくれてます。よろしければ、そちらも合わせてどうぞ!

というわけで本題へ。


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※最終日のみオフィシャル写真の提供がありませんので、ご了承ください。代わりに休憩時間の自由な人びと

LUCAS BENITEZ

この日のトップバッターは、フロリダで農家を営み、Calition of Immokalee Workersを主催するルーカス・ベネテス氏。スペイン語を母国語とするため通訳がいましたが、初めてのことだそうです。

ルーカス氏が挑んでいるのが、いまだに1978年と同じ賃金レベルというアメリカ型農業の現状です。彼が引き金となった「フェアフード」は、小さな声からやがて大規模なソーシャルアクションにつながり、最近になってやっとバーガーキングやマクドナルドといった大手ファーストフード会社が交渉のテーブルに立つまでに至りました。やはり産業側を動かして初めて、大きなインパクトにつながるのでしょう。

ただどうしても気になってしまったのは、ファーストフードのような食の流通を、これからも前提とするの?ということ。搾取は決して許されないけれど、地球環境という観点からすればそのスキーム自体が代わる必要があると思う。ランド研究所パーマカルチャーといった新しい自然システム型農業が花開きつつある中で、一連のフェアトレード運動をどう経済構造の変化につなげていくのか。食や農について改めて考えさせられました。


CHRISTINE LOH

続いては、中国(と言っても香港)からクリスティン・ロー氏が檀上へ。環境問題と政治やアカデミーをつなぐCivic Exchangeを主宰し、先のサミットの「G8+5気候変動ダイアローグ」のアドバイザーも担当するなど、「環境のヒーロー」(タイムズ)として世界的に著名な方。

メッセージは「デベロップメントからプロスペリティへ」。開発という上から目線でなく共に繁栄するモデルへのシフトを、アジア側からの視点で提案します。「モノに溢れているからこそ、リデュースの話ができる。アジアはまだモノに溢れていない。もしあなたたち(アメリカ)が変化できないのなら、わたしたち(アジア)も変わることはできません。」と、現実的な指摘で場を締めていました。


NAOMI KLEIN

そして、いよいよナオミ・クラインが登場!ラディカルなカナダ人として、「NO LOGO」や「Shock Doctrine」など様々な見えざる圧力を文章で視覚化してきた彼女。「NO LOGO」は僕の社会観を一辺に変えてしまった、ターニングポイントとなった一冊です。

金融危機や大統領選挙など“リマーカブルな一月”にあって、今こそ団結して「MOVE THE CENTER」=既存のレジームを変えようと惹きこみます。その柔らかな力強さは、誰しもベストスピーチ!を口を揃えるほどのインパクト。まさに現代を代表する精神的支柱を目の前に、同時代を生きる者として鼓舞された僕にとっては今年のBioneersのハイライトでした。


REBECCA MOORE

続いて、Google Earthアウトリーチプログラムのレベッカ・ムーア氏が登場。元々コンピューターサイエンティストとして活躍していた彼女がGoogle Earthを使って、企業による大規模な森林伐採を阻止したNeighbors Against Irresponsible Logging (NAIL)という活動をプレゼンテーションしてくれました。

企業が提出した白黒地図から見えなかった数々の疑問点が、Google Earthへの立体的にマッピングすることでありありと浮かび上がる。住民も事の重大さを理解してムーヴメントは拡大し、やがてTVにも取り上げられ、実際に食い止めることができたそうです。この経験を生かしてGoogle Earthに入社、NPO/NGO向けの情報視覚化プロジェクトを多く進めています。また現在は危機に瀕しているアマソン先住民を支援するため、住民のリテラシーを上げてメディアアクティビストを育てるトレーニングも行っているとか。

OLPCなどコミュニケーションのインフラ整備については、チャンスを与えることvs価値観の押し付けといった賛否両論がありますね。僕の意見としては、挑むべき相手が明確であり、レバレッジの効かせる戦略がコミュニティ側から自発的に出てくるなら、十分意義のあることだと思っています。素直に拍手を送りたいと、この偉大な成果を見て感じました。


RICK REED

そして今年の大トリは、リック・リード氏。彼の功績はミネソタ州やミシガン州などアメリカ中西部の7つの州を、クリーンエネルギーへシフトさせるイニシアチブRE-AMPを進めていること。40年以内に80%の温暖化ガス削減を目指して、目標から遡って考えるバックキャスティングを大切さを訴えて、講演が終わりました。

ただ単調なスライドプレゼンテーションだったため、トリとしては盛り上がりに欠けたのは残念。最後はインディアンの儀礼により、祈りを込めてすべての基調講演が終了。それぞれが感じた思いを、神聖な空気の中で胸に刻み、また来年の熱気へと引き継がれます。


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Bioneersで話した人々。左:HIROMI&ペギー(WiserEarth) 右:HIROMI&テオ(Bioneers)

そして、午後の分科会へ。

まず僕が参加したのは、“Sustainable MBA Programs: Changing Business for Good”。トラディッショナルなビジネススクールが帳簿の数字だけで物事を考えることばかりを教えている。グリーンスパン元FRB議長が”失敗”を認めた今だからこそ、これからのMBAにはサステナビリティが重要なトピックになっていることを、青臭い話ではなくリアリティを持って聞くことができました。

ただ学校によって、中身や方針もピンキリです。心を惹かれたのは、ビジネスウィークが選ぶ世界のデザイン&イノベーションスクールBEST60にも選ばれたBainbridge Graduate Institute。あくまで独立した存在として多くの社会起業家を輩出し、多くの従来型ビジネススクールと協働しています。各学校から生徒が代表してスピーチをしたのですが、「元々はアクティビストで、自分がMBAを取るなんて思ってもなかった」といった女性が断トツのインパクトでした。(ちなみに60の中にはムサビと慶應が入ってますね。)

他にも、“Studying the Healing Potential of Psychedelics”では、心理学も”グリーン・サイコロジー”へ、ドラッグを使ったセラピーの可能性を話したり、“The End of Environmental Journalism: Embedding Environmental Reporting”では、環境というトピックが定番化したからこそ、アクションにつなげるジャーナリズムの責任を提案したり、この日の分科会はどれも刺激的。ぐんぐんと知的興奮が進んで、CHIVA.orgなる新プロジェクトまで思いついてしまいました。(詳細は半年後くらいに)

また、同時にドキュメンタリーフィルム上映会も行われていて、選挙やエネルギー政策など、それぞれに響くテーマを深めるのにうってつけ。そして夜は、山の上の豪華な住宅を貸しきった盛大な打ち上げパーティ!バーニングマンにも関わるオーガナイザーとのことで、アゲアゲからチルアウト、暗闇のジャグジーまで、かなりの充実度。圧倒的なインプットが続いたからこその、ほっこりまったり&気持ちいいダンスに興じたベストパーティでした。

この本当に豊かな選択肢がBioneersの真髄なのでしょう。ちなみに基調講演は映像付DVDで、分科会はCDで後日購入可能なので、一通り揃えてみたいと思ってます。


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左:撤収の様子。これもグリーンカラージョブ? 右:サンフランシスコまでのフェリーからサンセット

というわけで、まだホットなうちの簡単な総括を。

かなりの期待を持って臨んだBioneers、そのこれからのビジョン、新しい価値観に心酔できる雰囲気は本当に素晴らしかった。エレクション直前の興奮もあって、晴天の下、共鳴するグルーヴ。

ただし感じたのは、当たり前かもしれないけどアメリカ人に向けたメッセージばかりだということ。”知識”としては日本からでも追いついているところが相当にあったということ。ブランディングでお手伝いさせていただいている丸の内地球環境倶楽部のイベントで、相当チューニングできていたのかもしれない。そして、日本からも提案できる部分がかなりありそうです。

だからこそ本会場以外でのサテライトを担当するBioneersスタッフのテオと、有意義なミーティングができたと思います。彼らはグローバルな展開を望んでいるし、何より”バイオニアーズ”という言葉は、とても普遍的で魅力的なコンセプト。

だからこそ次のミッションは、日本のバイオニーズを探すこと!日本のジャニン・ベニュス、日本のナオミ・クラインをスピーカーとして提案できたら、共通の話題ができてグローバルアクションのステージがまた一段上がるはず。


実は第一弾として、今年の12月12日(金)のエコプロダクト展でビジネスセミナーをプランニング中です。詳細は目下調整中ですが、「green thiking」をテーマに、日本のレイ・アンダーソンをお招きする予定です。そして、その後も定期的にlounge greenzで、バイオニアーズを探すイベントを隔月開催できればと考えています。

そんな手土産を残して閉幕したバイオニアーズ。実はアメリカでは10月が環境月間なので、興味深いカンファレンスが目白押しなのでした。また来年、僕が行くのか他のメンバーが刺激を受けてくるのかわかりませんが、日本と世界の架け橋となれるよう、今後もgreenz.jpをがんばっていこうと思います。(って、何かご挨拶になってしまったw)

ということで、今までお読みいただきありがとうございました。引き続きどうぞ、よろしくおねがいいたします!