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子育ては頼っていいんです!ワンコインの”子育てシェア”で、お母さんの働き方を切り拓く「AsMama」

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小さい子がいるから再就職はまだムリだわ。

子どもをママ友に預けてちょっと用事を済ませたいんだけど、万が一のことがあると気まずいな。

そんな子育てをするお母さんからよくもれるつぶやきに応えたいと願い、”子育てシェア”のインフラづくりに立ち上がった会社があります。それが今回ご紹介する「株式会社AsMama(アズママ)」です。

子育ての”常識”に異議あり!

子育てを応援するイベント運営と子どもを地域で預け合える環境づくりをすることがAsMamaの柱。独自のSNS「子育てシェア」に登録すると同じ園や学校同士の親と自動的につながり、個人情報を公開しなくても連絡網とオンラインのコミュニティができます。

もちろんつながっておきたい人を招待したり、友人知人を検索してつながることも可能。園や学校へのお迎えができなくなってしまったり、数時間子どもを見てほしい日があったり、日々困ったときにSNSで呼びかけると、助けてくれる人が見つかるというちょうどいい仕組みなのです。
 
助けてくれた人には1時間500円〜の謝礼を払います。けがや事故が起こった場合も、このサービスを使った場合は保険がきくので安心ですね。
 
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子どもを預かったり、イベントを運営するのは「ママサポーター」と呼ばれる人たち。多くは未就学児、とくに3歳以下の子どもをもつ親です。ママサポーターも我が子をつれて、送迎・お預かり・地域交流の場づくりイベントを行います。ボランティアではなく、自分の労働の対価として報酬をしっかりもらえるのも特徴です。

子育てや教育の分野で新しい取り組みをしようとすると、裕福な人から寄付をもらうか、ボランティアとして運営するか、大きくは2つのパターンがありますが、AsMamaでは伊勢丹や資生堂、学研教室など企業から支援をもらうことで、子育て世帯に負担をかけずに事業を運営することに成功しているのです。

そのビジネスモデルが評価され、「ジャパンベンチャーアワード2014」を受賞するなど、いま注目を集めています。

世の中に必要なモノをボランティアにしてはいけない

“子育てシェア”をボランティアではなくお金に仲立ちさせる。でも、イベントでは子育て世帯から極力お金をとらない。その強い決意の背景には、社長・甲田恵子さんの信念がありました。
 
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AsMama代表取締役 甲田恵子さん

学生の時から世の中になにかよいことをしなければという思いがあって、ボランティアに多く関わってきました。

でもボランティア活動と仕事の予定がバッティングしてしまったとき、気軽に仕事の方を選び、ボランティアを断ってしまったんですね。次にボランティア活動に参加してみると、私の役割にすごく期待されていたことに気付き、申し訳なく感じて。

そこで世の中に必要なことはボランティアではなく対価をともなって、提供する人もされる人もコンスタントに豊かさを享受できる仕組みでないと続かないと思ったんです。

リーマンショック後、会社都合でベンチャー投資会社を退職し、職業訓練校でウェブ制作を学んだ甲田さん。そこには同世代の女性が数多くいました。みなさん知的で的確な受け答えをする人ばかりにも関わらず、出産を契機に退職を余儀なくされていたのです。そんな現実へのやりきれない思いから、2009年AsMamaの設立を決心します。

イベント会社になりたかったわけじゃない

はじめは子育てを助けたい人と助けてほしい人をつなげる交流会に軸をおいていました。

口コミで広がり、マスコミでもとり上げられ、さまざまな企業から場所・もの・金銭の協賛をもらえるようになりました。参加者もはじめは数人だったのが30人、100人と増えていきます。

ですが2010年8月、渋谷で600人規模の「0歳からのクラシックコンサート」を開催したときのこと。舞台袖で観客の表情を見て、はっとしました。

来場してくれた人たちは、コンサートがなんのためになされているか、協賛会社やAsMamaが何を目指す会社か、気にする人はだれもいなかったんです。隣に座った人や会場にはどんな人がいるんだろうと気にしている人は誰もいない。愕然としましたね。

目的が交流を成り立たせることから動員数を増やすことにすりかわってしまったことに気づき、仕切り直しを決意しました。

1000人の声で確信をもてた

暗礁に乗り上げてしまった同時期、「社会起業塾」に採択されました。

一般的なお母さんがターゲットですとメンターの起業家さんにプレゼンしたところ、一般ってなに、全然意味が分からないと返されてしまって。いろいろなことを訊かれ続けるうちにターゲットがよく分からなくなり、1000人アンケートをしてみようという話になったんです。

「子育てを頼りあえる仕組みや文化をつくりたい。お母さんたちが引きこもって子育てをする現状を解決するために、本音を聴かせてほしい」と意図をはっきり伝えると、共感する人が大勢回答をくれました。

絶対になんとかしなければという使命感と、なんとかなることで社会はまちがいなく豊かになるという可能性を感じたAsMamaは、アンケートを原動力に、再始動します。

企業も家庭もAsMamaも嬉しい、Win-Win-Winモデル

子育て支援のイベントをやる際は、場所・商材・資金を企業に提供してもらい、ネイル・お掃除・子どもとの接し方などさまざまなワークショップやセミナーを開いています。

以前とちがうのは、ママサポーターや子育てシェアのサイトを知ってもらうことが活動の軸にあること。

その中で、パートナー企業が子育て中の親にどのような思いをもっているかを伝えます。あえて宣伝色をもたず企業を紹介することで、どんなすばらしいサービスを行っているのか宣伝するよりも広報効果があるそうです。 

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交流会では子ども同士知り合って一緒に遊ぶ中、大人同士も地域の園・学校情報を交換したり、おしゃべりしたり。AsMamaのイベントでの出会いをきっかけに預け合ったり集まったりすることも。在宅で仕事をしている人同士が「こんなコラボやりましょうよ!」と盛り上がって次につながることもあります。

小さい子と向き合っていればストレスがたまるのは当たり前ですよ。それをママが一人で抱えこむ。両立できなくて仕事を辞めると、世帯収入が減ってよけい贅沢できなくなって引きこもる。親が引きこもるほど子どもはいろいろな価値観や社会性を学ぶ機会が減る。

人に頼るのはよくないことなんだと子どもは潜在意識に刷り込まれてしまう。そして思春期以降に孤独感を強く抱いたり、自分を価値のない人間と思ってしまったりする。

すべての根元は引きこもり子育てなんですよね。だから子育ては頼った方がいいんです。

すべての活動にこめられた願いです。

AsMamaのasには「〜として、〜のように」という意味があります。「ママとして、パパとして、イキイキ生きられる社会を創りたい」「ママのように、パパのようになりたいと子どもたちが思える社会をつくりたい」というのが会社がめざす文化です。

「成功するまでやります」

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今後は”子育てシェア”だけでなく、”介護シェア”などの他分野や、海外展開も視野に入れているという甲田さん。同時に、発達障害などおなじ課題を共有している家族同士でつながれるような仕組みも整えていきたいと語ります。

オンラインでのつながりとオフラインの地域交流の場づくり、この2本立てでさまざまな課題を解決できるよう、どんどん広めていきたいと思っています。

よく「失敗がこわくないんですか」と訊かれるのですが、目指すものがあって、自分が辞めない限りはないんですよ、失敗って。落ち込むことはあるけれど、すべてが成功するためのプロセスでしかない。

いま娘が8歳で「20歳になったら、あなたが世界中どこに行っても困ったときに頼れる仕組みにしてあげる」という約束をしているんです。あと12年、なんとか続けたいですね。

頼り合えるネットワークがすぐそばにある。それがあたりまえになれば、安心して子育てができます。AsMamaのとりくみが広がってゆけばゆくほど、誰もが生きやすい社会へと変わっていくことでしょう。

みなさんも”子育てシェア”のこと、考えてみませんか?