連載でお届けしている、カンヌライオンズ・国際クリエイティビティ・フェスティバルのソーシャルグッドな受賞作。今日はデンマークの施策をご紹介します。
北極海は、かつて氷に覆われていました。ところが温暖化が進んだことで氷が解け、いま北極海ではその下に眠る天然ガスや石油を狙って、世界各国が競うように開発を進めています。温暖化でできるようになった開発で、さらに温暖化の原因となる天然ガスや石油を掘り出す。そんな狂った循環が、静かなイメージがある北極でいまも進行しているのです。
北極での環境破壊。遠い話のように思われるその問題を、多くの人に知ってもらいたい。そんな思いでつくられたのが、国際NGOグリーンピースによるデジタルコンテンツ「Into the Arctic」です。
北極での実態を伝えるべく、4人の探検家が北極に向かいました。そして、「Into the Arctic」のサイトでは、彼らの動きをリアルタイムで追うことができ、探検家たちが現地から投稿するブログや写真を見ることができるような仕組みに。環境コンテンツというよりも、過酷な旅をリアルに疑似体験できる冒険コンテンツとして作りこんだんですね。
ウェブ上の地図では探検家たちの道のりはもちろん、さらに希少な生物が生きる場所やその生態についての情報、そして天然ガスや石油が採掘されている場所をマッピング。冒険を追ううちに、北極がかけがえのない生態系を育む場所であること、そしてその環境を奪う開発が行われていることも分かるようになっていました。
サイトでは北極海の自然を守るための署名もできるようになっており、この体を張った取り組みによって、360万を超える署名が集まったそうです。
いま東京で流通しているガスのほとんどは、北極で採掘された天然ガスだと言われています。気候変動の影響が日常でも感じられるようになってきているいま、このようなコンテンツは日本にこそ必要なのではないかと思わされました。
カンヌライオンズ受賞作の連載はまだまだ続きます!引き続きお楽しみに。
(翻訳協力:モリジュンヤ)