突然ですが、みなさん図書館は好きですか?
中には、新しい本が少ない、暗い、古い…もしかしたら、そんな印象を持っている方もいらっしゃるかもしれません。また、昔はよく図書館に行ったけど、今は電子書籍で十分、という方も。
今回ご紹介するのはカナダのハリファックス市で、2014年12月にオープンした「Halifax Central Library」。こちら、わたしたちの図書館に対する”イメージ”を大きく変えてくれる革新的な図書館プロジェクトなんです!
まず、建物全体に張り巡らされた窓が特徴的。まるで図書館が街に溶け込んでいるような気分になれそうです。置かれているのは、もちろん本。そして電子書籍も準備されています。
街の景色がダイナミックに広がる、読書スペース。ここで本を読んでいたら、自然に街を愛せるようになりそう。
カフェで行われることの多い読書会も、こんなにおしゃれなら図書館でやりたくなっちゃいますね。人との交流が自然に生まれる場所になりそうです。
大人だけではなく、キッズコーナーにはカラフルな家具が配置され、家族が楽しむことができます。図書館とは思えないほどのはしゃぎっぷり。
そして、若い世代向けには、話題のDVDや、なんとゲームができるコーナーも。もちろん、集中して勉強ができるスペースも設置されています。
こちらは、地元の起業家のためにつくられたというミーティングスペース。他にもグループ活動のための場所や、コンピュータ、そしてもちろんWifiも完備です。
音楽を聴くだけではなく、ここでは楽器を持ちこめば、演奏、録音、さらにCDを焼くこともできる音楽スタジオが2つ設置されています。
なによりも、インパクトがあるのは、ホール。開かれた空間は、300人が使用することができます。ここで企画を行うこともあれば、発表会やパフォーマンスを行うことも。それ以外のときは、自由に使えるオープンスペースとなっています。
そして外観は、レゴブロックを組み合わせたように見える、独特のデザイン。建物自体も、CBCによって世界の10つの美しい図書館に取り上げられるほどに、洗練されています。
冬にはこんな幻想的な雰囲気に!
この図書館の建設計画がはじまったのは、ハリファックス市が合併を行った2010年ごろ。新たなまちづくり計画の一部としてと、古くなった図書館をリニューアルも企画されはじめました。
予算の多くは、市や州によって提供されました。しかし一部足りない資金は、市民からの寄付によってまかなわれたそうです。4億6000万円以上の寄付を集めたそう。現在も継続して、寄付の募集をしています。
図書館の設計についても、市民との話し合いが積極的に行われ、市の施設とはいえ行政からの意見だけではなく、お金・意見ともに市民と一緒につくりあげました。
「私たちは市民をこの図書館のつくり手の一人として迎え、この図書館への誇りを共有したい」と話すのは、Halifax Central Libraryのディレクターを務めるBruce Gormanさん(以下、ブルースさん)。
ブルースさんは図書館ではなく、”街のリビング”というテーマでHalifax Central Libraryをディレクションしていると話します。
Halifax Central Libraryのテーマは、すべての年代、すべての世代が楽しめる”街のリビング”です。だから、ここでは静かにする必要はないんですよ。
そしてここに来るときは、「図書館に行こう」と思う必要はありません。ここは、そんな”みなさんの図書館のイメージを変える場所”だと思っています。
図書館のメインスタッフの皆さん。一番右が、ブルースさん。
図書館を、ただ知識をインプットする場所ではなく、自宅のリビングで過ごすときのように家族と楽しみリラックスし何かを表現ができる、そんな自然に人が来たくなるリビングルームにしたHalifax Central Library。
知識の共有の場と集客。図書館は時として、その2つのジレンマの間に立たされるそう。
どちらかだけではなく、そのどちらも楽しく行える”街のリビング”というコンセプトは、これからの図書館の新しいモデルと言えます。週末を図書館で過ごすのが、だれにとっても魅力的な選択肢になる日も近いのかもしれません。
公共空間は、だれもが使える”みんなの場所”。じっくりと調べてみると、わたしたちが自由に使える場所は意外にたくさん。ぜひ、みなさんの街の「公共空間の使い方」も見直してみてはいかがでしょうか。
Halifax Central Libiraryは、3Dツアーとして内部を探検いただけます。
[via Halifax Central Library,facebook,This City Life,CBC]
(企画 / Text:きとうかよ)