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あなたの企画で、キャンプ場&地域をもっと楽しくする。「源じいの森」のキャンプライフ・コーディネーターという仕事 #仲間募集

この求人のグリーンズジョブでの募集期間は2023年1月13日(金)〜2月12日(日)です。
募集団体が設ける締切や募集詳細については記事末をご覧ください。

ほしいキャンプライフは、つくろう。

3年前にそんな合言葉を掲げ募集した福岡県赤村の地域おこし協力隊、その名も「キャンプライフ・コーディネーター」。2023年4月に第1期の任期が終了することにともない、第2期として3名の「キャンプライフ・コーディネーター」の募集がはじまりました。

「地域おこしなのにキャンプ?」と驚かれる方もいるかもしれませんが、赤村にある「源じいの森」のキャンプ場を盛り上げること自体が、地域の活性化につながるめずらしいお仕事なのです。

今回は、グリーンズジョブの記事を通じて着任した第1期の「キャンプライフ・コーディネーター」の皆さんにもお越しいただき、協力隊着任後の3年間を振り返りつつ、「キャンプライフ・コーディネーター」とはどんなお仕事なのか、詳しく伺いました。

【赤村の過去の記事はこちら】
ほしいキャンプライフは、つくろう。福岡県赤村の「源じいの森」で活動する「キャンプライフ・コーディネーター」の仕事

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30周年を迎えた「源じいの森」

求人の舞台となるのが人口3,000人ほどの、福岡県赤村。春頃にはたくさんのホタルが姿を現す自然が美しいこの地域は、北九州空港まで車で1時間弱で、平成筑豊鉄道田川線という1両の小さな電車が22時半ごろまで走っており、アクセスはさほどわるくありません。

赤村は、2019年に村制施行後130周年を迎えました。地域の過疎化が進み市町村同士の合併が続くなか130周年を迎えたことは、小さいながらも自立経営をつづけてきたことの成果でもあります。

そんな赤村の顔となるのが「自然学習村 源じいの森」。地元の人にとっては誰もが一度は足を運んだことがあると言っていいほど、馴染み深い場所です。1992年にオープンし、今年で30周年を迎えました。

「源じいの森」を囲む美しい自然。取材の合間には、季節や時間によって移ろう景色をお散歩しながらゆっくりと味わいました。

「源じいの森」は宿泊施設、キャンプ場、研修・会議・運動やコンサートのできる多目的ホール、食堂、温泉を兼ね備えた施設。特にロッジやバンガロー、ドームハウスを揃えた川沿いのキャンプ場は、福岡県で最大級の広さを誇ります。

取材の日は急激に寒くなった冬の季節であったにもかかわらず、焚き火をするキャンパーや自然学習に訪れた高校生、温泉に入りに来た地域のおじいちゃんおばあちゃんなど、さまざまな世代の来場者の姿が目に映りました。(「源じいの森」や赤村での暮らしについて、さらに詳しく知りたい方は以前ご紹介した以下の記事をご覧ください。)

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第1期「キャンプライフ・コーディネーター」の3人が「源じいの森」にもたらしたもの

時計の針を戻して、約3年前。グリーンズが初めてお邪魔した際には、「閑散期も含めてキャンプ場を盛り上げていきたい」という願いを込めて、初の「キャンプライフ・コーディネーター」の募集に至った経緯を語ってくれました。

あれから約3年。3名の「キャンプライフ・コーディネーター」が赤村に移住し、新型コロナウイルスでの外出自粛の影響を受けながらも、革新的なアイデアと実行力で「源じいの森」に変化をもたらしてきたと言います。2023年の4月で地域おこし協力隊の任期を終える3名ですが、どんなことに挑戦し、「源じいの森」はどのような成長を遂げたのでしょうか?

赤村役場で地域おこし協力隊の受け入れを担当している松本優一郎(まつもと・ゆういちろう)さん、「源じいの森」支配人の庄﨑茂(しょうざき・しげる)さん、そして、今年地域おこし協力隊の任期を終える藤木彩(ふじき・あや)さん竹田美理(たけだ・みさと)さん本田真弓(ほんだ・まゆみ)さんにお話を伺いました。

(キャプション)左から、「源じいの森」支配人の庄﨑さん、赤村役場の松本さん、そして「キャンプライフ・コーディネーター」の竹田さん、藤木さん、本田さん

 

松本さん 学生やファミリー層、女性のソロキャンプなど、いままでアプローチできていなかった層のお客さんがぐっと増えました。天然温泉の来場者もこの3年で3万人ほど増加し、冬のキャンプ場も予約が取れない日もあります。「キャンプライフ・コーディネーター」の3人が、役場や「源じいの森」の職員では決して思いつかないアイデアをたくさん出してくれたおかげだと思っています。

「キャンプライフ・コーディネーター」発のイベントをいくつも開催したことで、来場者の減少に最も頭を抱えてきた冬の時期にも、お客さんの姿を見ることが増えたそう。特に2021年の冬に実施した竹を活用したイルミネーション「あか村ふるさと冬あかり」は、今後も源じいの森の名物企画として継続していく予定なのだとか。

「あか村ふるさと冬あかり」は、本田さんの発案を皮切りに、藤木さん、竹田さん、そして「源じいの森」の職員の皆さんで話し合い、企画から集客、当日のオペレーション、イルミネーションの制作まで、すべて自分たちの手でつくり上げたものです。

源じいの森で一緒にキャンプをするキャンプライフ・コーディネーターの3人(画像提供:藤木さん)

クリスマス期間は特別に、焚き火を各所に配置しフードやショッピングを楽しめる「焚き火マルシェ」も開催されました。この「焚き火マルシェ」は藤木さんが発案したものです。

本田さん 「あか村ふるさと冬あかり」は、イルミネーションというキャッチーさもありながら、「源じいの森」の美しい自然を引き立てるような魅力があります。Facebookで呼びかけた結果、カップルや若い層など新規のお客さんがたくさん足を運んでくれました。

竹あかりを見ながら、焚き火を囲んでおしゃべりを楽しむ人たちの姿を見て、「ああ、私が見たかったのはまさにこの景色だったんだなあ」と。大変なこともたくさんあったけど、「また来年もやろうね」とみんなで言い合えるようなイベントが生まれて、とてもうれしいです。

大盛況となった「あか村ふるさと冬あかり」と「焚き火マルシェ」ですが、これらはあくまで「源じいの森」が新たに挑戦したことのほんの一部。

他にも、2日で800人の来場者が訪れた藤木さん発案の「キャンプギアフリーマーケット」や、ファミリーのお客さん増加につながった竹田さん発案の「子ども向け農業体験」の開催、そして宿泊施設の内装のDIY、キャンプ飯に最適なスパイスの開発と販売、「源じいの森」の看板デザインの刷新など、細かいものを含めるとここには書ききれないほど。

それぞれの経歴や得意なことをいかし、「源じいの森のために自分は何ができるか」を考え実行していった結果、来場者数や客層に大きな変化をもたらしました。今後は、「源じいの森にいけば何かおもしろいことがある」とお客さんに感じてもらえるように、3人が蒔いてくれた種を村全体で育てていくことが目標です。

松本さん 3人が来てくれたことによって、僕のような赤村役場の職員たちも「源じいの森ってこんなに可能性のある場所だったんだ」と、多くの刺激を受けました。

3人が生み出してくれた「源じいの森」の新しい可能性を、一過性のものとして終わらせてしまってはもったいない。ちゃんと引き継いで「源じいの森」に根付かせていくために、継続して「キャンプライフ・コーディネーター」を募集したいと思いました。

地域の人たちの拠り所として。「源じいの森」のこれから

赤村は日本のほとんどの自治体と同じように、少子高齢化に伴う人口減少や、産業の衰退にみまわれています。そういった状況を打開するために、「源じいの森」が果たすべき役割とは一体どんなことなのでしょうか?

庄﨑さんは、「地域プロジェクトマネージャー」として2022年5月より「源じいの森」支配人に着任。地域おこし協力隊と同様、3年間の任期があるため、今回募集する「キャンプライフ・コーディネーター」とは約1年間ともにお仕事をしていきます。地域でのイベント企画の経験が豊富な庄﨑さんですが、「温泉ソムリエマスター」と「卓球療法士」という、つい詳しく聞きたくなってしまうユニークな肩書きもお持ちです。

庄﨑さん 「源じいの森」には、赤村を活性化させることや地域の人たちの生涯学習、健康促進の場としての役割があります。また、地域の人たちが後継者問題や産業衰退で困っているときに、「源じいの森」に相談すれば打開策が見つかるかもしれないと感じてもらえるような、地域の拠り所としての意義もあると個人的には感じているんです。

しかし、今の「源じいの森」は人手不足も相まって、お客さんの対応など現場を回すことで精一杯。自分たちの仕事をどう赤村の活性化につなげていけるかまで考えられるほどの余裕があるとは言えない状態なのだとか。「キャンプライフ・コーディネーター」の視点を借りながら、「源じいの森」が持つ可能性をどう赤村の活性化に落とし込んでいけるかが今後の課題です。

松本さん 正直にいうと、現状「源じいの森」の収益は下降しています。そこに対しては、役場や職員、マネージャーの庄﨑さんと真剣に考えていく必要があると思っています。

ただ、地域おこし協力隊に関しては、集客人数や売上など数値目標を設けるようなことはしません。3年でできることには限りがあるし、財政状況に縛られず、自由なアイデアを出すことを優先してもらいたいからです。

地域おこし協力隊の活発な動きによって赤村の人たちが刺激を受け、村が内側から変わっていく。その結果として、収益下降の流れから脱却することにもつながる糸口が見つかるのではないかという期待が、「キャンプライフ・コーディネーター」を継続して募集する背景にあります。

キャンプの魅力を発掘し、発信する「キャンプライフ・コーディネーター」

「キャンプライフ・コーディネーター」とは、「源じいの森」を拠点に、「キャンプライフ」の魅力を発掘し、より多くの人に届けていくお仕事です。今回募集する3名には、それぞれの役割・ミッションが設けられています。詳しく見ていきましょう。

1人目は、アウトドア好きの方が最も手腕を発揮しやすい「キャンプデザイン企画担当」。川沿いのキャンプ場や竹林、ログハウス、バンガローを活用したイベントの企画から集客、実施までを一貫して担当します。

キャンプ場では、川のせせらぎを聞きながら、焚き火を囲むことができます。(画像提供:赤村役場)

松本さん 藤木さんが提案してくれたようなキャンプギアフリーマーケットなど、キャンプ好きにはたまらない企画はもちろん、家族みんなで楽しめるようなイベントや、冬でも暖かくキャンプを楽しむ企画など、お客さんの記憶に残るような魅力的なキャンプ場をつくってもらいたいです。

また、ログハウスやバンガローでの宿泊をより楽しんでもらえるように、DIYを通じた内装デザインのコーディネートもお願いしたいと思っています。

新築のドームハウスには、家具家電が揃っています。このおしゃれな内装は「キャンプライフ・コーディネーター」の皆さんからの提案で作り上げたものです。(画像提供:赤村役場)

「こんなキャンプ場があったらいいのにな」という空想を福岡県最大級のキャンプ場で実現できるお仕事。キャンプに詳しい方やアウトドア関連企業で働いた経験がある方など、趣味だけでなく仕事でもキャンプに携わりたい方にぴったりなのではないでしょうか。

2人目は、「源じいの森」の「ほたる館」にある多目的ホールや温泉の大広間、会議室などの各部屋を使ってイベントを企画し、メディア発信をおこなっていく「コンテンツクリエイター担当」。

「源じいの森」は、キャンプ場や温泉には年間数万のお客さんが訪れますが、「ほたる館」にある団体客の受け入れが可能な多目的ホールなどが活用しきれていないという課題があります。そういった「源じいの森」のハコ(施設)を活用して、アウトドア関連だけでなく、企業研修やワークショップ、展示会など、幅広い新規層やメディアが関心を持ってくれるような企画を立て、実施していきます。

運動場としても使える多目的ホール(画像提供:赤村役場)

「ほたる館」にある広々とした和室。他にも「ほたる館」には洋室の研修室が3部屋あります。(画像提供:赤村役場)

「コンテンツクリエイター担当」には、既存顧客に楽しんでもらうこと以上に、テレビや新聞、webメディアなどの媒体や参加者がSNSで取り上げたくなるような企画を生み出し、新規顧客の集客につなげていくことが求められます。

松本さん 「源じいの森」は、地元の人以外にはまだまだ知られていないのが現状です。知っていたとしても、学校や企業の自然学習の場としてのイメージが強く、それも「源じいの森」の魅力のひとつではありますが、もっとトレンド感があってワクワクできるような企画もつくっていけるんじゃないかと思うんです。

例えば、温泉の大広間を映画館にしてみたり、アート作品で施設内を彩ってみたり、赤村はホラー映画の撮影で使われたこともあるので、その宣伝と合わせてお化け屋敷をやってみたり。メディアも思わず取り上げたくなるような独創的なアイデアを生み出してもらいたいです。

イベントをきっかけとしたメディアとの関係構築や、取材のコーディネートも重要な業務となってきます。経験は問いませんが、テレビや雑誌、広告代理店など、メディア関連の職務経験がある方が適任かもしれません。

「ほたる館」の受付近くにある囲炉裏と畳が特徴的なスペース。朝、畳のスペースを使ってヨガをしている方を見かけました。Wi-Fiも通っているので、いろいろな活用方法がありそうです。

3人目は、「源じいの森」と赤村が持つ観光資源を活用し、お客さんのニーズによって選べる赤村の観光パッケージツアーをつくる「ツアークリエイター担当」。例えば、赤村には運行開始から19年のトロッコ列車(観光列車)があります。赤村の重要な観光資源ではあるものの、現在はボランティアで運用され、後継者問題にもみまわれています。

そういった赤村の観光資源と「源じいの森」の両方を掛け合わせたパッケージツアーをつくり、当日のお客さん対応などツアーコンダクターとしてのお仕事も担います。

赤村のトロッコ列車。運転免許のない方でも運転ができるため、「ツアークリエイター担当」はトロッコ列車を使ったツアーの際には運転手を務めることもできます。(画像提供:赤村役場)

松本さん トロッコ列車の他にも、赤村特産物センターや登山ルートなど、「源じいの森」以外の観光資源を掛け合わせたツアーをつくることで、赤村全体を盛り上げてもらいたいです。

例えば、トロッコ列車の途中に大きなトンネルが2つあるのですが、そこで途中下車して楽しめるマルシェを開いたり、作品を飾ってアートツアーにしてもおもしろいですよね。「源じいの森」に帰ったら、キャンプ場でバーベキューをして1日の終わりには温泉に入ってもらうとか。「源じいの森」だけでなく、赤村全体の魅力もお客さんに体験してもらえたらと思っています。

「ツアークリエイター担当」は、「源じいの森」から一歩外に出て赤村全体の観光課題に向き合う必要があります。トロッコ列車の運営メンバーとの連携や、ツアーに参加してくれるお客さんの要望のヒアリングなど、地域の人たちとお客さん双方へのコミュニケーション力が鍵となります。

このように3人それぞれの役割とミッションが設けられていますが、1人で企画から実施まで完結させるというよりは、「源じいの森」の職員の方々や他の「キャンプライフ・コーディネーター」のメンバーとチームを組んで実施していきます。

第1期の3名も着任時はそれぞれの役割が明確に分かれていましたが、本人たちの希望により、役割の垣根を超えて自由に動ける体制に変更したのだとか。最初から役割が明確でないと「何からはじめたらいいかわからない」と悩んでしまう場合もあるので、募集段階では分けているそう。しかし、実際に任期がスタートしてからは、その人の得意なことがいかされるよう柔軟に体制をつくっていくため、役割に縛られる必要はないと補足してくれました。

“好き”や“得意”を入り口に、何でもトライできる3年間

「源じいの森」や赤村を盛り上げるために、自分の好きをいかした企画の実現に向けてチャレンジできるのが「キャンプライフ・コーディネーター」の仕事の魅力です。4月で協力隊の任期を終える3名に、改めてこの仕事のやりがいを聞いてみました。

竹田さん 一番印象に残っているのが、子ども向けの農業体験を実施した際、赤村の農家さんに「竹田さんがいてよかった」と言ってもらえたことです。

農業の経験がなかったので、最初は何をすればいいかわからなかったのですが、農家さんが忙しくて手が回らなかったイベントの実施やSNSでの発信など、知識や経験はなくてもできる範囲でやればいいんだと、「自分ができること」を見つけていきました。この一言が「キャンプライフ・コーディネーター」をつづけていく上で、すごく自信につながったなあと感じています。

 

藤木さん 私も自分の企画によって、お客さんが喜んでくれたことが一番思い出に残っています。ガレージブランド「YOKA」のデザイナーさんをお招きして、お客さんと一緒に「源じいの森」に宿泊するイベントを開催したんですけど、小規模のイベントでしたが、来てくれたお客さんとデザイナーさんの喜びの深さが伝わってきて。そういう喜びが「また来たい」と思わせる「源じいの森」のブランド力につながってくるんじゃないかなあと思っています。

ガレージブランド「YOKA」のデザイナーを招いたイベントの様子(画像提供:赤村役場)

自分の“好き”や“興味関心”を入り口に「源じいの森」というフィールドを最大限に活用して、やってみたいことにチャレンジできること。そして、お客さんや地域の人が喜ぶ姿を直近でみられること。「キャンプライフ・コーディネーター」の仕事のやりがいはそういったところにあるようです。

一方、大変だったことを伺うと「私たちがやりたいことと、地域の方が大事にしていることとのバランスをとるのがむずかしかった」という同様の答えが3人から返ってきました。

竹田さん 「新しいアイデアをたくさん出そう!」と意気込んでいましたが、地域の人たちがこれまで大事にしてきたこともある。そこを無視して進めるわけにはいきません。

でも、実際にイベントをやってみると「いいね、またやりたいね」と言ってもらえることもあって。形にするまで推し進める意志力と、地域の人と丁寧にコミュニケーションをとることが不足していたんだろうなあって、着任時の自分を振り返って感じますね。

本田さん 私も、ネット上でキャンプ場にネガティブなレビューがつくことってどうしてもあると思うのですが、一方で地域の方が大事にしていることもあるのでなかなかすぐに改善することはむずかしく、もどかしい気持ちになったことがありました。

私たちがイベントを開催して盛り上げていくことはできても、関わってくれる皆さんが賛同してくれない限り、一過性のもので終わってしまいます。協力隊の立場でできることには限りがありますが、「私たちがやりたいことと、地域の方が大事にしていることとのバランスをとる」ことは、新たなキャンプライフ・コーディネーターの方もぶつかる壁かもしれませんね。

アイデアはたくさん出せてもそれを実現するための意思決定フローが整っていなかったことも、コミュニケーションに苦労を生んだ要因だったと振り返ります。現在はチーム制度をつくり、責任者がOKを出せばスピーディーに進行していけるような体制を整えている最中だそうです。

藤木さん 体制を整えることで、私たちの時よりはコミュニケーションがスムーズになるんじゃないかなと。ただ、それでも一般企業のようなきっかりとした体制は期待しないほうがいいです(笑)説明力や、伝えつづける胆力のようなものはやはり必要になってくると思います。

そういった壁を前にモチベーションが保てず、竹田さんと藤木さんは辞めたくなったことも何度かあったそう。しかし、松本さんと庄﨑さんのサポートに加え、常日頃から3人でコミュニケーションをとってきたことが、ここまでつづける力になったと言います。

藤木さん 3人いたからつづけられたんだと思います。特にチーム体制ができる前は、地域の方とも竹田さん、本田さんとも自分から声をかけていく必要がありました。時間もかかるし、企画を進める上で最初はすごく遠回りなやり方に感じていたんです。

でもいまは、一人ひとりと丁寧に話をしていくことが、実は一番の近道だったのかもしれないなって。ただ自分がやりたいだけではなくて、「地域にとってなぜその企画が必要なのか」を考え伝えていくプロセスを経験できたことは、今後地域で活動していく上ですごく大切な学びになったと思います。

アウトドア・地域貢献の領域で独り立ちも可能

力を合わせて乗り越えてきた3人ですが、企てる企画がユニークであったように、描く今後のキャリアも三者三様。

藤木さんは今後も「源じいの森」のブランディングに関わることも視野に入れながら、アウトドア領域でのイベント企画をおこなう会社の設立に向けて準備中なのだそう。起業することは協力隊着任前から決めていたことなのだとか。

藤木さん 経験がまっさらなところからの起業は難しいと思っていたので、この3年で「源じいの森」というフィールドを持ち、地域おこし協力隊という立場で実績を積めたことにすごく感謝をしています。そのおかげで、アウトドア関連の人脈も広がったし、少しずつ企業からお仕事の相談をいただけるようになりました。

一方、本田さんはこの3年間で実績を積んだデザイン制作を続けていく予定ですが、実はそれ以外にもチャレンジしたいことがあるそうです。

本田さん 2人の子どもがいるのですが、子どもたちと一緒に移住して誰も知らない場所で3年間楽しく過ごせたことが大きな自信につながりました。あまり経験がなかったキャンプも、自分で火をつけられるようになって。

自然の中で過ごす体験は、大人も子どもも自信をつけていくうえですごく有効だと思うんです。そんな実体験をいかして、子どもや両親が気軽に遊びに来れるイベントをいろんなところで実施したり、ゆるやかにつながる地域コミュニティをつくっていけたらいいなと思っています。

もともとアウトドア関連の企業に勤めていた竹田さんは、会社を辞めて地域に飛び込むことでまったく新しいやりたいことが見つかった様子。人のキャリアを支援する仕事に就くために、キャリアコンサルタントの資格取得に向けて準備を進めているそうです。

竹田さん 以前勤めていた会社で出会ったようなアウトドアの仕事をしている人って、自分の好きなことを仕事にしていてバイタリティのある方が多かったんです。でも、この仕事を始めてからさまざまな人と出会うなかで、「他に行く場所がないからこの仕事をつづけているんだ」といった本音が聞こえてくることがあって。

「そうか、みんながみんな、やりたいことを仕事にできるってわけじゃないよな」とハッとさせられました。今後は、誰かが自分らしいキャリアを築いていくお手伝いをしていけたらうれしいです。

思い描くキャリアは3人それぞれ異なります。しかし、この3年で築いたスキルや人との出会い、新しく見つけた自分の興味関心をいかし、アウトドアや地域・社会貢献の領域で独り立ちしていきたいという想いは、共通しているように感じました。

一番大切なのは「やり切る力」

ここまでお話を聞いてきて、企画力、実行力、集客力、コミュニケーション力など、さまざまなスキルが必要に感じましたが、それ以上に大切なのは、やっぱり気持ちの部分。最後に、改めてどんな人に応募してきてもらいたいか、松本さんと庄﨑さんに聞いてみました。

松本さん 3人が苦労したように、アイデアはたくさん出せても実際に形にするのはそれなりの胆力がいることです。地域の人たちに協力してもらえるように説明をしたり、形にしていくプロセス自体を楽しめる人が向いているんじゃないかなと。

自分のやりたいことはなんだってできる仕事ではあるけど、1人で走り切るよりも、地域の人たちと手を取り合ってつくり上げていくことが、この仕事の喜びだと思います。

庄﨑さん これまでいろんな地域を見てきましたが、「最後までたためる人」ってすごく少ないんですよ。イベントは、企画を立てて人を動かし、当日を無事に終えて、お金の勘定までして、それでやっと実績になるんです。逆に言えば、最後までやり切ることさえできれば、地域にとってすごく貴重な存在になれると思います。

好きなこと、得意なことを入り口に発想し、実現するまでやり切る力。特に最初の1年目は、小規模なイベントを企画から実施まで最後までやり切ることが大切です。そこで積んだ成功体験が「キャンプライフ・コーディネーター」としての自信につながっていくことでしょう。

また、長らくさまざまな地域を見てきた庄﨑さんは、一度地域おこし協力隊に挑戦してみたけれどうまくいかなかった経験を持つ人にも、ぜひ再びチャレンジしてもらいたいと話してくれました。

庄﨑さん 地域おこし協力隊に限らず、やり切れず不完全燃焼で終わってしまう理由は、本人のせいだけではないことが多いと思っています。場所を変えれば、また輝ける可能性はいくらでもある。

「源じいの森」はたくさんの可能性を秘めた場所ですから、「この3年であたらしいキャリアをつくるぞ!」という強い意志さえあれば、きっと活躍してもらえるんじゃないかなと思います。

お話を聞いていて、第1期「キャンプライフ・コーディネーター」の皆さんの仲の良さと、この3年で見つけたことを胸に自分らしいキャリアを築いていくんだという、1人ひとりの頼もしい姿が印象的でした。

「源じいの森」という、いろいろな可能性を持った場を最大限に活用することで、自分の“好き”や“得意”を地域活性化につなげていける。その過程では大変なこともたくさんあるかと思いますが、ゼロから成功体験を積んでいける素敵なお仕事だと感じました。

「アウトドア好きをいかして仕事がしたい」「キャンプの新しい魅力を世の中に届けていきたい」。そんな方からの応募をお待ちしています。

(撮影・編集:山中康司)

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– INFORMATION –

1/23(月)・2/5(日)にイベントを開催!

 
1/23(月)にトークセッション(オンライン開催)、2/5(日)に仕事体験会&応募相談会(東京でのリアル開催)を開催します。トークセッション後にも、任意参加の簡単な採用説明会を予定しています。
今回の求人に興味がある方はもちろん、「キャンプ×場づくり」というテーマに関心がある方は、ぜひお気軽にご参加ください。


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