「働く」で社会を変える求人サイト「WORK for GOOD」

greenz people ロゴ

手放すからこそ得られる感覚がある。『今求められるミニマリズム』を観て、私は「大切なことを取り戻す」ことを始めたくなった。

あなたは、自分の身の回りがモノであふれていると感じることはありますか?

洋服がぎっしり詰まったクローゼット。
子どものおもちゃが散乱しているリビング。
捨てられずに眠っている思い出の品。

家の中を見まわすと、なんとかしなきゃ、とちょっぴり憂鬱な気分に。モノを減らして気持ちよく暮らせたらいいのに、と思ってしまいます。

「実際にスッキリ暮らせたらどうなるのだろう」という問いに一つの答えを示してくれるのが、今回ご紹介するドキュメンタリー『今求められるミニマリズム(The Minimalists: Less Is Now)』です。

必要最小限のモノで生活する“ミニマリズム”ムーブメントの火付け役、ジョシュア・フィールズ・ミルバーン(以下、ジョシュア)とライアン・ニコデムス(以下、ライアン)が製作・出演しているNetflix配信の本作。なぜ2人が“ミニマリスト”になったのか、彼らのストーリーを軸に、有識者のコメントや実践した一般の人たちの声も交えながら、“ミニマリズム”が求められる背景を読み解いていきます。

手放すことで得られるものって?

私の中の”ミニマリスト”は、とにかくモノがない部屋に住んでいる、といった少し極端なイメージ。「必要最小限」ってなんだか味気ないな、とも思ってしまいます。

ジョシュアによると、“ミニマリズム”とは「モノを処分して人生で大切なものを取り戻すこと」

この言葉をシンボルにして、モノとの関係性を見直すきっかけになるドキュメンタリーに仕上がっているので、「別に“ミニマリスト”を勧められたくない」という人も、スッキリ暮らしたい悩みを持っていたら、先入観なく観てみてもよいかもしれません!

モノを減らすメリットとしてまず思いつくのは、片付けに使う時間やストレスが減る、出費が減ってお金に余裕ができる、家の中にスペースが増える、などではないでしょうか?

ジョシュアは、家じゅうの不要品の処分を終えると、「どんな人物になりたいのか」といった人生についての深い問いが浮かんできたといいます。そして、健康や人間関係づくり、クリエイティブなことに費やす時間が増え、地域コミュニティへの貢献に目が向くといった変化がうまれました。また、実践した一般の人たちが、「自由になれた」「自分を取り戻せた」と話す様子も印象的です。

不要なモノの選別が生き方にも影響するの?
手放すことで得られる自由ってどんな感じだろう?
私の中で疑問と興味がふくらんでいきました。

同時に、本当に必要なモノか冷静に検討するのは難しい、というライアンの言葉にも納得感がありました。

一度モノが減った解放感を味わったとしても、その状態を保つことは簡単ではなさそう。油断するとあっという間にモノが増えてしまいます。広告やSNSの影響で、「これを持っているべき」という外からのメッセージにも常にさらされていて、自制心を保つのが難しくなっているという指摘もありました。

大切なことを後回しにしないために

自分自身のことを考えると、たくさんのモノや情報に囲まれて、日々追われている感覚があります。
処理しきれなくて「ちょっとストップ!」と叫びたくなるときも。

半径数メートルの雑多なことに頭がいっぱいで、落ち着いて、自分や家族の優先すべきこと、少し先のことや広い世界のことに、心を向ける時間を十分に持てているとはいえません。そうやって大切なことを後回しにしているうちに時が経ってしまうのは、とても怖いことだと思います。

身の回りがモノであふれていると感じたら、頭の中も、自分の“ちょうどいい”を超えているサインなのかもしれないと気付きました。

作品では、1日ひとつ不要なモノを手放すことをアクションとして提案していました。

「毎日」といわれるとちょっと尻込みしてしまっても、気づいたときに不要なモノを減らす、新しいモノを買う前に考える、ということからなら気軽に始められそうです。古布の回収や近所のリサイクルショップの活用など、モノを循環させる身近な取り組みを利用して、次の何かに役立てられたらなお良いですね。

気持ちのいい暮らし方は人それぞれ。
新生活が始まる人も多いこの季節に、気持ちよく、自分らしく過ごすための工夫を一緒に始めてみませんか?

– INFORMATION –

『今求められるミニマリズム(The Minimalists: Less Is Now)』

監督:Matt D’Avella(マット・ダベラ)
配給:Netflix
原題:「The Minimalists: Less Is Now」/2021年/アメリカ/53分

(Text: 片岡麻衣子)
(編集: スズキコウタ)
[via theminimalists.com, The Minimalists facebook, The Minimalists Instagram, The Minimalists Twitter, Unsplash]
[Top Photo: via The Minimalists Twitter]