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「まるでスタートアップ」な小布施町が本気で挑戦する6次産業化。その鍵となる「農商工連携請負人」の役割とは? #仲間募集

この求人の募集期間は令和4年2月10日(木)〜2月24日(木)(17時15分必着)です。募集要項は記事末をご覧ください。

小布施町はいい意味でアリ地獄のような場所」。そう笑って教えてくれたのは、小布施に移住してきた20〜30代の若者たち。広い世界を見てきた人も、東京で活躍していた人も、なぜか小布施町に戻ってきてしまう。そんな不思議な魅力を持つ小布施町は、これまでgreenz.jpでも紹介してきたように「小布施若者会議」や「小布施エネルギー会議」、「小布施ソーシャルデザインキャンプ」など、町の中の人も外の人も混じり合う独自のまちづくりをおこなってきました。

まるでスタートアップのように、挑戦できる課題とユニークな人たちがいる環境に惹かれてか、ビジネスの経験を積んだ若者が「都市のスタートアップへの転職か、移住か迷って、結局活躍の舞台を求めて小布施町に移住した」という事例も少なくありません。

自然豊かな小布施町の風景。(提供:小布施町)

今回ご紹介するのは、そんな小布施町で募集している「農商工連携推進官(町任期付職員)」と「農商工連携コーディネーター(地域おこし協力隊)」の求人です。

農商工連携とは、地域経済活性化のために地域の基幹産業である農林水産業と商業工業等との連携を強化し、相乗効果を発揮すること。この農工商連携によって、小布施町が目指す未来とはどんなものでしょうか? 

また、その取り組みに関わる「農商工連携プロデューサー(任期付の小布施町役場職員)」と「農商工連携コーディネーター(地域おこし協力隊)」とは、どんな役割を担う存在なのでしょうか。

話を伺うと、小布施町をフィールドに、農家と商工業者がそれぞれの強みをいかせるようなコラボレーションを促すことにより付加価値を生み出すという、「農商工連携請負人」とでもいえるような仕事の姿が見えてきました。

小布施町全体で目指す6次産業化

左が「産業振興課」の冨岡広記課長、右が桜井昌季町長。あふれんばかりの笑顔が素敵なおふたりです。

農商工連携に込めた期待をお伺いしたのは、桜井昌季(さくらい・まさき)町長、「産業振興課」の冨岡広記(とみおか・ひろき)課長「総合政策推進室」の大宮透(おおみや・とおる)室長の三人。

2021年1月に小布施町長に就任した桜井町長は、新たな町政の指針のひとつとして「農業と商工業の強みをつなげていくことで町全体を6次産業化し、さらに強い町にすること」を掲げています。その背景には、町長就任までの10年間、小布施町の栗菓子屋の社長を務めるなかで感じた、“もったいない”という歯痒さがあったそうです。

桜井町長 小布施町は「農業の町」といわれるように、質のいい野菜や果物がたくさん採れる町です。ブランドとしても、ある程度知名度がある。

それにもかかわらず、商工業の世界にいた私からすると、農家のみなさんのことを、実はあまり知らないんですよ。こんなにいい食材を生み出せる農家がたくさんいるのに、誰がつくったものなのか商品からは伝わってこない。それは、農家と商工業者の付き合いが薄いからだと思っているんですよね。それは非常にもったいない。

農家と商工業者は互いをいい意味でもっと“利用しあう”ことが必要だと町長は続けます。

たとえば、ケーキ屋がケーキを売るときに、どこの農家のものを使っているのか掲示する。すると、農家にとっては宣伝をしてもらえるし、ケーキ屋にとっては安心できる食材を使っていることをアピールができる。お互いのブランドを高め合うことが可能になります。

桜井町長 「仲がいいから使ってあげる」ではなくて、自分たちのブランドや価値を高めるために、お互いもっと利用しあっていい。ただそのためには、農家と商工業者をつなぐ人が絶対に必要で。小布施町が既に持っている資産を“見える化”して、人と人をつないで新しい価値をつくり出せる存在を求めているんです。

冨岡課長 6次産業化って、流行り言葉のように言われた時期がありましたが、農家が自分たちで6次産業化を目指すのはとても大変なこと。

農作物をつくるだけでも大変なのに、それを加工して流通経路を探してブランドにしていくなんて、あまりにハードルが高い。全部自分たちでやろうとするんじゃなくて、そういったことは得意な商工業者と連携して取り組めばいいと思うんです。

“農家一人で6次産業化”ではなく、“小布施町全体で6次産業化”。それは、人と人の距離が近く小さな町であるから叶えられることであるはずです。町で会った誰もが手を振り合い、職域の壁を超えて仕事の相談もできてしまう。そんな未来が訪れたら、小布施町のユニークさがより光ってくるのは間違いないでしょう。

今、小布施町に求められる内側からの力

「総合政策推進室」の大宮室長は、さまざまなバックグラウンドを持つ人にまちづくりに参加してもらうことで、斬新な発想を小布施町にもたらすことに力を注いできました(その歩みは、以前greenz.jpの記事でもお伝えしました)。それが形になりつつある今だからこそ、感じている課題があるといいます。

大宮室長自身も小布施町へ移住した一人。自身も役場職員になる前は、コーディネーターのようなお仕事をしており、今回の求人はとても懐かしく感じるといいます。

大宮室長 ​​これまで10年近く小布施町の関係人口創出や、地域での新しいプロジェクト立ち上げに関わってきました。

事業の目的上、外から小布施町に移住したり、関わってくださる方が主役になって始まるプロジェクトが多かったように思いますし、地域のみなさんにも快く協力してもらってきました。それにより、たくさんの町外在住の若い方に町に関心を寄せていただけるようになった一方で、地域のみなさんがやりたいことを一緒に形にできているんだろうか、という悩みがありました。

今回募集する2つの仕事の肝は、小布施を支えている農商工事業者それぞれの本当の力を引き出し、つなげながら、町の人たちが主体的に動きたくなるような場や空気づくりを行っていく伴走役になることなのだと思います。

「こんな強みとこんな課題がある、じゃあそこを掛け算してみようよ!」と軽やかに取り組んでほしいですね。

冨岡課長 「こことここがつながったら面白いことが起きるんじゃないか」と、たくさん発想して、実際につないでみては「違ったかも…」と、何度も失敗を繰り返しながら、当たりを探していくイメージかな。

農家と商工業者のハブのような存在として、人と人をつなぐ。それができるようになるためには、とにかくまずは小布施町のことを知らなくちゃいけないし、懐に入る方法も学んでいかなくちゃいけない。

本当にハードルが高いことを求めているとは思うけど、第三者だからこそ、町民同士では突破できない壁を超えられる存在になってもらいたいです。

人と人をつなぎ、付加価値を創発する3年間

実際の3年間の勤務のイメージを伺うと、まず1年目は「とにかく小布施町を知る」そして「信頼関係をつくる」ことに取り組むそう。小布施町の農家、商工業者がどんなものを生み出し、どんな課題を持ち、どんな想いでものづくりをしているのか、ひたすらに足を動かしヒアリングしていきます。

2年目くらいから、徐々にできてきたネットワークを使い始めるタイミング。小さくてもいいので、プロトタイプをつくったり、キャンペーンをおこなってみたり、まだ精度は低くともたくさんのプロジェクトを誕生させていくイメージです。

そして3年目は、2年目に立ち上がったプロジェクトの中から本格始動したものの伴走支援をおこなっていきます。「農商工連携プロデューサー(任期付の小布施町役場職員)」は、退任後のことも見据えて、持ちうる知識を産業振興課に受け渡していくことも求められます。

また、「農商工連携コーディネーター(地域おこし協力隊)」は副業も可能なため、立ち上がったプロジェクトの中で自分がコミットしたいものを見つけて、伴走支援をより強めていく選択も可能です。

任期後は、この3年間で培ったネットワークやスキルをいかして、農商工連携のプロフェッショナルになる道も。小布施町のみならず、農業には労働力不足や高齢化などさまざまな課題があります。そんな農家の声に耳を傾けながら、本質的な地域活性化を担える存在になれるかもしれません。

また、冒頭で紹介したように、小布施町は小さな町でありながら、スタートアップのような雰囲気を持っているとも言われています。農商工各分野のプロフェッショナルたちと、外部からくる熱量の高い若者たち、そして彼らをつなぐ役場の人たち。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちを受け入れる町であるからこそ、議論が活発になり、地域の本質的な課題が見えてきます。そんな課題に対して、自分がこれまで培ってきたスキルや背景を存分に発揮する3年間は、大きな成長をもたらしてくれることでしょう。

そして、「小布施町」というブランドを活用できるのも、この仕事ならでは。まちづくりの先進地として小布施町が築いてきた信頼があるからこそ、地域の外で活動する際に「小布施町で活動してる◯◯さん」と認知され、覚えてもらいやすい場面もきっとあるはずです。

熱量が生まれる瞬間に立ち会う。町民が主役のまちづくり

今回の求人は、「自分で商品づくりをして販路開拓をしていきたい」という希望を持つ方には、もしかしたら不向きかもしれません。それよりも、町民が「踊れる場」つまり、町民自身が活躍できる機会をつくること、そして人と人がつながることに喜びを感じる人に来てもらいたいと大宮課長は語ります。

大宮室長 今回は特に、本当の意味での地域おこしに携われる仕事だと思っているんです。短期的に何かやって終わりではなくて、20年、30年後になってやっと活きてくるもの。絶対に大変なこともあるけど、人と人が混じり合うことで熱量が生まれる瞬間に立ち会える仕事です。

初めはお互いの間に壁があることを感じていた人同士が仲間になって、何か新しいことにチャレンジするときに、エネルギーがグッと高まるというか。そういう瞬間に立ち会えて、かつ何十年後に大きくなったプロジェクトを見て「自分はあの立ち上げに関われたんだな」と誇りが持てる。長期的な視点で見たときにこそ、大きなやりがいが得られる仕事だと思っています。

新しい人が来たときに歓迎してくれると共に、大きな期待を寄せてくれるという小布施町の人たち。しかし、ある意味「自分一人でどんどん進めてほしい」という期待は持ち合わせていないのだとか。

桜井町長 ポツンとやってきた2人が企画づくりから販路開拓、ブランディングまで、全部できるなんて到底思ってないんですよ。

農産物づくりのことは農家が一番知っているし、販路のことは商業者が一番知っている。ゼロからやったとしても、到底そのノウハウに追いつけるわけがないんです。

だから、それはプロフェッショナルたちに任せればいい。自分で販路を見つけるとか、そういうことを求めているんじゃなくて、とにかく人と人をつないで創発を生み出して、あとはプロや既にある小布施ブランドを存分に活用すればいいんです。

三者口を揃えて言うのが、「自分一人で抱え込んではいけない」ということ。人と人をつなぐ仕事であるからこそ、板挟みになってしまうこともきっとあるでしょう。そんなときは、「助けてほしい」と声をかけさえすれば、手を差し伸べてくれる人が小布施町ならいくらでも見つかるはずです。

もちろん懐に入ることはそう簡単ではないけれど、新しく仲間になった人たちの“やりたい”は大歓迎。そんな土壌があるのは、これまでたくさんの新しい人たちを受け入れてきた小布施町だからこそだと感じました。

60人の農家が集う「おぶせファーマーズ」が寄せる期待

実は今回の農商工連携は、小布施町の農家から声が上がって生まれたもの。60人もの農家が加入している「おぶせファーマーズ」の代表島田智仁(しまだ・ともひと)さん、副代表高沢秀平さん、そして「おぶせファーマーズ」と商工業者をつなぐ支援を行う「Agri Union 合同会社」代表深川悠(ふかがわ・ゆう)さんにも、その想いを伺いました。

「おぶせファーマーズ」とは、寒暖差が大きな小布施町だからこそできる美味しい農作物を、全国に広げていくために立ち上がった農家集団。今回の農商工連携プロジェクトでは、さまざまな得意領域や個性を持つ農家との橋渡し役として、サポートしてくれる存在です。

「おぶせファーマーズ」の代表島田智仁さん。「おぶせファーマーズ」は東京でのマルシェ出店など、小布施町というブランドを抱えながら、さまざまな活動を繰り広げています。

島田さん 僕たちは「おぶせファーマーズ」をスタートさせた時から、商業者とも何かコラボしていきたいなと思っていたんです。だから今回、桜井町長が農商工連携を公約として掲げてくれてすごくありがたい。

正直、質のいいものは何も加工しなくてもいくらでも売れるんですよ。でも、ものをつくるにあたって、品質はよくても見た目が悪いとか、どうしてもその値段では売れない中〜下のものも出てしまう。今は破格で売るしか術がないけれど、それを加工して付加価値をつけて、少しでも高く売ることができれば、農家にとってはすごい助かるんです。

深川悠さんは2021年4月に勤めていた小布施町役場を退職し、「Agri Union 合同会社」を設立しました。(提供: 深川悠)

深川さん 農家が持っている販路と商業者が持っている販路って、実は似ているようで重ならない部分が多いんです。

栗農家は栗菓子屋との結びつきは強いけど、他の販路は全然知らなかったり。それぞれが持つ販路や情報を共有し合ってうまくマッチングができれば、新しい可能性が生まれそうですよね。

「おぶせファーマーズ」は60人もの農家が参加しているので、「こんな農産物ない?」とか「こんなのつくれない?」って声をかけてもらえれば、大体のことはできると思うんですよ。

「おぶせファーマーズ」副代表高沢秀平さん。最近は小布施町の商工会にも加入されたそうで、使っている手帳は商工会のものなのだとか。そんな様子からも、今回の農商工連携への期待の高さが感じられます。

高沢さん 僕個人はこの農商工連携を通じて、町民みんなの満足度が上がったらいいなって思っています。

もちろん新しい取り組みもワクワクしますけど、「こことここがコラボしたら、働く時間が減らせますよ」とか、そういう提案でもいいと思っています。働く人の満足度が高ければ、顧客満足度も必然的に上がっていくはずですから。

小布施町はプレイヤーが多いからこそ、寄せる想いも人それぞれ。「へぇ〜そんなこと考えてたんだ!」と、取材をしながら互いの意見を丁寧に聞き合う「おぶせファーマーズ」のみなさんの姿もとても印象的でした。

人が集まるところには、面白いことが生まれる

最後に、どんな人に来てもらいたいか伺うと「既存の農家やお店の在り方に染まらない人」とのこと。そういう人こそが、次の新たな一手を生み出せるからだと言います。

島田さん 小布施町は比較的柔軟な人が多いけど、やっぱり出る杭を叩く人だってそりゃいますよ。

この町のなかにだって大なり小なり壁がある。でも、苦なくして喜びもないじゃないですか。

僕らがしっかりフォローするから、思いっきり活躍してもらえればと思っています。むしろ小布施町に染まりすぎないくらいがちょうどいい。

高沢さん 僕らがこうやってコミュニティをつくっているように、人が集まるところこそ、面白いことが起こると僕は思っているんです。

大人になるとだんだんと人付き合いが希薄になってしまうけれど、この小さな町でならもっと簡単につながれるはず。人と人の掛け合わせによって、新しい何かが生まれてお金が動いて、町民みんなの満足度が上がっていく。人と人の交わりを僕らと共につくっていってもらえたら嬉しいです。

経験と実績と、帰る場所を得られる3年間

小布施町で今回お話を伺った人は、誰もが町の未来を自分ごととして熱く語ってくれます。それぞれに強い想いがあるからこそ、その間に立ったとき混乱してしまうこともあるかもしれません。

しかし、さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まる小布施町であれば、きっと手を差し伸べてくれる人が現れるはず。人を頼ることも、時に求められるスキルとなるでしょう。

町の中の人も外の人も混じり合ってまちづくりが行われている小布施町で、農家と商工業のコラボレーションを促して付加価値を生み出す、「農商工連携プロデューサー(任期付の小布施町役場職員)」と「農商工連携コーディネーター(地域おこし協力隊)」という存在。3年の任期が終わる頃には、農商工連携の専門家としての経験と実績、そしてかけがえのない仲間たちと、「小布施町」という帰る場所を得ていることでしょう。

そんな存在になっている自分の姿を想像して、「あぁ、いいな」と少しでも思ったら、ぜひ説明会に参加してみたり、小布施町を訪れてみてくださいね。

(写真: 五味貴志)

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– INFORMATION –

グリーンズジョブは長野県小布施町と共催で、2022年2月2日(水)に今回の求人のオンライン説明会を開催しました。その様子は、グリーンズジョブコミュニティ参加者限定で、イベント後にも視聴可能です。イベント後に視聴希望の方は、こちらのページからグリーンズジョブコミュニティにご参加ください。