わたしたちの生活と切り離すことができないもののひとつが、トイレ。
使ううえで、欠かせないのが「水」ですよね。
では、トイレを一度使用するのに必要な水の量をイメージできますか?
なんと実は、6リットルもの水を消費しているのです!
近年、世界中が直面している水不足の深刻化(出典元)。トイレで水を使わない暮らしが実現できれば、環境問題の解決に一石を投じることができるのではないか・・・そんなアイデアからドイツで生まれた「Kildwick composting toilet」を紹介します。
使い方は超シンプル
まず目を引くのは、すっきりと洗練されたデザイン。誰がトイレだと想像するでしょう。実はこれ、水を一切使わないコンポストトイレなのです。
生ごみを堆肥化することをコンポストと言いますが、コンポストトイレは、し尿から水分を抜いて発酵させることで堆肥化する仕組み。従来ならば処分される排泄物を資源として活かす、環境にやさしい方法です。
greenz.jpが過去に取材してきたエコヴィレッジや、パーマカルチャーガーデンでは各地で取り入れられているのですが、「衛生面や準備などが心配」「都会でもできるのかな」となかなか挑戦できない方も多いかもしれません。
(※)グリーンズが大変お世話になっている、ソーヤー海さんいわく「都会でもバケツをつかうなど工夫すればできるよ」とのことではありますが。
そんななか、Kildwick社のコンポストトイレの使い方は、とってもシンプル。コンポストトイレを始めたい方のファーストステップにバッチリそうです。
仕組みとしては、排泄物は大と小それぞれの容器に集められます。簡単な話ですが実はこれが大きなポイントで、大小を分離することがニオイの発生を抑えることにつながるのだそう!
大便を集めるための袋を用意する必要がありますが、Kildwick社のおすすめは、堆肥可能なトウモロコシからつくられたごみ袋。そこにススキの屑を入れるだけで、堆肥化の準備が完了です。
容器がいっぱいになったら、ごみ袋ごと肥料として使ったり、地域のルールにしたがって処分します。
徹底した環境への配慮
Kildwick社のコンポストトイレは、「世界で最も美しく快適で、環境に優しいコンポストトイレをつくること」を目指して、ドイツで誕生しました。
気候変動などによって引き起こされる水不足に危機感を感じ、水を消費しないコンポストトイレを開発し普及させようと考えたのだとか。生産過程においても、可能な限り環境負荷の低い方法で取り組んでいるのです。
たとえば、プラスチックの利用はできる限り控え、トイレを構成する材料は、Forest Stewardship Council(FSC: 森林管理協議会)認証の合板を使用。梱包もプラスチックフリーで対応しています。
そのほかの材料は身近なエリアから調達し、輸送ルートも短くすることで二酸化炭素の発生をできるだけ抑えるなど、徹底した環境への配慮がされています。
水を使わないトイレって、使いにくくて臭いが気になりそう…。そんな疑問を吹き飛ばしてくれる、Kildwick社のコンポストトイレ。
しかも持ち運びができて、お手入れが簡単なので、地震や災害で水道が止まってしまった時の備えになりそうですよね。
水を使わないコンポストトイレを使うことが、水不足課題を解決する一歩になるかもしれない。しかも、排せつ物を堆肥に生まれ変わらせることができる。
つい重く考えてしまいがちな環境問題も、こんなふうにワクワクする視点があれば、楽しく取り組むことができる気がします。
[via Kildwick.com, Treehugger]
(Text: 中鶴果林)