「桜の開花予想は、平年より早い見込みです」。
「猛暑日が続きます」。
「数十年に一度の大雨です」。
毎年のように繰り返される、異常気象を知らせる報道。これらは気候変動がもたらしていると言われます。(出典元: JICA)
気候変動の原因のひとつとされるのが、化石燃料の使用によるCO2の排出。わたしたちの生活には化石燃料由来のものがたくさんあって、それを少しずつ減らそうとしている人も多いかもしれませんね。例えば、車じゃなくて公共交通機関を使ったり、プラスチックの使用を減らしたり、節電したり。
だけど、ふだん使う水と、気候変動がつながっているかもしれないと考えたことはありますか?
今回はゾッとする映像とともに、水と気候変動のつながりを考えるきっかけを与えてくれる「The Climate is Changing」をご紹介します。
「The Climate is Changing」は、日本と同じ島国のシンガポールで行われている広告キャンペーン。
シンガポールの土地は海抜5m未満の高さしかないうえに、近年は豪雨や洪水が相次いでいて、気候変動への危機感が高まっているそうです。そうした中、シンガポールの国営水道局であるPUBと、クリエイティブエージェンシーのTribal Worldwide Singaporeが共同でこのキャンペーンを開催。プロモーション映像が製作されたのですが、その内容が衝撃的なのです。
まるでパニック映画のような映像に、わたしの心拍数は上がってしまいました! 彼らはこの映像を通して、何を伝えようとしているのでしょうか?
Tribal Worldwide SingaporeのBenson Toh氏は、この映像にこのような思いを込めたそうです。
気候変動はとても深刻な問題ですから、現在のままでは悲惨な未来が待ち受けているとを示すことで、ひとりひとりがアクションを起こすきっかけになることを期待しています。
気候変動って、まだどこか映画のような、他人事のような感覚の人がいるかもしれません。しかしこの映像は、実際に起きている事実と、このままではそうなってしまうという現実的な未来を織り交ぜることで、リアルな危機感を演出しているのです。
わたしたちにできること
では、ひとりひとりに何ができるのでしょうか?
気候変動という大きな問題に対して、どんなアクションを起こせばいいのでしょうか?
キャンペーンページの中にそのヒントがありました。
必要な分の水だけを使い、節水を心がけることで、環境を守ることができます。1リットルの水が使われないということは、1リットルの水が生産されないということです。その結果、エネルギー、化学物質、労働力、材料を節約し、CO2の排出量を減らすことができます。私たちが一滴一滴を大切にすることが地球のためになるのです。
そうなんです。水は雨からできていて、使える水にするためにエネルギーが必要なんですね。エネルギーをつくるために化石燃料を使うと、CO2が排出されて温暖化がすすみます。その結果、氷河が溶けだして大気中の水蒸気が増えることなどによって、豪雨が発生しやすくなっているという見方もあります。(出典元: 2018年 気象庁)
さらにこのキャンペーンは、水の持続可能性について考えるための#GoBlue4SG運動とリンクしています。この運動はシンガポールの国中で行われていて、たくさんのひとたちがこの問題と向き合っていることを知れるのです。同じように考えているのが自分ひとりじゃないと思うと、もっと勇気が湧いてきますね!
PUBのCindy Kengs氏は、このキャンペーンの目的についてこのように語っています。
シンガポールにおける気候変動の影響を説得力をもって伝えることで、今から準備を始めなければ将来どうなってしまうのか、みなさんに考えてもらうことを目的としています。
PUBは、洪水対策の強化や沿岸保護、水の安全性の向上やクリーンエネルギーの活用など、気候変動対策に絶え間なく取り組んできました。このキャンペーンを通じて、一般の人々にも水を賢く使うことに参加してもらいたいと思っています。
楽観視はできないけど、悲観していても未来は変わらない。だから、ひとりひとりにできることから、みんなで動き出してみませんか?
”潤った”未来のためにわたしたちができることは、意外とたくさんありそうです。
(Text / Curator: Hikaru Nojiri)