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買うは易し、つくるは3日。プラスチックごみが減る「自家製納豆」のつくり方

スーパーで見るたび、なんでこんなに安いんだろう? と不思議に思う食材が、お豆腐と納豆です。

もちろん手軽な金額は購入者としてはありがたいのですが、数ヶ月間かけて育てた大豆を使った加工品なのに、こんなに安くて良いのかな? と感じるのはきっと私だけではないでしょう。

メーカーの売値の秘密を追求することは難しいですが、豆腐や納豆を自分でつくってみると、プロの製造者への感謝が増します。特に納豆は、完成まで3日ほどかかるため、「パッと買える」価値について考える機会にもなると思います。また、店頭ではどうしてもプラスチック製容器を必要としますが、自作すればもちろんプラスチックごみも出ません。

もしよかったら今度の週末にでも、自家製納豆を仕込んでみませんか。

まずは豆を用意しよう

納豆は、柔らかくした大豆を納豆菌で発酵させた発酵食品です。まずは大豆を用意しましょう。

乾燥豆は一晩しっかりと水に漬けて柔らかくしてから、火を入れるのが大切な準備。豆は水を含むと2〜2.5倍の大きさに膨らみますので、納豆をつくるのはできるだけ小さな大豆を使うと見慣れたサイズの納豆になります。

左は一般的な大豆、右は納豆に向いてる超小粒の大豆。

初めての時は、乾燥大豆200g前後とつくりやすい量にしておくのがお勧めです。それでも仕上がりの納豆は約400g、市販の白いパックは平均40〜50gですので、かなりたっぷりできますね。

自分でつくれば色んなバージョンも可能です。一般的なサイズの大豆を使えばとても大粒の納豆になることは書きましたが、それはそれで好きな人もいるでしょう。逆に、発酵させる前に豆を細かく刻めば、仕上がりはひきわり納豆になります。また、大豆ではなく、黒豆、えんどう豆、ひよこ豆などでも(風味は少し個性が出ますが)同じようにつくることもできます。

もしかしたら、乾物の大豆を使うことにハードルを感じる人がいるかもしれませんね。その場合、パックや缶詰めで販売されている水煮を使えば煮る時間も短縮できます。ただ個人的には、仕上がりのおいしさが全然違うことは否めません。納豆はつまり大豆の味です。せっかく自分でつくるのですからぜひ乾燥大豆からのチャレンジをお勧めします。

納豆菌をゲットする
…ってどこで?

納豆をつくるときに欠かせないのが納豆菌ですが、どこで手に入るかご存知ですか。

実はけっこう普通に販売されていて、取り扱ってるスーパーもありますし、食材を扱ってる百貨店などにもあります。もちろんネットでも買えます。しかも粉末で3gもあれば大豆20~30キロ分くらいに使えますので、これからたくさん自家製納豆を仕込むぞ〜と気合いの入った方は買うのもいいでしょう。

また、納豆菌は自然界にも存在していて、一番多く付着しているのは稲わらですし、野草から納豆菌を取るという、ややマニアックな方も少なくありません。

でももっと気軽に仕込みたい方には、市販の納豆を10〜20粒くらいを使うことです。手軽で失敗もなくつくれるので便利です。

保温する手段を決める

豆と納豆菌がよく発酵するために一定温度で保温するのですが、自家製の場合は保温の手段も様々です。炊飯器やヨーグルトメーカーなど保温機能のある家電を持っている方は、それを活用するのがもっとも手軽におそらく失敗なくできるでしょう。

保温できる家電がない場合は、保温バッグや発泡スチロール、または保温機能の高い水筒やポットなどを使うこともできます。大切なことは、一定の温度で保温できる環境をつくることなのでいずれにしても温度計はあると便利です。

ヨーグルトメーカーは時間と温度が設定できるので手間いらず。水筒などは保温の性能によってはこまめに温度をチェックします。冬にこたつを使っている方はこたつの熱も利用できます。

以上が自家製納豆に欠かせない要素です。ここまで決めて用意したら、早速仕込んでいきましょう!

1日目は
豆を洗い、水につける

乾燥大豆はきれいに見えてもけっこう汚れてる場合があるので、ボウルにひたひたの水を入れ、大豆を両手で軽くこすりあわせるようにして繰り返し洗います。その後はきれいなお水を大豆の3倍量入れたボウルで一晩(10〜12時間)つけます。

2日目は
火入れから仕込みまで

しっかり水を含んだ大豆を柔らかく煮ます。お鍋でコトコト3時間、または、圧力鍋なら20〜25分が目安です。親指と小指の2本の指でつまみ、力を入れなくても簡単に潰れるくらいの柔らかさになったら煮豆の準備はOKです。

煮上がった大豆を50度くらいまで冷まします。その間に、納豆菌を用意しましょう。

今回は市販の納豆を20粒ほど使い、大さじ1弱ほどの少量の熱湯をかけてぐるぐるとかき混ぜる方法でつくります。お湯がとろっとしてきたら納豆菌が液体へ広がったサイン。この液体ごと使います。

ヨーグルトメーカーや発砲スチロールを保温に使う場合は、大豆が収まる容器で、もしくは水筒や保温ポットを使う場合は、厚手のキッチン用ビニール袋に大豆を入れて、この納豆菌を加えたら全体的に混ぜ合わせます。

ここまで来たらあとは保温をするだけ。目安は45度で24〜28時間ほどです。発酵段階で出る水滴が大豆に入らないように、容器は密閉せず、きれいな布巾などで蓋の代わりにします(外れそうなら輪ゴムで止める)。

ヨーグルトメーカーを使う場合は温度と時間をセットすればOK、炊飯器をつかう場合は高温になりすぎないように蓋を開けた状態で45度前後をキープ、発泡スチロールや保温バッグを使うときは、お湯を入れたペットボトルやカイロを下に入れて、その上に大豆を入れた容器を入れます。冬場の夜などはさらに外側を毛布で包むなどして、できるだけ温度差が発生しないよう45度前後をキープするのがポイントです。

保温に水筒や保温ポットを使う場合は、50度前後のお湯を底の数センチ分だけ入れて、大豆を入れたビニールをその中へ入れます。中央あたりの位置まで入ったら輪ゴムなどで留めて、軽く蓋をしておきます。

できるだけ安定して45度で24〜28時間をキープできるように、数時間後に庫内の温度を計り、お湯を入れ替えるなど工夫が必要になります。その時、豆の表面が少しずつ乾燥したり白くなったりしていく変化も見るのも発酵職を自家製する楽しさですね。

完成の3日目
好みで熟成させてもヨシ

完成した納豆は、すぐに食べることもできますが、半〜一日ほど冷蔵庫で低温熟成するとさらに食べやすくなります。たくさんできた場合は冷凍しておくこともできます。

もしかしたら初めてつくる場合など、発酵過程でタンパク質が分解されるときに出るアンモニア化成菌でツンとする香りがすることもありますが、低温熟成で消えるのと、繰り返し自家製しているとあまりしなくなっていきます。

さて3日間、お疲れ様でした!

スーパーでもコンビニでも、手を伸ばせばすぐに安価で変える納豆を自家製してみて、あなたは何を思うでしょうか。昔の人の食の知恵や、発酵食品の健康効果、もしくは、食のつくり手のことや流通システムなど、納豆ひとつにいろんな会話の可能性が含まれています。

そんなことを考えながら、まずはどうぞ自家製の納豆ご飯をたっぷり召し上がってみてください。