新型コロナウイルスにより、飲食店の営業や学校給食が止まり、多くの食材が余ってしまう事態になりました。世界各国で、どのように活用するべきか議論されています。
下の写真は、スーパーマーケットで売られるはずだったキャベツをトラクターで砕いて土に混ぜる農家の様子です。本来美味しく食べられるはずの野菜が、食卓に届かなかったことを思うと、胸が張り裂けそうでした。
そんななかアメリカでは、「フードバンク」という仕組みへの注目や期待が集まっています。
「フードバンク」とは、小売業者、レストラン、食料品店などから寄付された食材を、必要としている施設や団体、個人に無償で提供する活動。新しい仕組みではなくて、初めてフードバンクという名がついた食料分配活動は、1967年に生まれたと言われています。greenz.jpでも世界各国のフードバンク事例を紹介してきました。
生鮮食品を救う!
コロナショックによって、フードバンクによる食料の分配に期待が寄せられたようですが、特にニーズが高かったのは生鮮食品の活用だったそう。
たとえばカリフォルニア州では、以前からフードバンクと州が協定を結んで行なっている「Farm to Family program」があります。
これは農家の収穫や運搬にかかる費用などをこのプログラムが負担し、それまで廃棄されていた農産物をフードバンクへ送ることを可能にした仕組みです。そうすることで、毎日新鮮な地元の食材が支援を必要とする人に行き渡るようになりました。さらにスーパーマーケットで廃棄直前になった農産物や牛乳を購入して寄付したり、コロナ緊急基金を設立したり、さまざまな形で困難に陥っている生産者と家族の橋渡しをしています。
そして、失業率が上昇し続けているニューメキシコ州では独自の「The farm to food bank program」がスタート。この仕組みが新しいのは、オーガニックの野菜をつくる地元農家を支援していることです。新鮮で栄養満点の美味しい野菜が、失業者の生活を豊かにし、関わる人みんなが元気になりそう!
オーガニックの野菜が、私たちがフードバンクを手助けできる方法なんです。このように地元の農家たちを支援してもらい、フードバンクを通してこれを必要としている多くの人たちへ意味のある形で恩返しをできることは、本当にありがたく、とても嬉しく思っています。
と、支援を受けた農園のFidel Gonzalezさんは言います。
おすそわけから始まるつながり
新型コロナウイルスの影響で、世界中で数多くの人びとが失業。最大1億人が「極度の貧困」状態に陥る可能性と指摘する声もあります。
そんな中「フードバンク」という既存の仕組みを利用し、捨てられるものを価値あるものへと変化。プログラムに参加した農家も、その野菜を食べる人も喜び、貧困状態から抜け出す手助けが生まれているのは素晴らしいことです。
最近、私の近所でもコロナ自粛中に知り合った農家のおばあちゃんが、収穫されすぎて行き場のなくなってしまった、採りたての無農薬の野菜をよく私にくれるように。私はその野菜で料理したものをおばあちゃんに持っていくというつながりができました。
おばあちゃんが丹精込めてつくった野菜を食べることができて嬉しい私と、食べることを喜んでくれるおばあちゃん。もしかしたら私たちの身近な暮らしの中でも、ちょっとしたアイデアでみんなが喜ぶ仕組みをつくれるのかもしれないと思うとワクワクしてきました。
– NEXT ACTION –
[via INHABITAT, POLOTICO,Santa Fe New Mexican ,The Global Food Banking Network, sankeibiz, cafoodbanks]
(Text: 細矢香織)