打ち合わせや定例会議、または、イベントやワークショップを始める前に、その場にいる全員の「チェックイン」と、クロージング前の「チェックアウト」を実践したことはありますか? 自分自身や周りとのつながりを深める方法としてとても有効的で、グリーンズの会議でも毎回必ず行う文化のような習慣になっています。
チェックインとは
イメージしてもらいたいのは、初めて訪ねる町で宿泊先に「チェックイン」するときの気持ちです。その直前までそわそわしていた気持ちは落ち着き、チェックインを終えることで、いち訪問者から新入りローカルに気持ちが変容し始め、ラウンジでくつろぎたくなったり、「ここにいていいんだ」という安心に切り替わります。
これと同様に、会議やワークショップ前でもチェックインを行うことで、直前まで他の仕事や用事で落ち着かなかった気持ちから、今から始まることに気持ちを切り替えることができます。チェックインには様々なやり方がありますが、グリーンズでは、チェックインを実施する瞬間、今の自分がどんな感情、状態かを認識して描写し、言葉に発するというカタチでやっています。
自分だけでなく、同じ場にいる他の人の心境もお互いに共有することで、自分やその場を相対的に見ることもできます。例えば「この後の予定が気になってちょっとそわそわした気分」と言う人がいれば「じゃあ少しでも早く終わらせようか」とか「みんなでおいしい紅茶でも淹れてから会議しようか」という提案ができたり、「少し肌寒い」と言う人がいれば、部屋の空調や湿度を調整したり、日が当たる場所の人と席を交換したりといった配慮も芽生えます。
グリーンズは現在、全員がリモートワークのため、連絡手段であるSlackに「チェックイン」チャンネルをつくり、好きな時に書き込むかたちでお互いの心境を共有しています。同じ場所で同じ時に気持ちを共有することも大切ですが、無理のない形でつながりを続けることは工夫次第です。SNSやアプリなどをうまく活用しましょう。
チェックアウトとは
新しい町にしばらく滞在した後は宿を「チェックアウト」しますが、これもまた、清算や報告などを行うことで、滞在した時間が「自分にとってどんな価値だったか」を感じやすくなる効果が生まれます。
会議やワークショップに置き換えると、共有した時間の感想をシェアし合うことで、自分だけでなく他者の視点も得ることができ、同じ時間の成果をより立体的に消化できるのです。他の人が感じたことを聞くと「なるほど」と納得したり「自分になかった視点だ」と気づいたり、はたまた「実はよくわからなかった」なども正直に共有することで、その場で改めて説明してもらい、理解の解像度を高めることもできます。
また、これを全員が等しく行うことで、その場にいる全員が平等に会議の当事者になるのです。誰ひとり傍観者として除くこともなければ、代表と所属メンバーとか、運営者と参加者、といったような立場の垣根をなくすことにもつなげられます。
会議やワークショップ前のチェックイン・チェックアウトは、世界各地の様々な場面で用いられています。そのため進め方は多種多様、とても自由性が高いものです。定番のポイントをしっかり抑えたら、あとは自分たちに合った方法を見つけましょう。
安心・安全の気持ちが信頼へ
チェックイン・チェックアウトを行うことで、他者の言葉に共鳴する瞬間を持つことができ、連帯感を強めることにつながります。平等に行うので「自分もここにいていい」と感じることや、誰かの知らなかった一面を知ることになるからです。また「あなたに興味をもっている」「ただの労働力としてみてるわけではない」という意思疎通を助けることにもなり、その場にいる全員(特に新しい参加者)に安心感を持ってもらえます。
チームで仕事をしたり、最近では最初から最後までオンラインでしか顔を合わせないで進行する機会が増えた人もいることでしょう。会議にこうした工夫を加え、より実りある会議時間にしてみるのはいかがでしょうか。