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秋田の元気を創出する仲間になりませんか?「若者チャレンジ応援事業」に採用された2人の若手起業家の挑戦と採用されるコツ

今年、秋田県で知事肝いりで始まった「若者チャレンジ応援事業」。「若者ならではの斬新なアイデアを生かした、地域の元気を創出する戦略的な取り組み」に最大400万円を補助するという太っ腹な企画ですが、さらに魅力なのが、最大3年間専門家によるアドバイスを受けられるということ。秋田県の本気度が伝わってきます。

現在、このチャレンジ事業で初年度3回目の募集が行われています(期限:2020年1月10日)。秋田で何かにチャレンジしたい! と思っている若者(概ね39歳以下)はぜひ応募してもらいたいところですが、何をやればいいのかわからない、どんな準備をしたらいいのだろう、と悩む方も多いかと思います。

そこで今回は、第1回と第2回の募集で採択された2人のチャレンジャーに話を聞きました。2人は何に挑戦し、どんな準備をし、秋田のどんな未来を描いているのか、秋田と関係なくても若者でなくても刺激になる話を聞かせていただきました。

ジェラートで秋田を世界に発信

最初に登場していただくのは内田清文(うちだ・きよふみ)さん。第1回の募集で採択された3人のうちの一人です。内田さんのチャレンジは秋田の素材を使ったジェラートをつくり、地元・美郷町を出発点に県外、東京、海外へと秋田の魅力を発信していこうというもの。そもそもなぜこのようなチャレンジを思いついたのでしょうか。

(撮影: OtanPhotography 三輪卓護)

内田さん まず私自身がアイスクリーム好きだというのがあるんですが、もちろんそれだけではありません。

私はまちづくりにも携わっていて、5年前に「美郷夜市」を立ち上げて人が集まる仕組みをつくりました。そうやってお祭りなどで盛り上がるのもいいんですが、地域の魅力を発信するためには、なにか「飛び道具」があったほうがいいだろうと思ったんです。

美郷町は農業が基幹産業ですから、地域の魅力を発信するなら農作物を売るのがいい。それでは、名産品を季節をずらしても売れる加工品とはなにかと考えるようになりました。食べ物には人を集める力があるといわれますが、いろいろ調べる中でアイスは集客力があると思いました。

私自身もアイスが好きですし、その中でジェラートはヘルシーでかつ素材の味をアイスクリームより感じられ、しかもほとんどどんなものでも材料にできる。これは地域の農作物の魅力を発信するにはぴったりだとわかったんです。

本業は測量計測機器の販売などを行う仕事だそうで、普段は経験できないBtoCの仕事、特に飲食系の仕事をしたいと思っていたこともあってジェラート屋さんの夢を膨らませていったんだそう。

今回、「若者チャレンジ応援事業」の補助金に申し込む前から事業化は考えていたものの、タイミングよく補助金を見つけたときは、この制度の内容にピンときたのだそうです。

内田さん この補助金が良かったのは、海外への渡航費も対象になるところです。

ジェラートのつくり方を勉強するにあたって、たとえばジェラート屋さんに1年とか修行に行くこともできますが、それでどれくらい吸収できるかわからないですよね。修行の仕方を考えている時、イタリア北部のボローニャにジェラート大学というのを見つけて、そこなら1ヶ月で初級から上級まで基礎をすべて学ぶことができると知ったんです。そこに行ける費用がもらえるならいいな、と。

あとはもちろんリスクを減らすためにはお金があったほうがいいですし、誰かに審査してもらって通ったらうまくいく確率が高いということだとも思いました。だめだったらブラッシュアップすればいいことですし。

結果、見事に採択されたわけですが、ジェラート屋をやるという漠然とした計画を、どのようにして事業として形にしていったのでしょうか。

(撮影: OtanPhotography 三輪卓護)

内田さん いつかはやると決めていたので、以前からなんでもメモするようにしていました。

何かやりたいと漠然と思ってるときには、頭の片隅でも常に考えていると思うんです。その目線で物事を見ていると他の人が気づかなくとも引っかることがでてくる、それを片っ端からスマホのメモ帳にメモしていました。どんな些細なことでも気になったらメモをとる。そうじゃないと次の瞬間には忘れてしまうので。

メモがある程度溜まってきたら整理します。すると、やりたいことを実現するために必要な道筋としてかなりいい線のものができてくるので、微調整して文章化すればいい。一個一個アイデアを集めるのは途方も無く感じますが、それしか前進の方法はないし、むしろ一番の近道だと思っています。

ちょっと抽象的ですが、とにかくアンテナを張って情報を集めて、それを自分の中に落とし込んで形にする。それが大事だということのようです。

内田さん チャレンジと言っている以上、やる気を見られていると思うんです。そのやる気を表すものは何かと言ったら知識じゃないですか。誰よりもジェラートのことを考えてジェラートについて調べている、それをアピールできれば採用される確率は上がるんじゃないかと思いました。それに余計な情報でも入れておくと質疑応答のときにぱっと返せたりもします。

実は、計画書は誰にも見せずに提出したんです。誰かに何か言われたら迷ってしまうし、ぶれてしまうんじゃないかと心配で。人の意見を入れることも大事ですが、ジェラートのことを一番知っているのは自分なんだから自分の中で完成させて出したほうが熱意も伝わるんじゃないかと思いました。

大切なのは熱意を持って情報を集め自分の中で完成させていくこと。「自分のやりたいこと」なわけですから、どれだけ熱意があるかを表現することは大切なんだと改めて感じました。

企画もプレゼンもあらゆる経験が学びになる

第1回の募集で採用された内田さんはすでにメンタリングを受けイタリアへのジェラート留学も経験しました。審査のプレゼンから現在まで実際にプログラムに参加したことについてどのように捉えているのでしょうか。

(撮影: OtanPhotography 三輪卓護)

内田さん プレゼンは自分の喋りたいことをを喋れるので楽しかったですが、結構細かいところを突いてくる印象は受けました。

月100万の売上を目標にと話したときは、審査員の方がその場で計算し始めて「人件費を考えると100万を目標にしたら潰れます、だからもっと目標高くしてそれに向けて何を準備するかを考えていかないと」と言われて。あとはブランディングについても教えてもらったり、審査だけでもかなり勉強になりました。

誰かに見てもらうことで勉強になるというのはメンタリングのときもすごく感じています。メンタリングは毎月1時間くらいその1ヶ月の成果をもとにメンターの方と話すんですが、その中で自分の考えがまとまっていくんです。自分一人で考えて「良い」と思ったことでも、別の角度から見ると改善点があったりして、そういうことを繰り返すことで頭の中が整理される。初回はめちゃくちゃ頭を使って疲れ果てました。

他の補助金制度ではこうしたサポートは珍しいですし、こうやって毎月メンタリングをしてもらえて、今後は専門家のアドバイスも得られるし、補助金以外でもこうした魅力はかなり大きいですね。今では、メンタリングこそ成功の鍵を握っているように感じています。

留学はどうだったのでしょう?

内田さん 楽しかったです。アイスクリームとジェラートは何が違うかからはじまって、月曜から金曜まで、午前中は座学、午後は実習を1ヶ月。実習では毎日3種類くらいのジェラートをチームでつくるので何十種類というジェラートづくりを学びました。

一番の学びは、工程が大事ということ。まったく同じ材料を使い、つくり方だけ変えて3種類のジェラートをつくる実習があったんですが、食べてみると本当に味が違うんですよ。同じ材料でも、素材と素材の結びつき方で味が変わるらしくて。

すでにイタリアへ1ヶ月間のジェラート留学も経験した。(写真提供: 内田清文)

改めて、これまで学んだことを生かして今後はどうしていく計画なのでしょうか。

内田さん 秋田にはおいしいものが多いので、素材のおいしさを発信していきたいです。

ジェラートはつくった時点で素材の鮮度を固定することができます。だから収穫から製造までの時間が短ければ短いほど鮮度の高い素材の味を味わってもらえる。その意味でも地元の素材の味を知ってもらうのに良いですよね。秋田のおいしいものをジェラートにして外に向けて発信していきたいです。りんごもイチゴも栗もおいしいですから。

それから、留学中にアレルゲンフリーやビーガンの授業も受けたので、ライスミルクを素材に使用することにも挑戦したいと思っています。

最初は地元の美郷町で販売しますが、そこから例えば仙台に行って、さらに東京に出店して、海外にも行きたいです。秋田県はタイと交流があるのでバンコクに出店したり。普段は全然違う仕事をしている僕がジェラートで海外に出てうまくいったら、海外進出のハードルが下がるじゃないですか。そうやって県境や国境の意識が薄くなって、自分の故郷を広げていければいいな、なんてことも思います。

この補助金は秋田の「地域の元気を創出する」ことが目的です。内田さんは秋田についてどう考え、どう関わっていこうと考えているのでしょうか。

内田さん 人は減ってもそこで暮らす人がハッピーだったらいいと思うので、自分たちがハッピーに暮らせるように、人口減少に順応して、今ここで何をするかをみんなで考えていけばいいのではないでしょうか。さまざまな人が群雄割拠みたいにポコポコと面白いことを始めれば、お互いに高めあって秋田全体が面白くなると思います。

この補助金を通じて面白い人が出てきてくれたらいい。失敗してもいいと知事も言っているので、失敗してもいいからとにかく応募してほしいです。応募することで自分の考えをまとめることができますし、プレゼンを経験することで深く学ぶことができ、先につながっていくと思います。

話を聞いて、内田さんはこの補助金がなくてもきっと何かしらの形でジェラート屋を始めていただろうし、それもうまくいっただろうと感じました。でも、この補助金は内田さんを後押しし、周囲との化学反応をつくりだせると思いました。言い方は悪いかも知れませんが、上手に制度を使えているように感じられました。

秋田ならではのハードサイダーをつくる

次に話をうかがったのは阿部円香(あべ・まどか)さん。第2回募集時の採択者4名のうちのおひとりで、これまで7人の採択者の中で唯一の女性です。

阿部さんのチャレンジはりんごを使ったお酒ハードサイダーをつくって広めること。ハードサイダーとは、日本ではあまり馴染みのないお酒ですが、本場アメリカではクラフトビールと同じように地サイダーが各地でつくられ定着しているのだとか。

阿部さんは、横手市十文字で古民家を改装したHostel&Bar「CAMOSIBA」を運営しています。その創業の話も気になるところなので、まずはそちらにお邪魔して聞いてみました。

(撮影: OtanPhotography 三輪卓護)

阿部さん 東京の大学に行きながら海外をフラフラしている期間があったんです。ゲストハウスやホステルに泊まって、ちょうど日本の地方でもそういう宿が増えてきている時期でした。まだ秋田では目立っていなかったので、いずれやりたいと思いながら就活していたんですがピンとこなくて。それで秋田に帰って宿をやることに決めました。

場所もいろいろ探す中でここに出会って即決しました。お金は親からの借金と公庫と補助金とクラウドファンディングでかき集めて、今オープンから3年目です。

CAMOSIBAは「醸し場」。「いろいろな要素が重なりあい、新しいものが組み合わさることで新たな関係性が生まれる場」で、人間関係が醸される場になるように、という思いを込めて名付けたんだとか。実際にオープンしてみてどうだったのでしょうか。

阿部さん CAMOSIBAでやりたかったのは、地元の人とここに来る人が自然と交流するような場所をつくることでした。

十文字は古くから街道が交差する場所で旅人が行き交っていたこともあって、地域外の人を受け入れる気質が比較的あるみたいで、一年目の時点でそういう景色がかなりたくさん見られました。周りに恵まれてありがたいと思いながらも、同時に先の目標が見えない気もしてしまいました。

現状に満足している自分がいる一方で、それを良しとしない自分がいて、そのせめぎあいの中で自分が本当にやりたいことは何かと考えました。そうして出てきた答えがハードサイダーだったんです。

もともと横手にホップもあるし、クラフトビールをつくりたいと思っていました。宿を始めた頃から近隣の農家さんとの交流が増え、学生を呼んで収穫体験などをするアップルキャンプを開催したり、横手の果実に対して興味が出てきたんです。しかもりんごの発泡酒にはハードサイダーというホップを使った種類があると知り、それがつくれたら完璧じゃん!と思いました。

今まではこの空間があり、人が来てくれて時間や体験を商品として売っていたわけですが、今度は手に取れるものを人に販売することに挑戦したい。そこにはまた全然違う難しさとか面白さがあるだろうし、今までやってきたこととの循環も起きてくるだろうと思いました。

新たなチャレンジとしてハードサイダーづくりの計画を本格的に進めることになった阿部さんですが、「本当にやりたいことはサイダーをつくることではなかった」と言います。どういうことでしょうか。

阿部さん 私は「醸造する人」になりたいわけではなくて、その場所をつくりたいんです。

お酒をつくる人がいて、サーブする人がいる空間がほしい、と思ったんです。だからつくり手に来てもらってつくる計画です。仕込みのときだけ経験のある人に来てもらう杜氏のシステムみたいなものもできるんじゃないかと考えています。

ただ、何の酵母を使うか、りんごの組み合わせをどうするか、どんな副原料を使うかなど無限の組み合わせがあるので、その知識は自分も持っておいて、つくり手の方と話しながら進めていきたいです。

(写真提供: 阿部円香)

阿部さんは事業パートナーの松橋真美さん(マミさん)とともに、今回の補助金を使ってアメリカのポートランドにサイダー修行に行くそう。そこでサイダーのつくり方の基本を学び、現地のサイダリーとのつながりも作って醸造所開業の基盤を作る計画です。

それと並行してすでにサイダーづくりは始めていて、秋田県内のブリュワリーに委託する形で2種類のサイダーをつくっているんだとか(第1弾は完成、第2弾は現在仕込み中)。委託醸造は、今後、自社の醸造所をつくったあとも続けたいと言います。

阿部さん アメリカではクラフトビールのタップが並んでいるなかにハードサイダーもあったりして、クラフトビール感覚で飲まれています。その流れは日本にも来ると思いますし、いろいろな人と一緒にハードサイダーという新しいものを広めるのも楽しみの一つなので、クラフトビールの人たちとも連携しながらやっていきたいという思いがあります。

それに、CAMOSIBAはあくまで私がやりたいものを詰め込んだ場所ですが、今回はいろいろな人たちと一緒に同じフロアに立ってやりたい。ハードサイダーをつくるには、原材料をつくる人、醸す人、売る人、といろいろな人がいなければ絶対にできません。だから今までお世話になってきた人たちと一緒にやることをテーマの一つにしているんです。

阿部さんはCAMOSIBAで人々が交わる場をつくり、今度はそこで醸された関係性の中で新しいものを生み出そうとしているのだと私には見えました。それは今回の企画の書き方、そして地域の今後に向ける眼差しにも見えてきます。

(写真提供: 阿部円香)

人間関係を醸してできること

阿部さんは今回の企画からプレゼンに至るまで「人の力を借りてつくり上げた」といいます。

阿部さん サイダーのコンセプトをつくるときは、マミさんと2人で宿の一室を潰し、私たちがどういう人間で、だからこういうサイダーをつくりたいんだ、と言えるまで深掘りする作業を1週間くらいかけてしました。

マミさんには財務計画も立ててもらったし、本当に助けてもらって自分に足りない部分を補ってくれる人を見つけることの大切さを実感しました。

企画書をつくってプレゼンの準備をする段階でも、大学の先生や起業家支援の会社の人、地域で活躍されている方の力を借りました。事前にみなさんにプレゼンを見てもらったんですが、それが本当にボロボロで。結局内容をほぼ100%変えてつくり込んでから本番に臨んだのが良かったんだと思います。プレゼンすることは本当に苦手だったので、あの失敗がなかったら絶対ダメでしたね。

さらにプレゼンの前に「県が開催した相談会などで、武田さんや小野さんと話すことができ、プレゼンのときにあまり緊張しなかったのも良かった」と言っていて、応募者には事前に相談に行くことを勧めていました。いろいろな人と関係をつくること、それが阿部さんの成功の秘訣なのかもしれません。

そうは思ってもなかなか行動を起こせない人が多いなかで、なぜ行動できるようになったのでしょうか。

(撮影: OtanPhotography 三輪卓護)

阿部さん 私、やりたいことがいっぱいあるんです。趣味までいかないけど好きなことがいっぱいあって、一つだけを選ぶことができなくて、CAMOSIBAもやりたいことすべてを包括してできる仕事ってないんだろうかって考えてつくった場なんです。

選ぶことができないなら、自分で新しい選択肢をつくってしまったほうが早いって思ったし、今もそう思っています。ある意味では選択から逃げることかも知れませんが、自分が気持ち良いところをつくったほうが早いし楽しいと思うんです。

それと、自分で新しいことを始める、やばいくらいすごい先輩が周りにいて、その人たちに影響を受けているというのもあります。秋田は人が少ないので、そうやって自分で始めてる人たちがつながりあっていて、私もそのつながりに助けられた部分もあります。

阿部さんがもともと持っていた考え方に「秋田のやばい人やすごい人」からの影響が加わり、自分で新しいものをつくることに踏み出せた、ということのようです。

阿部さんは「秋田にはすごい人もたくさんいるけれど、自分から知りあうきっかけを取りにいかないとなかなか出会うことができない」とも言っていました。秋田がこれから盛り上がっていくためには、そういう人たちが出会う場をつくることが重要なのかもしれません。

阿部さん自身は秋田でどのようなことをやっていきたいと考えているんでしょうか。

阿部さん まずはここを、ハードサイダーをフックにしてもっと人が来てもらえるエリアにしたいです。農家さんのところでりんごを収穫して、それでつくったサイダーをみんなで飲むツアー、みたいなこともやりたいですし、人が来てエリア全体が盛り上がればいいですよね。

個人的には十文字にタイ料理屋とパン屋ができてほしいです。今度醸造所にする物件がけっこう大きくて、2階も3階も空いているので、そこで誰かやってくれないかな。タイ料理屋なら出資したいくらいです。

阿部さんのこの個人的な望みを聞きながら、「若者のニーズ」は、地域の元気を創出するアイディアの鍵になるのではないかと思いました。今回、秋田の県南地域に行って驚いたのが、高校生が駅で勉強していて、駅もそのためのスペースを整備していることでした。阿部さんに聞くと「他に行くところがないから以前からそうだった」とのこと。

タイ料理屋や高校生の自習スペースというニーズが、そのまま地域の元気を創出するアイデアに結びつくわけではないですが、そこにひとひねり加えれば、起業の種になりそうな気もします。

その「ひとひねり」を、阿部さんのように周りの人とつながることで、または、内田さんのように徹底的に情報を集めることで実現し、企画を形にしたのだと思います。

(画像提供:阿部円香)

まだまだあります秋田を元気にするアイデア

今回話をうかがったお二人はたまたま食に関わるアイデアでしたが、第1回と第2回の募集で採択された7人のチャレンジ内容は実にさまざまです。

たとえば北国秋田ならではのもので、阿部さんも「楽しみ」と言っていたのが「ホームタンクのIoT化」を目指す三國さんのアイデア。ホームタンクというのは北国ではおなじみの暖房用の灯油タンクで、通常はタンクについている目盛りを目視で確認して注文するか、ガソリンスタンドの人が補充してくれる仕組みになっています。

三國さんのアイデアはホームタンクにセンサーを取りつけ、減ってきたら自動的に注文がいくというもの。燃料切れのリスクや雪をかき分けて残量を確認しにいく苦労を解消するアイデアです。

他に田沢湖畔に湖にダイブできるサウナ施設をつくり、県民の健康増進と県内外からの観光誘致を目指す八嶋さんのアイデアも秋田ならではのもの。

この八嶋さんや、内田さん・阿部さんもそうですが、自分の「好き」や「得意」を活かしたアイデアは計画の精度が上げやすいのか、採用されやすい傾向にあるかもしれません。

たとえば、後藤さんは好きな「アクション技術」を活かして秋田にアクションクラブを設立し、若者が直接文化に触れることができる場、自分たちの文化や価値観を発信できる場をつくろうというアイデア。

秋田の民俗芸能を取り入れたダンス表現を追求しすでにヨーロッパなどで公演を行っている鈴木さんは、秋田についてさらに海外へ発信していくほか、その経験をフィードバックし、秋田に新しい表現者を育成する目標も掲げます。

作業療法士の若狭さんは、障害者施設のリハビリテーションツールとしてeスポーツを活用するアイデアを提案。仕事と趣味を掛け合わせることで社会課題の解決につながる発想に至りました。

地域を元気にするアイデアの種は、実は日常の小さな気づきから生まれ、暮らしの中でプロジェクトへと育まれていくのです。小さなことでも気づいたことがあれば、ぜひ「若者チャレンジ応援事業」に応募すると決めて、その気づきと自分自身を掘り進めてみてください。

ご応募お待ちしています!(十文字でタイ料理店を開きたい方は阿部さんまで)

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