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小さな経済圏が散らばっているポスト資本主義社会を。「Next Commons Lab」がつくる「共感でつながる」ゆるやかな共同体とは。

「起業は簡単ではありません。でも、人生のすべてをかけるほど深刻なものではありません」。

Next Commons Lab(以下、NCL)」は、共感ベースのネットワークをつくることで、誰でもチャレンジでき、決して孤独ではない起業の仕組みを地域移住と組み合わせてプロジェクト化しています。

遠野、奥大和、加賀、南相馬、南三陸、西条、湖南、弘前と交流のHUBとしての東京を加え9拠点。地域の特性に基づいた仕事づくりの支援には現地のコーディネーターが行政や企業、地元のパートナーとともに取り組み、起業家には最長3年間の活動支援金が約16万程度をされる仕組みです。

これは地域おこし協力隊の制度を活用したもので、活動を起業に関係することに特化したことで、起業にチャレンジしやすい環境が整っています。

さらに、各地域に事務局メンバーや同時期に起業する仲間がいることで、事業を進めるにあたって出てくる共通の悩みを専門化に相談することができたり、お互いの事業の連携を図ることも。

また、環境が変わるとどんな人もストレスや不安を抱えやすいもの。NCLでは臨床心理士とも連携し、メンタルヘルスもサポートできる体制になっています。

こうしたプロジェクトが各地域で生まれ、移住と起業が進んだ先にNCLが描いている社会は「ポスト資本主義社会」。

これまでの社会が国家を中心とした中央集約型の社会だったところに、もうひとつのレイヤーとして、多様な個人や機関を共通のビジョンでつなぎあわせる、ゆるやかな共同体のネットワークができることを目指しています。

今回はラボメンバー=起業家を新しく50名募集。NCLが目指す未来について語り合う場を設けました。

鼎談に参加するメンバーはNCLから遠野在住のファウンダー林篤志さん、NCLにも関わりながら島根県海士町と東京を中心に、都市と農村の関係をつなぐ取り組みを続けている(株)アスノオトの信岡良亮さん、そして千葉県いすみ市でローカルの暮らしづくりを実践するgreenz.jp編集長鈴木菜央の3名です。

キーワードは、ポスト資本主義、新しい経済、誰でもつくれる、一緒につくる、自治感覚、共感コミュニティ、ブロックチェーン、自由に行き来する、そして飲み仲間。NCLのプロジェクトを通じて、「誰もが自由に社会を描ける社会」そんな可能性について語り合う時間となりました。

林篤志(はやし・あつし)

林篤志(はやし・あつし)

(一社)Next Commons Lab
1985年生まれ。ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Next Commons Lab」をつくる。2016年、一般社団法人Next Commons Labを設立。自治体・企業・起業家など多様なセクターと協業しながら、新たな社会システムの構築を目指す。日本財団 特別ソーシャルイノベーターに選出(2016)。Forbes Japan ローカル・イノベーター・アワード 地方を変えるキーマン55人に選出(2017)。


信岡良亮(のぶおか・りょうすけ)

信岡良亮(のぶおか・りょうすけ)

(株)アスノオト 代表取締役/(株)巡の環 取締役
1982年大阪府生まれ。2005年同志社大学商学部卒業。東京でのITベンチャー企業勤務を経て、島根県隠岐諸島の海士町に移住し、2008年に株式会社巡の環(めぐりのわ)を共同で起業。6年半の海士町での生活を経て、都市と農村の新たな関係を築くため、2014年5月より東京に拠点を移し、「地域共創カレッジ」などの学び場を開く。


鈴木菜央(すずき・なお)

鈴木菜央(すずき・なお)

NPOグリーンズ代表/greenz.jp編集長

新しい仕組みや、経済圏をつくる人を増やしたい

菜央 そもそもなんですが、今日集まった3人は、地域に新たな経済圏をつくること、お金や人間関係を含めた新しい暮らしが広がっていくことで、新しい経済圏が広がっていくんじゃないかな? と考えていて、それを都市ではなくて、地域から始めているという共通点があると思うんですね。

なので、まずNCLが掲げる「ポスト資本主義」っていうのはどういうことか、教えてもらえますか?

林さん すごく抽象的なコンセプトだし解釈が色々あると思うんですが。誰かがつくったものだけを選んで生きるだけじゃなくて、自分が信じたいものを信じて、心地よい仲間とつくりたいものをつくるということを、誰もができるようになればいいなと。

そのために、できるだけ多様な人が早く生き方をシフトできる乗り物、オペレーションシステム(OS)を開発しようという試みです。

菜央 資本主義の次の段階を一からつくってしまえばいいじゃないかと。

林さん まさにそうで、人それぞれでポスト資本主義の定義が違っていると思うし、違っていていいよねってことで。NCLでは、各地域や人それぞれにともなった経済の再還元ができる社会をつくろうと考えています。なにかひとつの理想を追求するかたちは目指していません。

菜央 現在8地域あるNCLの中でも、最初に生まれたのが遠野でしたね。そこで、いわば社会をつくる実験が進んでどんなことが起きているんでしょう?

林さん 先日、遠野醸造というブルワリーがオープンするなど、起業家(ラボメンバー)たちのプロジェクトが形になりつつあります。一方、ポスト資本主義社会の具現化をゴールとしたNCLのインフラとしてはまだまだ初期フェーズとも言えて、今の枠組みの中でやれる範囲でつくれるものを生み出している段階。

遠野自体は面白くなってきていて、各地のローカルに移住した人が融合や摩擦をいい意味で生み出しているように、遠野における価値観に変化もでてきています。面白い動きが増えたことで関心や接点の間口が広がってさらにUターンや移住が増えていますね。

クラウドファンディングで資金を集めオープンした遠野醸造

一緒に一番いいルールをつくる「自治感覚」

菜央 新しい経済圏をつくるという文脈では信岡さんは、今どういうことをしているんですか?

信岡さん もとを辿れば、僕は大学を卒業後に「資本主義」のITベンチャーで働いていて、体を壊してしまい。それで、ローカルの「昔からある経済圏」でいいものをつくりたくて島根県の海士町に移住して会社を始めたんです。

でもそこである程度やってみて実感したのが、結局ローカルだけでつくれるいい経済圏というものはないんだなということ。経済圏というか「自治感覚」ですね、僕の場合は。ローカルだけでは自治をつくれない。

だから、今は東京に出て田舎と都市をつなぐことをやっています。田舎側はもうつながっているので都市側につながりをつくりに来ている感じです。

菜央 ふむふむ、ローカルだけで自治がつくれないとは?

信岡さん いろいろなものを外から採り入れて利便性を高めようとすれば、広い人とつながっていないと普段の生活が成り立たなくなってしまいます。たとえば海士町だと石油が止まると隠岐汽船が止まる、汽船が止まると物資が止まるので自治しようがない状況になってしまいますから。

菜央 「地域共創カレッジ」はその都市を含めた自治の関係づくりのひとつなのでしょうか?

信岡さん はい。東日本大震災が起きるまで、田舎側の人で都市側の人と一緒にやりたいと思っている人は多くて、その逆は少ない気がしていたんです。

震災を経験して今の生活を見直そうと思った結果、都市側にも一緒にやりたい人が増えていると思って、地域の支援者ではなく同じ立場にいたほうが共創的なものが生まれやすいんじゃないかと起ち上げた学びの場が「地域共創カレッジ」です。

オンラインでローカルのプレーヤーと学ぶ「地域共創カレッジ」の講座の様子

菜央 「地域共創カレッジ」は具体的にはどんな構成になっているんですか?

信岡さん 岡山県西粟倉村、徳島県神山町、徳島県上勝町、島根県海士町、宮城県女川町の5つの先進地域に学びながら、”都会と田舎の共創関係モデル”をつくり、それぞれの地域が、「共なる未来」に向けてお互いに得意な役割を担いあうチームを創ることを目指しています。ローカル側には5人ほどのアントレプレナーに協力してもらって現地プログラムを組んでいて、最初は東京在住者だけで20人の参加者がいました。

でも、だんだん都市側の人が集まらなくなったんですね。感覚的にもう都市側の人はすでにローカルに移りはじめているなと。

なので、今期からすべての講座を完全オンライン化して、ローカルで既に起業や場作りなどのフィールドを持って活動している参加者同士をつなげています。そして各地のNCLコーディネーターにも学びの場として参加してもらっています。

菜央 ローカルと都市の関係性という観点について、林さんはどう考えていますか?

林さん 僕が考えるのは都市、たとえば東京も含めた関係性かな。一つひとつの地域がNCLを起ち上げることで起業家が増えることはありますが、一つの地域ではなく、その人のライフステージや特性に合わせて行ったり来たりしたほうがいいと思うんです。

人が流動的に移動することで動的平衡(それぞれが流動的に移動するが、お互いに行ったり来たりをするので安定する)が生まれ、インフラを持つことでネットワークを軸に仕事や活動ができる。NCLは東京の「HUMANS」(2018年7月OPEN予定)を含めて9拠点できていて、次はインフラの部分をつなぎあわせて、ネットワークにいる人が活躍できるよう、レジデンスなどのモノと情報や人のつながりを共有できる仕組みを提供するフェーズに来ています。

現在のNCLのネットワーク

菜央 なるほどね。地域だけで閉じず、あちこちでつながっている社会にしたいと。ちなみに、信岡さんが目指している社会のあり方では、どんな関係性を描いていますか?

信岡さん 先ほど述べた「自治感覚」というのは自分のなかで大事で、これまではお金とか権力を持っている人がルールをつくり、持っていない人を使役しやすい関係になっていたと思うんですね。

持っていない側の人も誰かが用意したものに乗ることが習慣になってしまっているので、みんながみんなでルールをつくれる、つくる側とつくられる側ではなく一緒に一番いいルールを考える側になれるようにしたいです。

菜央 林さんが述べた「誰もが信じたいものを信じて、心地よい仲間とつくりたいものをつくる」というビジョンと共通していますね。

起業してどれだけ稼ぐかは、それほど大事じゃなくなる仕組みに

NCLでは創造力を本当の資本としてとらえている

信岡さん 菜央さんの住んでいるいすみ市では、どういう暮らしの実験ができているんですか?

菜央 いすみ市はフロンティアだなと思います。自然が豊かだからDIY的に生きればかなりコスト安く住めるからか、面白いことにチャレンジしている、クリエイティブな人が多い。基本的に「好きに生きればいい」というスタンスの人が多いですね。東京にいたら数人の市民が自治をつくるなんて想像できないけど、それがいすみならできてしまう。

信岡さん わかる。海士町だと3人の農家が団結すれば一大勢力になりますよ(笑)

菜央 廃校になるかもしれないと言われている学校があって、ここ数年で僕の友だちだけでも何家族が移住してきて、移住者がまた移住者を呼んできて、その子供が生まれたりして、結果、じわじわとしか生徒が減ってないんですよね。持ちこたえているんですよ。田舎で学校が統廃合されるって、都会ではそうぞうできないくらいとてつもないことなんです。

祭りも町内会も学校のコミュニティも消滅するわけだから。そこに貢献できている。こういった些細なことでも地域にインパクトを与えられるなあって思います。

自治といえば2年前に地域通貨(いすみ発の地域通貨 米(まい))が始まって、約120人の参加者で、みんなの困りごとをお互いに解決したり、なにかをはじめるときに手伝いを集められたりして、すこしずつやりたいことがやりやすい場になってきた。

そこに、去年から「いすみローカル起業プロジェクト」という企画も始めたんです。一言で言えば、地域資源を活用する起業を、みんなで応援しよう、というコミュニティづくりです。しかも、起業する手前に、マイプロジェクトだったり、遊びだったりがいろいろ試せる場があるのが、いすみかなと思います。

たとえばある人がイラストを描いてみたので、じゃあカフェにおいてもらう、とかあちこちでやっているマーケットに出展してみよう、ということが、簡単にできる。そんな遊びの延長のほうが、コトがおこるハードルが低いですよね。

信岡さん それで、いきなり喫茶店で絵が売れちゃったり。

菜央 そう。もちろん真剣にお金の計算や事業計画書を書くワークショップもやっているんだけど、遊びから始まる仕組みを試行錯誤しているところです。

林さん インキュベーションや起業家育成でむずかしいなと思うのはそこなんです。僕はどれだけ稼ぐかは最終的にはどうでもいいことのような気がしていて、NCLが目指している世界でいうと人間がより自由につくりたいものをつくると。

ただ、そのためのインフラをつくる段階ではある程度ご飯を食べていくには、ビールを1本いくらで何人に売るかという世界になってしまいます。でも、インフラと自分たちで自治する経済圏ができた世界では、どれだけ面白いビールを仲間のためにつくれるかに移行すると思うんだけど、起業といったときにローカルの方が分かりやすい結果を求められがちで、遊びながら起業していくことがむずかしいなと思っているところ。

菜央 なるほどね。いすみでは、遊びはたくさん発生しているけど、そこから仕事になりにくくて悩んでいる、という逆の悩みがあります。

共感と価値観でつながる無数の小さな経済を

小さな経済圏がむすぶコミュニティ

菜央 いすみですごく感じるのは、これはどこの地域でも同じなんだと思うんだけど、ローカルの資源をつかって起業しようと頑張っている人はいるけど、どうしても孤独になりがち。

ローカル経済が回ることの意味と重要性がみんなに共有されて、みんながローカル起業家を応援するようになるにはどうしたらいいんだろうというのが悩みですね。

東京資本、海外資本のお店やサービスでお金を使うのと、地元でお金をつかうのは、まるっきり意味が違う。みんなが喜んでローカル資本のお店やサービスを買う流れにどうやってもっていけるのか。

林さん NCLではブロックチェーンの技術を使って経済圏の通貨をデジタル化(暗号通貨化)しようという動きがあって、価値が可視化されたときに、自分たちの経済圏を育てていくことを自覚してもらえないか? ということにはトライしています。

菜央 それができたらすごいですね。しかし、相当ハードルが高い感じがするんですが・・・

林さん インターフェイスとして使いやすいかどうかだと思うんです。それを100の地域で実証実験していくことにしています。

それぞれのコミュニティごとに通貨(トークン)を発行して、各取引の何%かをみんなでプールしてどう使うか決めることもきますし、例えば、1%だけを応援しているNPOに寄付することもできます。

信岡さん それは自分たちで使い道を決定できる住民税みたいなものですか?

林さん 円と切り離しているがゆえに、自分たちで自治できる。遠野だと人口2万8000人全員で地域の暮らしを統治するのは無理なんですよ。これから先は、それぞれが違う多様な社会のなかで、共感や価値観をベースにしたコミュニティをつくり、自分たちの小さな経済圏を持ち、直接的に決めていく時代になっていくのではないでしょうか。

同時に海外も含めた無数のローカルにもつながりをもつ。土地や建物など物理的なものを守っている人、継いでいる人の意味もかわってくる。そこに新しい価値観を招き入れることで、どう変化できるかが重要になってくると。

信岡さん 地縁血縁とかじゃなくて共感・価値観からつながっているコミュニティですね。

地域の旧文化センターを活用したNCL奥大和の拠点

林さん 今の資本主義を全否定するわけじゃなくて、均一な社会に覆われるのではなく新しいレイヤーをつくるイメージ。君が生きている世界もいいし、僕の生きている世界もいい。中央集権的でないところが分散型で信用をつくるブロックチェーンと親和性がいいんです。

菜央 地域通貨コミュニティでは、それぞれの地域で展開している地域通貨同士で合意さえあれば、ブロックチェーンを使って等価交換できるのではないか、という話になっています。

信岡さん でも円が集まりやすい人と、コモンズのコムが集まりやすい人とは何が違うのでしょう?

林さん 例えば、アイドルファンのコミュニティだと稀少な情報を持っている人に通貨が集まるイメージ。仕事ができるかはあまり関係ない。それはコミュニティの共感・価値観ベースがそもそも違うから。

信岡さん コミュニティ通貨を持っていても交換目的では使えるけど投機目的には使えないし、新しい円を生まないものですよね。今の目立っている仮想通貨とNCLの暗号通貨とは切り分けて考えないといけないですね。

林さん NCLとして目指したいところは、何も考えずに便利だから使っていただいて、やがて「今までのお金とは違うな」と実感をしてもらうことですかね。そこらへんが地域へ実装するアプローチのアイデアを練ってトライしないといけないと思っています。

菜央 円しかないというところから、他のお金もある世界に行けることで安心できたり、居心地の良さを見つけられるならそれもいいし。円だけでいいという人はそれでもいいし。

信岡さん 下層があることでヒエラルキーって維持されるんですが、その下層の人がすぐ移動しちゃうと、そのヒエラルキーで上にいることってできなくなってしまう。移動できるから下のほうにいる人が別のヒエラルキーのところにいっちゃえば、三角形が低くなってしまうから、その流動性で平等性を保てるんじゃないかという発想もあるんですよね。

やる事業の大小でなく、自分を信じてやれる人に来てもらいたい

NCL加賀でのワークショップ

菜央 人が助け合えるコミュニティがうまくいくのに大事な要素ってなんでしょうね? 新しい経済圏をつくるための成功要因ってなんだろう。

ちなみに僕は「こころから聞いて、こころから話す」が大事かなと思うんです。これがOSの基本ソースコード。あなたの大事にしたいことはなに? とか、やりたいことは何? とお互いに興味を持って、自然に語り合える文化を広げるアプローチですかね。お二人は、どうですか?

林さん 自分たちの価値観にとらわれすぎないことが大事じゃないでしょうか。価値観が違うけど、一緒に飲んだら楽しいよねってときもあるじゃないですか。

生きていくためには依存先がたくさん必要なわけですよ。多様な接点を生み出せるように開いていかないといけないと思いますよ。

信岡さん ランクに対する自覚感かな。何かアクションするときに影響力のランクが高い人がそれをわからずにコミュニティの中心にいる状態は苦しい。中心にいる人は自覚をもっていてほしい。そのコミュニティでカバーできないところまでカバーしようとすると、とたんに壊れちゃうんですよね。

林さん でも影響力の高い人に引っ張られるコミュニティがだめかといえばそうではないとも思うんですよ。特定の意図や意志で集まっている集団ならば、むしろいいと思いますよ。企業や組合に近いのかもしれないけど、いろいろあっていいんじゃないかな。

信岡さん なるほど。林さんは一個のコミュニティをよくするんじゃなく、多様なコミュニティを担保することで多様性をつくりたいんですね。さっきの暗号通貨の流動性にも通じる話ですね。

林さん 一個のほうがハードルが高いと思っていて(笑) NCLは多様なコミュニティを担保することに舵を切っているし、ある意味、独特な航海ルートをとっているかもしれないですね。社会のOSを新しくする、誰でもつくれる、という発想だから。モチベーションのきっかけを広くの人に与えたいと思ってやっています。

NCLは各地を全然コントロールしてないんですよ。現地でやっている人の特性がでていて、あの地域がいいならそれうちでもやってみようとなれる関係をつくっている最中。

菜央 日本人が不得意な、ばらばらにみえることから共通項を見出して、普遍化して横展開していくこと。これから一番必要なことは、そういうことかもしれませんね。

林さん 地域の成功事例って、どこか閉じこもるというか、うちはうち、よそはよそな感じがしていて。もっと共有しあえばいいのに。それは土佐山で学校をやっていたときから思っていたことです。

菜央 今NCLでは各地に移住して起業を目指すラボメンバーを募集しているわけですけど、どんな人に来てもらいたいでしょうか。

林さん やる事業の大小でなく、自分を信じてやれる人に来てもらいたいなと思います。

信岡さん NCLの枠組みが「使えそう!」と思ったら来てほしい。むしろ使える枠組みを一緒につくってくれる人が来てほしいです。

林さん それですね。最初にNCLはオペレーティングシステム(OS)、あるいはインフラだという話をしました。「使える」OSはユーザーの自由度が高くて、便利で必要なときに必要な機能をすばやく呼び出せるもので、かつ更新されていくものです。

そのOSを活用して個々の起業というアプリでそれぞれが叶えたい暮らしを創造してもらえれば。そして、チャレンジしたトライ&エラーをもとにして一緒により使いやすいOSへと更新していきたいですね。

(鼎談ここまで)

対談ではいくつものトピックスが出ましたが、NCLは各地で運営の仕組みも一様ではありません。

地元のまちづくり会社が運営事務局をやっていたり、行政と企業による協議会によってNCLが運営されているところもあります。単純に各々の事業を成功させるためのインキュベーションプログラムではなく、起業を支援する側・される側という関係をこえて、起業家・NCL事務局・行政・企業が連携して、新しい社会のあり方を模索しているように思います。

NCLに関わることは、既存の枠から飛び出し、起業という形でやりたいことにチャレンジしながら、これまでの中央集約的で貨幣ありきではない、別の社会のありかたを増やす実験に関わること。つまり、それは、今の自分の暮らしのなかで、自分にとって大切なものや人のつながりをとらえ直し、社会との関わり方をとらえ直すきっかけになるのではないでしょうか。

[sponsored by Next Commons Lab]

– INFORMATION –

採用説明会

NCLでは起業家50名を募集しています。
以下の日程で採用説明会を開催します。

6月22日(金)19:30~ロート製薬 東京支社 
東京都港区海岸1-2-20汐留ビルディング20階
参加のお申し込みはこちら
https://goo.gl/jes2oH