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目まぐるしく移り変わる都会にホッとするオアシスを。IKEAがデザインした、まるでアート作品のような見た目の室内菜園「Growroom」

突然ですが、みなさんはスウェーデンと聞くとどんなことを思い浮かべますか?

充実した福祉制度。
おしゃれな北欧家具。
サステナビリティに配慮した社会。

最近でもgreenz.jpで掲載したスウェーデンのごみ発電の記事が話題になるなど、市民主導の社会づくりにおいて多くの人びとをインスパイアする国のひとつですが、この国の代表的な企業がおしゃれな北欧家具メーカーとして名を馳せる「IKEA」です。

今回は、そんなIKEAが2015年に設立したイノベーションラボ「SPACE10」と、スウェーデンの建築家たちと共同で開発した室内型菜園ソリューション「Growroom」をご紹介します。

より多くの人々がサステナブルな暮らしを送ることのできる未来を目指し、日々新たなビジネスモデルとデザインのリサーチと実践が日々行う「SPACE10」。彼らが今回開発した「Growroom」は、一見するとアート作品のように見える室内菜園です。

グローバル化する食品供給のあり方に対して、「地産地消」という消費スタイルへの関心度をより高めたい、というビジョンのもとに開発された「Growroom」は、高さおよそ2.8m、幅2.5mの組み立て式菜園で、写真のように骨組み部分を活用して屋内で野菜やハーブ、植物を栽培することが可能です。

内側から覗いてみるとこんな感じ。棚のような部分に植物を置くことができる仕組みになっています。

この独特な形状がもたらすのは、もちろんデザインを豊かにするだけではなく、研究を重ねた結果生まれた独自の機能が。というのは、従来の室内菜園は横に広いスペースを必要としますが、「Growroom」ならそんな空間がなくても大丈夫。この独特な形状によって、広々とした空間が手に入りにくい都市部に住む人々でも、食べ物の自給を体験できる構造になっているのです。

プロジェクトに参加した建築家の二人と骨組み。限られたスペースでも植物の栽培ができるよう、横にスペースをとらない球形の構造にたどり着いたのだとか。

さらに画期的なのは、そのデザインや形状だけではありません。実は「Growroom」のアイデアは「SPACE10」のサイト上(リンクはこちら)で公開されており、ネット環境があれば誰でもその組み立て方を知ることができます。

設計書の一部。必要なパーツや個数は、このようにイラストと共にわかりやすく記されています。

組み立て方はイラスト付き。これなら初心者でも挑戦できそうです。

レシピを片手に地域の木材屋に出かけ、材料を調達し、協力しながらものづくりをする。ただ単に野菜を育てる仕組みではなく、その一連のプロセスも含めた食料自給のあり方を「Growroom」は提案しているのです。

一人ですべての作業をこなすのは難しいかもしれませんが、家族や友人、ご近所の方と一緒なら楽しく作業ができるはず!

開発した「SPACE10」はこんなメッセージを発信しています。

私たちは、都市でのよりよい暮らしをサポートするために「Growroom」をデザインしました。めまぐるしく移り変わる都市社会の景色の中に、小さな、「ホッ」とできるオアシスをつくることで、植物の匂いや味とともに人々は自然とつながることができるのです。

あえて一から自分の手でつくってみる、その一手間の先に人々の豊かな暮らしがある。
「Growroom」の根底にあるのはそんな考え方なのではないでしょうか。

全てを手づくりするのはもちろん大変。ですが、たまには当たり前のように買ってしまうモノを自作したり、手間隙をかけてつくってみたりすると、いつもよりちょっぴり豊かな時間が過ごせるのかもしれませんね。

[via:SPACE10,EcoWatch,Medium]