通学や通勤で電車やバスを使っていると、毎回必ず発生する待ち時間。
ホームやバス停で、みなさんは何をしていますか? スマートフォンをいじったり、音楽を聴いたり、本を読んだり。きっとそれぞれの過ごし方があるかもしれません。
とはいえ、特にバスは道路の渋滞でダイヤが乱れがち。なかなか来なくて待ち時間が長くなり、「なんて意味のない時間なんだろう・・・」と感じてしまった方も多いのではないでしょうか。
しかし、この”待ち時間”も、場所のデザイン次第では楽しい時間に変わるのかもしれません。そう気づかせてくれるのが、今回ご紹介する、シンガポールに現れたバス停「Project Bus Stop」。
様々な仕掛けが施されているこのバス停。まず驚くのは本や電子書籍を利用できること。さらにブランコに乗って童心に帰る時間を過ごすこともできたり、Wi-Fiやスマホの充電器があることも、嬉しいですね!
さらに、バスを待つ人にとって便利なだけでなく、屋根にはソーラーパネルが設置され、背後には木が植えられているので、環境にも配慮されたバス停となっています。
また、誰にとっても使いやすいバス停にするため、自転車置き場や椅子の肘掛けはもちろん、電光掲示板も大きい文字のデザインになっています。
バス停を使っている子どもの母親からは、早速このような声が上がっています。
私の子どもは、バス停に置いてある本を見つけたら、真っ先に駆けていって「読んでいい?」と聞いてきたわ。本棚は子どもにとっても充実した空間だと思います。
ただの待ち時間が楽しい時間になるようデザインされた「Project Bus Stop」は、イノベーションの実験地区であるジュロンに、政府と民間企業の協力のもと設置されました。シンガポールでも先進的な取り組みで、利用者からの反応が良ければ、順次導入を検討しているそう。
国家開発省大臣のLawrence Wong(以下、ウォンさん)は、今回の取り組みについてこうコメントしています。
これからのまちをつくるのは、何も政府や大手ディベロッパーだけではありません。まちに住む誰もが、公共スペースを使いやすいように変えることができるのです。そうすることでより多くの人が”自分のまち“だと感じることができるようになるのではないでしょうか。
「退屈だな、ムダだな」と思える時間は1日のなかでどうしても発生してしまうもの。
ただ暇をつぶすのもいいですが、スマホを見るのにも飽きたら「どうしたらこの時間、楽しくなるかな」と一度考えてみませんか?
[via URBAN REDEVELOPMENT AUTHORITY, FAVORITE PLACETHE STRAITS TIMES, CITY LAB, PAP]
(Text: 菅原沙妃)