『生きる、を耕す本』が完成!greenz peopleになるとプレゼント→

greenz people ロゴ

まちづくりは一人でも始められる。地域の魅力と誇りを呼び起こすアプリを開発する「株式会社B-Prost」の挑戦

01-wonderdigup

この記事はグリーンズで発信したい思いがある方々からのご寄稿を、そのままの内容で掲載しています。寄稿にご興味のある方は、こちらをご覧ください。

みなさんは、いまお住まいの地域や遠く離れたふるさとのことを誇りに感じていますか?

おだやかな里山の風景、友人と集ういつものお店、ママたちの口コミで広まった子育て支援スポットなど、有名店や著名観光地ではない日々の暮らしの情報こそが、貴重な「観光資源」になるとしたら?

自分だけのとっておきスポットから自治体の公式情報まで、あらゆる“まちネタ”を発信・検索できるアプリ「DIG UP!NIPPON」と「WONDER!NIPPON」が、2016年11月1日に「株式会社B-Prost」からリリースされました。

02-howto「DIG UP!NIPPON」×「WONDER!NIPPON」で、地域情報を発信×検索できる。

「DIG UP!NIPPON」は、地域の環境や施設、グルメ、教育など、地元住民こそが知るあらゆる知恵を、観光情報として発信できるアプリ。

「WONDER!NIPPON」は、DIG UP!で公開された情報を検索・閲覧でき、さらに多言語翻訳やお役立ち情報のプッシュ通知、災害時のオフライン避難所誘導などの機能も搭載されたアプリです。

今回、アプリを生み出した「B-Prost」代表取締役の魚住憲治さんに、開発の背景について聴きました。

保険一筋のシステム会社がアプリを開発したわけ

03-0039
「B-Prost」の魚住社長。趣味は釣り。

「B-Prost」は、損害保険のシステム開発・保守・コンサルティングを担うシステム開発会社です。

“保険”というものを、“不幸が発生した事後のためのもの”ではなく、“不幸を未然に防ぐもの”だと捉えたら、アプリができちゃいました。

そう話す代表取締役の魚住氏も、損害保険のシステム開発歴30年。

「B-Prost」がはじめて開発したアプリは、「不幸を未然に防ぐ」ため、子どもや高齢者を見守り・有事の際には探索できるというものでした。

次に、そのアプリを普及させ、見守りの目を増やすために商品情報やクーポンが利用者に届くベネフィット型のアプリを手がけ、本格的にアプリ開発の道へと乗り出していきます。
 
04-0811
現在は4名のメンバーが中心となり、上海にあるグループ会社のメンバーとともに開発を進めている。

あるとき、制作したアプリをインバウンド推進に活躍できないかと行政や自治体に働きかける中で、魚住氏は日本の地方自治体が抱える課題に気づいたと言います。

行政や多くの自治体では、すでに様々なインバウンド対策の観光アプリが開発されていましたが、そこで紹介されているのはメジャーなスポットばかり。

掲載料がかかるため、小さなお店や施設の情報、それに、個人の口コミというような内容はほぼ掲載されていなかったんです。

人の営みがあるところには必ず観光資源がある。地域に暮らす人が自由に情報を発信できる観光アプリがあってもいいのではないだろうか?

そんな構想から、「B-Prost」ではアプリ開発チームを立ち上げ、地域情報をボトムアップ型で発信できるアプリ「DIG UP!NIPPON」を開発。さらに、公開された情報を検索・閲覧できる「WONDER!NIPPON」も制作し、地域の人から観光客まで、幅広く活用してもらえるしくみにしました。

使って欲しいから初期コスト・運用コストゼロ

05-0855今いる場所の地域情報が表示される。

個人の情報発信はもちろん、観光予算が少ない自治体にも活用してもらえるように、アプリの初期導入費・運用費は無料(※コンテンツの制作・運用は含まず)。

現在、島根県・津和野町での観光誘客施策における活用や、佐賀県・小城市での「子どもまちづくりマップ」を活用した市外・県外からの誘客施策など、各地域での導入が進められています。コンテンツ制作を地域のNPOが担うなど、アプリを核とした多様なつながりも育まれているそうです。
 
06-ogishi佐賀県小城市の子どもたちが描いたまちづくりマップも、アプリの中へ。地元のNPO法人が主導で、教育の一環として作られている。

情報を発信するには、自分から調べ、見聞きすることも必要になります。その過程で、まちの歴史や建物の奥行きも見えてくる。それが、地域への誇りや自信につながっていくのではないかと考えます。

と魚住社長。その地域に住まう自分だからこそ発掘できる情報を発信すること。それはまさに、一人ではじめられるまちづくり。

もっと日本を元気にするきっかけづくりを

07-shimanejirei
島根県津和野町での事例

魚住氏は、

このアプリをたくさんの方に使っていただけた先に、地域の特産品が買えるマーケット機能やインバウンドの送客支援、地域内に限定したeコマースの構築にも取り組みたい。

と話します。

例えば、車の運転が難しいご高齢家庭がスマホから生活用品をオーダーすると、地域のお店の人が配達してくれるようなしくみを作り、生活支援と消費活動活性化を同一地域内で推進すること。シャッター商店街の蘇りなど、様々な効果が期待できると考え、計画を進めています。

地域力を高めて日本を元気にする一助となりたい」。そんな思いが詰まったこのアプリを活用して、自分のまちと日本各地のまだ見ぬ魅力に触れてみてはいかがでしょう。

(photo: 山田憲史 Text: ひらばるれな)
 
1

ひらばるれな
ダイバーシティと衣食住をテーマに、書籍やWebの企画・編集・ライティング、企業や地域でのワークショップなどを行う。ソーシャルデザインプロジェクト「PRe Nippon」やwebメディア「mazecoze研究所」の運営も推進中。「PRe Nippon」 http://pre-nippon.com 「mazecoze研究所」 http://mazecoze.jp