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お日さまの光を浴びて、環境にも健康にもいいデスクワークを。自然光を室内に取りこむロボット型ライト「Lucy」

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わたしたちエネルギー」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクト。経済産業省資源エネルギー庁GREEN POWER プロジェクトの一環で進めています。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

季節はすっかり秋になり、時折、冬の気配も感じさせる今日このごろ。お日さまの光が気持ちよく感じられるようになりました。

普段、日中にデスクワークに取り組んでいる方も、電気をつけた室内で黙々と仕事をするのではなく、この季節はテラスや屋外など、自然の光が入る場所で過ごしたいと思うことはありませんか?

室内でも自然光のもとで心地よく過ごしたいし、そもそも日中なのに照明を使うのはもったいない。そんな思いを抱いたイタリアの女性起業家、Diva Tommei(以下、ディーバさん)が開発した、自然光を室内に取りこむロボット型ライト「Lucy」をご紹介しましょう。

「Lucy」は太陽光をエネルギーに動く、ワイヤレスの機械。内蔵されている光センサーが太陽の動きに沿って、適切な角度に鏡を動かし、反射させた光を室内に取りこみます。それだけではなく、太陽が出ていない朝や夜は、自動的に電源が切れるという、なんとも賢いロボットなんです!
 
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使い方はとてもシンプル。「Lucy」を太陽光が当たる場所に置き、内蔵されているポインターを明るくしたい室内の場所に向けるだけ。重さも約2キロと軽いので、光を取りこみたい場所を変えるのも、とても簡単!
 
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取りこめる光の量は、7000ルーメンの自然光。これはつまり、約100ワットの電球3つ分に相当するそうです。仕事部屋や廊下、小さめのリビングなどであれば、充分な明るさではないでしょうか。
 
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備え付けの照明器具を照らすことも可能です。

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デスクがパッと明るくなると、仕事もはかどるかもしれません!

さらに、スマートフォンのアプリをダウンロードすれば、どれだけのエネルギーを節約したかが表示され、もっと効率的に室内に光を取りこむためのアドバイスもしてくれます。エネルギーや自然科学的な知識がなくても、エネルギーの節約を実感できますし、もっと「Lucy」を上手に使えますよね。
 
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自然光は私たちの健康にもつながっています。「Lucy」を開発した「Solenica」社によると、実は自然光は私たちの気分を安定化し、睡眠状態を整えるそうです。

自然光によって、日中は活動的になり、夜はより良い睡眠を促すといった、一日の体のリズムが整います。またセロトニンという神経伝達物質(別名・幸せホルモン)の生成を促し、私たちの気分も保ってくれているそうです。

照明の代わりに自然光を取り入れることで、電力の消費を削減するのはもちろん、こっそりと私たちの健康状態も支えてくれているのですね。

自然光のありがたさを体感したことが、開発のきっかけ

「Lucy」はディーバさんのある体験を基に、開発されました。

ディーバさんは2013年からケンブリッジ大学での博士課程のために、イタリアを離れイギリスで生活を始めました。ただイギリスでの日照時間が短いことから、季節性情動障害(SAD)という抑うつや疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状を患ってしまいます。そんな状況を改善するために、早速行動に移したと、ディーバさんは話します。

まず「Lucy」のプロトタイプをつくりました。とっても不格好なものでしたが、今の「Lucy」と同じような仕組みで動くもので、私のイギリスでの学生生活を支えてくれました。

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写真中央の女性がディーバさん

その後、ディーバさんは「Lucy」を開発する「Solenica」という会社を立ち上げます。2015年には「Y Combinator」にも並ぶ有名なアクセラレータープログラム(起業家育成)を提供する「Techstars」と「Qualcomm」社が主催する、ロボット分野のアクセラレータープログラムに参加するスタートアップ10社に選ばれました。

そのなかで起業家やビジネスのエキスパートからの4か月の育成プログラムを経験したディーバさんは、いよいよ「Lucy」を一般流通させるべく、9月よりIndiegogoでクラウドファンディングをスタート。Early birdであれば、199ドル程度という購入しやすい値段です。

家庭でのエネルギーの使い方を見直したいと思ってはいても、なかなか難しいものかもしれません。資源エネルギー庁によると、日本の家庭でのエネルギー使用量の、32%は給湯、21%は暖房、32%は家電(うち7%は冷蔵庫)、6%は照明器具だそう。(出典元

消費の大半を占める給湯、暖房、家電の使用量を減らすことは、何か大それた機器だったり、知識だったり必要そうだから難しいと感じるかもしれませんが、「Lucy」は、いつも使っていた照明の代わりに使うだけ。

こんなに簡単に自然エネルギーが使えると、エネルギーがもっと身近になり、暮らしに必要なモノを自分でつくる楽しさを知ることにもつながりそうです。

みなさんも、自然の光をつかった暮らしを考えてみませんか? オフィスや自室を離れて、たまには屋外で仕事をしてもいいかもしれません。

[via Solenica,Treehugger,Fastcompany,Qualcomm,Digitaltrends]