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グリーンズが毎月開催している、アイデアとアイデアをつなげる飲み会「green drinks Tokyo(以下、gdTokyo)」。4月18日に開催されたgdTokyoのテーマは「食の現在地」。今回は、フードロス(食品廃棄)を減らすべく昨年末に立ち上がった「Re-think Food Project」とのコラボ企画です!
「Re-think Food Project」は、Farmer’s Market @UNU(青山ファーマーズマーケット)の運営スタッフが立ち上げたプロジェクト。人々に、できるだけ食品を廃棄をしない料理づくりや食事の方法を伝え、廃棄直前の食材を再活用するためのイベント開催など、さまざまな活動を展開しています。
gdTokyoでは、そんな「Re-think Food Project」の立ち上げメンバーの竹田潤平さんと、協力者であり表参道の二つ星レストラン「レフェルベソンス」店長を務める生江史伸さんをゲストにお招きして、トークセッションを敢行! 司会は、greenz peopleマネージャーの植原正太郎がつとめました。
写真右から、竹田潤平さんと生江史伸さん ©MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
プロジェクトのきっかけは、ある気づき
「Re-think Food Project」を立ち上げた、竹田さん。青山ファーマーズマーケットの運営を長く続けるなかで、「自分個人の行動だけでは大きな運動としての広がりが弱いと感じたこと」が、プロジェクト立ち上げのきっかけになったと話します。
竹田さん 「Re-think Food Project」を始める前の話なのですが、青山ファーマーズマーケットでたくさん売れ残った食材を買い取ってもらうために、僕個人で飲食店の人に呼びかけをしていたんです。「今日売れ残ってしまったものがあるんですが、いくらか買い取ってもらえないですか?」と。
けど、これにはすごく限界があることに気づいたんです。
売りさばくというより、楽しんで食べてくれる人が増えていくほうが良い。そのように2015年10月頃に思うようになったんです。
一方、レストランの店長として青山ファーマーズマーケットに通っていたという、生江さん。農家が手塩にかけて育てた野菜が売れ残ると廃棄されることを知ったとき、「それって、飲食店では当たり前にやってしまっているじゃないか・・・」と疑問を抱いたのが「Re-think Food Project」へ協力するきっかけになったそう。
生江さん 飲食店を営んでいると、どうしても廃棄物が出てしまいます。そして、そのゴミはゴミ袋にいれられて、収集業者に持っていってもらい、焼却炉にいって、石油燃料を使って、処理される。
僕らは良かれと思い色々なところから素材を取り入れて、お客様には美味しいものを食べてもらって、そのお礼としてお金をいただき、経済を成り立たせている。
でも、青山ファーマーズマーケットで農家さんとお話をする中で、このように自分が当たり前にやっていることは、あまりにも無責任だということに気付かされたのです。
このようにふたりそれぞれがフードロスについて関心を深める中、竹田さんが生江さんに解決方法を相談したことで本格的に動き出したのが、「Re-think Food Project」だったのです。
昨年の12月31日には、当日のファーマーズマーケットで売れ残った食材を、生江さんたちが美味しい料理に生まれ変わらせ、参加者の方に振る舞うイベント「Re-think Food Project@神宮通公園」を開催。イベントには多くの人々が集まり、味が好評だったことはもちろん、フードロス問題を認知されることにもつながったそう。ふたりは、「大成功」と笑顔で話してくれました。
フードロスを自分ごととして考えるには?
トークセッションでは、司会の植原正太郎が、会場の方にアンケートをとる場面も。その中で、僕が特に印象的だったのは、この質問でした。
正太郎 会場のみなさんにの中で、「フードロスは大きな問題」だと思っている方はどのくらいいますか?
司会の植原正太郎 ©MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
今、記事を読んでいるみなさんは、どうですか?
フードロスという言葉は広まり始めてはいますが、自分ごととして捉えられている人は、まだまだ少ないのではないかと思うのです。
実は当日の参加者40名で、手が挙がったのはたったの2人・・・このような状況の中で竹田さんから、フードロスの問題に関わることで「どんな社会的なインパクトがあるのか」を説明してもらいました。
竹田さん 僕らが与える影響は、とても長期的なものだと感じています。青山ファーマーズマーケットに通っていただくことは、みなさんの食に対しての意識を変えることにつながるのではないかと思っています。
というのは、毎週必ずマーケットに来てくださる方には、僕が伝えたいことを、理解してもらっている感覚があるんですね。
ちょうど昨日の話なのですが、突風がすごくて、マーケットも途中で中止にしました。でも、売れ残りはそんなに多くなかったんです。その理由は、毎週来てくれる常連さんが、「今日は売れ残るだろうから」と言って、いつもの倍近くの量を買ってくれたからだったんです。
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竹田さんの話を聞いた参加者たちは「ふむふむ」とうなずき、真剣に耳を傾けている様子。この話を聞いたことが、フードロスを自分ごととして捉えるきっかけになった方もいるのではないでしょうか。
ふたりの話を、真剣に聞く会場のみなさん ©MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
料理をしよう!
竹田さんの話で、会場全体がより集中し始めたところで、生江さんが大きな声で会場に発したのは「料理をしよう!」という言葉。
生江さん 無理に食材を買って、結局ゴミにしてしまってはもったいないです。そしてなにより、農家の方に申し訳ない。美味しくないものを我慢して食べても続く気がしません。食料廃棄を減らしていくには、やっぱり美味しいものに変えることが大事なんです。
だからこそ僕がみなさんに伝えたいことは、料理をしよう!
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20年以上の料理経験から、素材を上回るテクニックなど存在しないということを自身で証明したという生江さん。事実、生江さんが青山ファーマーズマーケットの常連になった背景には、素材と真剣に向きあおうという思いがあったそうです。
そして一番大切なことは、自分の気持ちが弾む方へ進んでいくことだと伝えてくれました。
生江さん やっぱり、物事って喜びからはじまるんじゃないかと思うんです。無理やり問題を解決するために痛み分けをするのではなく、その問題を喜びに変換する。“美味しい”をエネルギーに世の中が回っていくことが、僕の描いているイメージです。
毎日30分でも料理を続けることで、自分の好きな味を探求するようになります。そして、みなさんもきっとファーマーズマーケットに行きたくなります。さらに、そのような人が増えていけば、フードロスもきっと減っていくはずです。
「料理を毎日少しずつ続けることで、社会も変わっていく」
この言葉を二つ星レストランの店長をつとめる生江さんから聞くことで、僕を含めた会場の参加者にはとても大きな納得感につながり、フードロスの問題をグッと身近に感じることができたのではないかと思います。
しかし一方で、「Re-think Food Project」の周りの方からでも「毎日料理を続けることも、今の社会ではそんなに簡単ではない」という声があるそう。
そこで、トークセッション後には、毎日料理を続けるためのファーストステップとして、生江さんによるピクルスづくりワークショップも開催しました!
「なぜピクルス?」と思う方がいるかもしれませんが、実はピクルスは簡単で、美容健康にもよく、保存もできる、いいこと尽くしの料理。そんな初心者にもおすすめのピクルスを、生江さんに教えてもらいました!
教室となる部屋は、満席状態です! ©MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
テーブルにはパプリカや、エリンギ、トマト、カブなどの色とりどりの食材が並んでいます。 ©MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
生江さんも一緒にピクルスをつくります ©MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
実際に生徒さんがつくったピクルス ©MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
このように4月に開催された「gdTokyo」は、外部団体とのコラボレーションや料理教室の開催など、これまでにない内容となりました。グリーンズは、今後も勢力的に「gdTokyo」を続けていきます。
次回開催される9月のgdTokyoも、外部団体とのコラボレーションで行います! コラボのお相手は、雑誌「ソトコト」のみなさん。「ソーシャル編集長バトル!月刊ソトコト 指出一正 vs greenz.jp 鈴木菜央」と題して、両編集長がお互いに今一番注目している&みんなに知ってもらいたいプロジェクトをプレゼンしあうトークバトルを行います。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の企画は何を隠そう「Pokémon GO」からヒントを得たもの。gdTokyoが初めてでも、「リアルポケモンGO」とも言えるイベントにぜひ、足を運んでみてはどうでしょうか?
9月8日(木)に開催です!