私たちが毎日欠かさず耳にする音楽。仕事中の作業BGMとして、車の運転中に、帰宅後にゆっくりと聴いたり。音楽には、私たちをリラックスさせたり、時に集中させてくれる力を持っているのではないでしょうか。
私は普段、日本のロックを聴くことが多いのですが、たまに「聴いたことがない、未知の音楽と出会いたい!」と思うことがあります。最新鋭の音楽や新人アーティストの紹介は音楽メディアに任せるとして、今回は「greenz.jpだからこそ推薦したい!」と思える音楽を見つけました。まず、聴いてみてください!
ミニマルで無機的なビート音。
そして、ノイズのような音。
民族音楽のような懐かしさも感じられる、なんとも不思議なサウンド。
しかし、みなさんすでにお気付きの通り、演奏者たちが使っているのはDJ機材でも楽器でもなく・・・そう、すべて野菜なのです!
「The Vegetable Orchestra」のつくり出す、アナログなのにデジタルな不思議な世界観。私はすごくハマってしまい、作業用BGMとして毎日大活躍中です!
この世にも奇妙な野菜をするミュージシャンたちは、クラシック音楽の聖地、”音楽の都”として有名なオーストリア・ウィーンを中心に活動する、実力派”野菜”オーケストラ「The Vegetable Orchestra」のみなさん。これまでにヨーロッパを中心とした世界各国でライブパフォーマンスを続けているといいます。
普通の楽器は一切使わないという彼らは、公演前に市場へ出向き、ニンジンや長ネギ、キャベツ、カボチャなど、さまざまな野菜を仕入れに行きます。入手してきた野菜をドリルやナイフで削って組み合わせ、皮をはいで擦り合わせることで立派な”楽器”が仕上がります!
「The Vegetable Orchestra」で”パセリ演奏者”として活躍するTamara Wilhelm(以下、タマラさん)。野菜を楽器にするうえでの工夫について、このように話します。
僕たちは本当に色々な野菜を使うんだ。たとえばカボチャは加工しないでそのままバスドラムとして使うし、たまねぎの皮はパリパリした音を出したい時に最適なんだ。
ニンジンに穴を開けて吹くとフルートのような音が出るし、キャベツの葉の音をディストーションペダルを使って歪ませても面白いんだよ。
とはいえ、「食べ物で遊ぶな」という言葉があるだけに、「演奏につかった楽器ってどうなるの?」と気になる方もいるのでは?「Vegetable Orchestra」は、もちろん食べ物を無駄にすることなく、楽器として使われなかった野菜のパーツは、全てスープとして観客に振舞われています。
実は「The Vegetable Orchestra」以外にも、野菜や果物を使った実験的な音楽を生み出しているアーティストがいます。(出典元)しかしながら、生演奏にこだわり続け、環境にも配慮し、嗅覚と味覚で楽しめる音楽のカタチを観客に提供している彼らは、他のアーティストとは一線を画しているといえるでしょう。
残念ながら日本公演は現在予定されていないそうですが、先に紹介した以外にも「The Vegetable Orchestra」は色々な曲を公開しています。
みなさんも新しい音楽との出会いを開拓するべく、”ベジタブル”で”ヘルシー”な彼らの音楽に触れてみてはいかがですか?
[via treehugger,noisey music by VICE,JESCO DENZEL PHOTOGRAPHER ,The Vegetable Orchestra retrieved February 2016]
(Text: 松沢美月)