生ゴミを入れると、燃料と肥料に変わってしまう魔法のような装置が誕生!
みなさんは、生ゴミを捨てるときに臭いが気になることってありませんか?
日常生活を送るうえで、一定数の生ゴミが出るのは当然のこと。その生ゴミでコンポストづくりに挑戦している方もいるかもしれませんが、庭が必要だったり、こまめにかき混ぜる必要があったり。誰もが挑戦できるかというと、実は難しいのが実情です。
そんな私たちの生活から切っても切り離せない、小さな悩みの種である生ゴミ。実はその悩みの種を家庭でエネルギーに変えることができる、画期的な装置をつくった会社がイスラエルにあります!
この装置を通じて、生ゴミから新しいエネルギーの循環が生まれます。
イスラエルのスタートアップ「Home Biogas」が開発したのは、家庭で排出される生ゴミをバイオガスと液体肥料に変えてしまう装置です。
その仕組みは、装置内のタンクにいるバクテリアが生ゴミを分解し、バイオガスを発生させるというもの。1日最大6リットルの生ゴミを処理でき、一般的なコンポストには適さない肉や乳製品などの食品も入れることが可能。また、生ゴミの代わりに1日15リットルまで動物の糞尿を入れることもできるため、動物を扱う畜産家などにも役立ちそうです。
1kgの生ゴミからは、平均で約0.2立方メートルのガスを生み出すことができ、これは家庭で1時間強火で料理をするのに十分な質量なのだとか。また、同時に液体肥料も1日最大8リットル生産可能で、食物を育てるところから捨てるまでの新しいサイクルを生み出せることがこの装置の特徴のひとつと言えます。
この装置を使うことで、各家庭から1年に1トンも出るという生ゴミが無くなり、さらにバイオガスを使うことで一般家庭の1年間の発電で発生する、6トンものCO2の排出を防ぐことにもつながるのだそう。
それだけに止まらず、この装置はバクテリアが生ゴミを分解するという自然の作用を利用しているおかげで、オフグリッドシステムも実現。どのような立地でも使用ができるのが、ひとつの魅力となっています。サイズは123cm×165cm×100cm、重さは40kgと一般家庭でも十分設置ができる大きさ。まさに、メリット満載の装置なのです!
中の構造はこんな感じ! いたってシンプルなオフグリッドのシステムです。
ちなみに装置から生成するバイオガスを使用するために、キッチンのコンロをバイオガス対応の機器に据え変える必要があるそうですが、一度変えてしまえば、あとは年に1回、簡単なメンテナンスをするだけなので実用化も決して難しくありません。
世界70カ国から注文が殺到中!
現在は製品を量産化できるようにクラウドファウンディングを行っており、後援者になると特別価格の約900USドルでこの装置を手に入れる資格を得ることができます。高額に感じる方もいるかもしれませんが、この価格であれば3年の使用で、十分に元がとれるだけの燃料や肥料を装置が提供してくれるのだそうです。
このようなキャンペーンも功を奏し、「Home Biogas」には、オーストラリア、ナイジェリア、コスタリカなど、先進国から開発途上国まで、世界約70カ国からの注文が殺到しているのだとか。実はこのクラウドファウンディングだけで、既に140台もの注文がありました。
そのうえ、国連のパン・ギムン事務総長もイスラエルを訪問した際にこの装置のデモンストレーションを見て、是非国連の支援でも活用したいと太鼓判を押したほど。これから電気の通じないエリアに住むひとたちのために活用され、暮らしの質を向上させるのにも役立つ可能性を秘めているのです。
周りに電気も通っていない砂漠地帯にだって簡単に設置できちゃいます。
「Home Biogas」のCEOであるOshik Efrati(以下、オシックさん)は、この装置への期待をこのように語っています。
僕らのゴールは、田舎に住んでいたとしても、都会に住んでいたとしても、この装置を誰もが使えるようになることです。
このシステムはゴミを減らし、バイオガスをつくることができます。そしてこれまで火を起こして食事をつくっていたひとたちにとっては、食事をつくるときに出る煙を吸い込むこともなくなるんです。もしみんながこの装置を使えるようになれば、間違いなく世界はもっと綺麗で、安全で、緑が豊かな場所になりますよ。
オシックさんが描く未来のように、世界のあらゆる場所で生ゴミをクリーンなエネルギーに変え、CO2削減にも役立つこの装置は、これからの持続可能な生活を実現するために必要不可欠な存在になるかもしれません。
残念ながら現在のところ日本への出荷は実現していないようですが、日本でも当たり前のようにこの装置によって各家庭で食品とエネルギーの循環が生み出されるのも、そう遠い未来ではないはずです。
Home Biogasの装置の使い方を見てみよう!
[Via TreeHugger,Indiegogo,HOMEBIOGAS,ISRAEL21c,Digital Trends]
(Text: 村上萌)