撮影: Akiko Terai
今回は、その巻頭インタビューを冒頭部分だけgreenz.jpに掲載することにしました。全編は、greenz peopleメールマガジンでお楽しみください。
こんにちは、グリーンズのビジネス面の責任者をしています、小野裕之です。おかげさまでグリーンズも今夏で10周年、ビジネス面もだいぶ安定してきました。
さて今回、お話を伺ったのは、カタリバで理事を務められている岡本拓也さん。震災を経て、一気にメンバーが増え、いまや100名近いスタッフを抱える「認定NPO法人カタリバ」。その変化を、組織づくり側から、ビジネス側から舵取りされてきたのが岡本さんでした。
いま、かつてのグリーンズがそうであったように、
・作業ばかりが増えて、それが給料やスタッフの増員につながらない
・対外的に発信していることと組織の実態が乖離してきていて、疲弊感がある
という悩みを抱える非営利組織は、減るどころか増えているような感覚さえあります。
非営利組織の運営とはいえ、人間が、経済活動として行うものですから、さまざまなリソースには限界があります。そのため、長く続けていくためには組織運営の効率化やビジネス化の議論は避けられません。
とはいえ、一般的な会社経営のそれと同じように運営していては、何かアップデートがないし、活動をし始めた初期の意義が失われていくような気がしてしまう。
それらのバランスをいかに取りつつ、継続性と拡張性のある活動にしていくのか。岡本さんのこれまでの工夫を振り返りながら、その秘訣を伺ってきました。
小野 現在、認定NPO法人カタリバ(以下、カタリバ)のスタッフって、何名ほどいるんですか?
岡本さん ちょうど80人くらいですね。僕がカタリバに出会った2009年頃は、スタッフが5名で売り上げ規模が4000万円くらいでした。その後、東日本大震災の影響が大きくて、寄付も事業も伸びたんです。
そして2012年にコラボスクール事業ができたときに、組織としての姿が変わり始めて、理念や、僕たちの考える社会課題を言語化し直しました。認定NPOを取得したのは、2013年ですね。
小野 なるほど。
岡本さん 2014年に人事制度をもう一回つくり直したんですけど、結局目指す理念を我々職員が体現しなきゃいけない。財務目標だけじゃなく、理念から繋がった事業別の目標を設定する努力をしながら、目指す方向への共通認識をつくりました。
経営って簡単に言うと、ヒト・モノ・カネというリソースの獲得配分が大事で、中でもヒトの部分が一番難しく、重要です。
小野 たしかに。
岡本さん 僕は、マネジメントという言葉よりエンパワメントという言葉の方がしっくりきていて、それが経営の根幹だと思っているんですね。特にスタッフが20~30人を越えてくる頃から、それは重要になってきます。
前職で企業再生の仕事をしていたとき、上手くいってない企業は、制度にがんじがらめになっている傾向がありました。つまり、その制度を回すための資料が分厚くて、結局本来の意味では制度そのものが機能していない。
そんな経験もあって、カタリバでは単に仕組みを導入するのではなく、納得感を大事にしてきました。最適解よりも納得解。
小野 その納得解を生み出すために、どんな取り組みをしていますか?
岡本さん 例えば、スタッフそれぞれが個人目標を設定していて、四半期に面談をしています。理念とか戦略に、自分自身がどう結びついているかを確認するんです。上司の仕事として、業務支援も大事だけれど、部下の精神支援も重要ですから。
そして全社ミーティングでは、部門横断の対話もやっています。そうすることで、普段の業務では接点のないメンバー同士が「そんなことをやっていたんですね」とお互いを理解し合う機会になります。
小野 ちなみに、岡本さんが前職で経験していた営利企業の事業再生と、今取り組んでいるNPOの事業化で特に違ってくることって何でしょう?
岡本さん 実現したい社会を一番大事にして、そのエンジンに対するガソリンとしてお金を捉えるという、その優先順位じゃないですかね。
僕がSVP東京を通じてカタリバに出会った直後の2009年に、とある学校から当時の事業規模の1/3程度のオープンキャンパスの請負事業がありました。でも「ミッションを大事にしたいので、継続しないことにしました」と報告を受けて、驚いたことがあったんです。
いかにそれがお金を生み出すとしても、本当に自分たちが人生をかけるべきことなのか? その判断軸が、この出来事に凝縮されていたんです。僕はそこで初めて、NPOのすごいところってこういうことなんだ、と学びました。
小野 とはいえ、ミッションを優先しすぎると、ガソリンが足りなくなりますよね。
岡本さん そうですね。だから一度、事業計画をつくり原価計算をしようとスタッフで取り組んだことがありました。1つの企画をつくるのに、どれくらいのコストがかかっているのか? 結構みんなが楽しそうにやってくれて。誰が何人関わり、それに人件費を割り当てたとき、どれだけのコストがかかるか確認したんです。そして、生徒1人あたりの単価がいくらになるのか計算しました。
その結果、スタッフのミッション性と収益性をバランスさせる意識が芽生え、自分自身の給料の話もできるようになって。あの時に素地ができたなと思います。
みなさんにお見せできるのは、ここまで!
このあと、ふたりの会話は「これからのグリーンズ」「パートナーとのコミュニケーション」「自分と向き合うこと」など、広がっていきました。全編は、先日配信されたばかりのgreenz people限定メルマガに掲載していますので、この機会にぜひ入会をご検討ください!!(5/6(金)までに会員登録をいただいた方には、追ってメールマガジンをお届けします。)
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これまでに巻頭対談に登場いただいたのは、「つみき設計施工社」河野直さん、働き方研究家・西村佳哲さん、「スマイルスタイル」塩山諒さん、「クラシコム」青木耕平さん、並河進さん、ソーヤー海さんなど、豪華な面々ばかり!(改めてみなさまありがとうございました!)
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