12/19開催!「WEBメディアと編集、その先にある仕事。」

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今、アートには何ができるだろう? 長嶋りかこさんに聞く、3.11以降のアートのありかた

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わたしたち電力」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクトです。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

今回、暮らしかた冒険家が訪れたのは、日本を代表するグラフィックデザイナーの長嶋りかこさん

えぇ?なにか今までの記事と比べると一気に華やかというか、ちょっと方向が違うというか、、、なんてドキドキしている人はご安心ください。彼女は根っからのオフグリッドな人だから。そしてナイーブで、でも、自分の心の声に忠実に生きてきて、今の道を選びとってきた人。そしてまだその旅の途中にいる(たぶん)誰も知らない長嶋りかこさんのこと。

お金がなくても生きていける

菜衣子さん いやぁ、でも本当に面白かったなぁ。だって、日本を代表するグラフィックデザイナーが工事中のわが家で、合宿で、ウェブ作ってるんだよ。

長嶋さん あれ以降、ウェブの案件が来ても全然怖くないもん(笑)

8月のお盆の頃、暮らしかた冒険家の家ではとんでもないことが起きていました。まだまだリノベーションは作業中で、壁紙や床板が中途半端に剥がされていて、まさしく工事現場だったわけですが、その家の中で札幌国際芸術祭の公式ウェブのリニューアル作業が行われていたのです。

机と椅子が運び込まれ、iMacとMacbookがずらりと並び、公式デザイナーの長嶋りかこさんもそこにいて、10人ほどがバリバリと3泊4日でウェブを作っていく。しかも、全員ボランティア。
 
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一体どういうことだったのかというと、札幌国際芸術祭の公式デザイナーだった長嶋さんは、オープンしたWEBの使いづらさが気になり、リニューアルしようにも予算もなく、困り果て、共通の知り合いを通じてつながっていた暮らしかた冒険家のところへ救済要請を出しました。

実行委員会にお伺いを立てて、交通費は自腹を切って、採算度外視、クオリティ最優先、でもみんな楽しいというレベルの高すぎる突貫工事が行われたのです。

暮らしかた冒険家は、この合宿を経て、長嶋さんのオフグリッドな匂いを嗅ぎ分けました。

長嶋さん 私は高校生までの暮らしがまさしくオフグリッドかも。限界集落の村で、電気は来てたけど、そもそも家が貧乏だっていうのがあって(笑)、資源はなるべく使わないようにしてたし、お風呂は薪割ってくべてお湯をわかしていたし。そんな生活が高校生まで当たり前だったんだよね。

大学から東京で一人暮らしだったんだけど、例えばムサビの友達と奥多摩とか自然がいっぱいの場所に旅行に行くときも、だいたい内心感動できなかったな。「あぁ、いい空気〜」とか思えなかったの、実家の自然のほうがすごいなぁって(笑)

ジョニーさん そんなに田舎だったんだ!?

長嶋さん うん、そう。家業ももともと農家だったから、野菜、お茶、果物。山菜とか竹の子は裏山に勝手に生えてた。田んぼもあってお米も作ってたよ。小さい頃はまだ土葬だったから、土を通して命の循環みたいなものをうすうす感じたりしてた。

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菜衣子さん  じゃあ、オフグリッドライフ読んでもあんまりおもしろくないかな?

長嶋さん ううん、田舎だと当たり前にやってることに都市的な視点も加わって、新しいなって。ちゃんと田舎の要素が価値化されてて、うらやましいなって思う。わたしにとっては、あれがただの生活でしかなかったから。

この連載に載ってた鈴木菜央さんは、モバイルハウスで田舎に住んでるでしょう?でも東京で仕事してるから、そのバランスを保つのが大変って書いてあって、それ、すごく分かるの。

田舎に住んでるときの感覚と、都市に住んでる時の感覚って、やっぱり全然違うから、その度に毎回チューニングしなおさなきゃいけないんだ。最初は、そのチューニングがうまくいかなかったの、どっちに合わせたらいいんだろうって。

どっちもいい価値なのに、でもチューニングを合わせないと生活がしづらい。そのうち、どっちかに合わせるんじゃなくて、その「間」って自分で作れないだろうかって思うようになってきた。

ジョニーさん 地元と東京は、完全に切り替えてるの?

長嶋さん うーん、東京にいても、田舎にいるような感覚を、持っているようにしたい。マインドとしては、田舎でいたいの。あの感覚を忘れちゃうのが怖いなって思ってて。環境で忘れてきちゃうから。一番最初にヤバイなって思ったのは、ちょっと変な話かもしれないけど、ゴキブリが怖いって思ったことなんだよね(笑)

私、昔はゴキブリ怖くなかったの。カブトムシとかカマキリと同じように、昆虫の仲間だと思ってたから。だけど、東京に来てから、不意打ちで現れたゴキブリを「こわ!!」って思って、これは私、完璧に都市化されてるなって思った。それはなんだかまずい気がするって思った。

菜衣子さん だって、東京のど真ん中だもん、ここ(笑)

長嶋さん だから、なるべく実家には帰るようにしているの。

菜衣子さん どのくらいで帰ってるの?

長嶋さん 田植えとか、稲刈りとか、、、

菜衣子さん え?田植えしてるの?稲刈りもしてるの?

長嶋さん してるよ。

菜衣子さん マジかー!

長嶋さん だから、いつかは高級タワーマンション!みたいな価値観って私にはないの(笑)

村の経験から、お金がなくても豊かに生きていけることを身を以て知ってるから。実家は本当に貧乏だったっぽいの、でも、それに気づいたのは高校行ってから。

私、高校は村から出て、遠くの水戸市の高校に通ってたんだけど、そこで友達と比較してはじめて気づいたの。うち貧乏だったんだな〜って(笑) 都市ってお金かかるなぁって思った。

さて、今をときめく日本のトップデザイナーが、超絶田舎生まれ田舎育ちで、今でも農業をやっててなんて誰が想像したでしょうか?

特に「お金がなくても生きていけること知ってる」って、、、これはなかなか言えないですよ。

オフグリッドすぎるバックグラウンドにビックリしてる人も多いのではないでしょうか?そんな長嶋さんですが、博報堂時代を振り返るとどんなことを思うのでしょうか?

気になるつづきはこちらから読んでみてくださいね。