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私たちのことを、手に触れて感じてほしい。 Jeremy Diasさんが、100%LGBTの人毛だけでセーターをつくった理由って?

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近年、LGBTという言葉を耳にすることが多くなりました。

LGBTは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性の不一致)の頭文字を取った、セクシャルマイノリティの人々を指す言葉。

最近では渋谷区でも同性パートナーシップ条例が成立し、同性カップルが結婚に相当する関係と認められることになりましたが、まだまだ多様な性の在り方について考える機会が足りていないように思います。

もっと、人々がLGBTや性の多様性について考えるきっかけを増やしていきたい。

そんな思いを込めて、カナダの「The Canadian Centre for Gender and Sexual Diversity(CCGS)」と広告会社「Saatchi & Saatchi Canada」は、一枚のセーターをつくりあげました。
 
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なんと、こちらのセーターの素材に使われたのは、250人のセクシャルマイノリティから集められた人毛! 髪質も髪色も異なる人毛をつなげて毛糸にする過程から、これまた人毛でつくったカラフルなボタンまで、徹底的に手づくりにこだわって完成させたといいます。
 
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髪質もさまざまに異なる人毛から1本の毛糸をつくり上げます

直接手で触れて考える社会課題

アメリカのリサーチ会社ギャラップが行った国際世論調査によると、カナダはLGBTが住みやすい国、第3位にランキングされているといいます。2005年にはオランダやベルギーに続き、同性婚が法的に認められるなど世界的にも寛容度が高いと言われていますが、それでも生きづらさを抱えている人が多くいるのだそう。

その理由の一つに、毎日の何気ない会話の中にある”gay”というスラングの使われ方があります。

That’s so gay.(それは、ゲイみたいだね。)

この言葉のように、ヘアスタイルや服など様々なものの形容として、”gay”という言葉をネガティブな意味で使う人々が多いのだとか。

私たちにとってアイデンティティを示す”gay”という言葉を、こんな文脈で使ってほしくない。そんな思いで、Jeremy Diasさん(以下、ジェレミーさん)は人毛セーターを考案したそうです。

ある日、私たちが何気ない話をしていたとき、「ダサい」という意味で”gay”という言葉を使う人に出くわしました。そのときに、もし私が今着ているセーターがセクシャルマイノリティの人毛でできていたら、きっと面白いし、人々にメッセージを発信できるのではないかと思ったんです。

このセーターは、100%セクシャルマイノリティの髪の毛でできているので、まさしくこれこそ”that’s so gay”なんです。

と、話すジェレミーさん。彼は、このセーターを通して、セクシャルマイノリティのことを感じてほしいと話します。

このセーターの重さは、なんと11kgもあります。実際に着て生活することは難しいかもしれませんが、その重さには人々の思いや物語がつまっているんです。人々にはぜひ着て、触って、あるいは匂いを嗅ぐことで、私たちのことを感じてほしいと思います。

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ジェレミーさん

「もっと多様性を受け入れよう!」と漠然と訴えても、日々使う言葉の先に傷つく誰かを想像することは、なかなか簡単ではありません。「では、まず実際に目で見て、手で触れて考えよう」という斬新さを持つこのセーターは、今までよりもLGBTの問題を身近に考えるきっかけになるかもしれませんね。
 

[via Co.CREATE,Ottawa Sun]
(Text: 大間千奈美)