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子どもたちに自然環境が感じられる校舎で過ごしてもらいたい! 貨物用コンテナの組み合わせでリニューアルした「Waldorf School」

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みなさんは子どもの頃、どんな学校に通っていましたか?

中には友達の顔はもちろん、学校生活を過ごした教室の風景も覚えていらっしゃる方は多いかもしれません。私は、勉強や子どもたちのひらめきを生むためには、教室や校舎の雰囲気が大事だと思います。

以前、グリーンズでは貨物用コンテナが創作の場になる「Cove Park」をご紹介しましたが、なんとカリフォルニアではコンテナを活動した学校が誕生しました!
 
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校庭には、畑も広がっています。

コンテナを活用した校舎をオープンしたのは、カリフォルニア州コスタメサにある「Waldorf School of Orange County(以下、Waldorf School)」。

ルドルフ・シュタイナーが提唱する「シュタイナー教育」を取り入れている学校で、“自然環境とのつながり”を尊重し、人間だけでなく生き物全体の幸福を願う子どもの育成に取り組んでいます。

今回の建設プロジェクトは、そんな学校の敷地約280坪に、コンテナを活用しながら校舎を増築するというもの。

新校舎につくられるのは4つの教室、休憩室、科学室、美術室、電子図書館、生徒用ラウンジ、2階建ての講堂、そして事務室。教室はそれぞれ4個のコンテナ、2階建ての講堂は9個のコンテナから成り、合計で32個のコンテナを使用して建設しました。
 
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建設中の様子

コンテナ以外に必要な資材の80%はリサイクル素材を活用し、建築廃棄物はほぼゼロ。そして経費もレンガやモルタル建築に比べて約10%~20%、従来の木造建築に比べて50%以上削減することができ、建築はたったの99日で完了したのだとか。

スピーディーな建設になったものの、事前に室内装飾や電気工事を施したコンテナを現場へ持ち込んで進めたので、近隣への騒音も最小限に止めることができました。

環境はもちろん、コスト、スピード、耳にも優しい建築プロジェクトは、地元コスタメサの「green design award」の受賞につながるほど、高く評価されています。
 
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グリーンデザイン賞の賞状を持つ、スタッフと先生たち

「Waldorf School」がこのプロジェクトを始めた背景には、

自然環境とのつながりを尊重できる大人になってもらうために、学校の教育方針に見合った校舎で学生生活を過ごしてもらいたい。

という思いがあったのだそう。そんな学校の思いに共感した行政や、市民ボランティア、住宅販売会社が協力。プロジェクトの進行中には、学校の思いに共感した保護者や地域の人々が、率先して協力を申し出たといいます。

「Waldorf School」の理事長、Paul Conollyさんは新しい校舎についてこう話します。

私たちの校舎は、学校と行政が環境に配慮するという同じ価値観を持ち、これからも継続して環境に配慮していくという決意を表しています。

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新校舎で学ぶ子どもたち

通常、廃棄物としてゴミになる貨物用コンテナ。その貨物用コンテナが、新しくおしゃれな教室に生まれ変わる様子を目にした子どもたちは、何を感じたのでしょうか。

状況に合わせて、動き、育ち、変化する。 そんな素敵な教室で毎日勉強できる子どもたち。将来がとっても楽しみですね。
  

[via dailyplot, waldorf school, inhabitat]
(Text: 藤田千絵)