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住まい探しは、自分探し。中古物件情報サイト「cowcamo(カウカモ)」でツクルバが紡ぐ、あなただけの“住まいの物語”

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みなさんは、今の住まいに“愛着”をもっていますか? そして、新しい住まいを考える場合、どのような暮らしを想像しますか?

今回ご紹介するのは、コワーキングスペースに飲食店、商業施設などの空間を幅広く手掛ける、場の発明カンパニー「ツクルバ」がプロデュ―スした、中古物件のオンラインマーケットプレイス「cowcamo(カウカモ)」です。

その名の通り、家を“買うかも”しれない人に向けて、その中古物件にまつわる“物語”とセットで、物件を紹介していくというものです。cowcamoの合言葉は、「一点ものの住まいに出会おう」。

オンラインサービスは初めての試みというツクルバが、cowcamoに込めた想いや、中古物件の魅力、そして住まいの領域で実現したいことなどを、共同代表である村上浩輝さんと中村真広さんにお話を伺いました。
 
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左が中村真広さん、右が村上浩輝さん

株式会社ツクルバ
実空間と情報空間を横断した場づくりを実践する、場の発明カンパニー。日本全国に展開する会員制シェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」、人が集まる機会と場所を提供する貸切型飲食店「365+(サンロクゴプラス)」などの自社事業を展開。2015年1月20日に、中古住宅の流通を促進する不動産のオンラインマーケット「cowcamo(カウカモ)」をオープン(不動産仲介は株式会社マチ二ワ(ツクルバグループ))。

売り手と買い手の“想いの交換”の場

「簡単にいえばcowcamoは、オンラインマーケットという情報空間で、売り手の想いと買い手の想いとが出会える場所。それは僕らが一貫してつくってきた “想いの交換”の場には変わりはないんです」と村上さん。

なるほど…。入居者の交流が盛んだという「co-ba」は確かにコミュニケーションの生まれる場ですが、実空間でも、SNSでもない、中古物件情報サイト上での “想いの交換”って、いったいどんなものなのでしょう?

早速、中古の住まいを探しているユーザーになったつもりで、cowcamoをのぞいてみました!
 
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はじめに登場するのは、この物件のリノベーション担当者。不動産情報サイトで“つくり手”が最初に目に飛び込んでくるのは、確かにかなり新鮮です。

そして、それぞれの物件について、担当者より語られるコンセプト。

ある人は「窓一面に空が見えるこの部屋を舞台に、アクティブに働く女性をイメージ。豊富な棚で、住み手が住まいを彩れるように」との想いを込め、ある人は「インスピレーションの湧く家にしたかったので、意外性を随所に仕掛け、暮らしながらも発見のある空間を」と語ります。
 
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リノベーションを手掛けた人たち。インタビューを受けるのがはじめてという人も

さらに、「キッチンの前に窓があったら毎日気持ちよいだろう、という想いを中心にプランを何通りも練った」、「模様替えを楽しむ住み手を想像し、掃除がしやすいプリントフローリングに落ち着いた」などなど、プランニングの過程もつぶさに語られています。

このように試行錯誤された軌跡に、期待感が高まっていきます。
 
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細かな部分にも“想い”が語られている

上の写真の物件には、スペックには表れない、ディティールに施されたデザインへの想いが語られています。担当者自らやすりをかけた床など、隅々に至るまで手間暇をかけた感が伝わってきます。

このようにつくり手のこだわりも強いのに、自分が暮らしのイメージをするにあたって、特に窮屈に感じないのは、多様な暮らしかたを丁寧に提案してくれているから。

例えば、下の写真は引き戸の開閉によって変わる、空間の説明。部屋の表情も豊かです。

これにより、「普段は仕事場とダイニングとを引き戸で仕切って…」「ホームパーティではLDKをオープンにしてもいいかも」と、自分の中にバリエーションがある暮らしのイメージが湧いてきました。
 
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また、取材しているライターさんの、「裸足でも心地よさそうな板張りの床」「時折聞こえるかすかな学生たちの笑い声」といった生活者目線の情報がうれしい一方で、「ここにハンモックを吊るしてくつろぎたい」「これが彼氏の家ならメロメロになりそう!」といったちょっとマニアックな視点も微笑ましく、素直におもしろい!

このようにcowcamoは、売り手と買い手の住まいに対する想いの饗宴により、コミュニ―ションをしている感覚で楽しめるサイトなのです。
 
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「あれこれ壁紙を悩むのも家族のいいイベントになりますよ」と、リノベーションを手掛けた物件にて語るツクルバの中村さん。住まい手が200種類の輸入壁紙より部屋の装いを選べます

読みものとしてもおもしろい、一点ものの“物語”を

今回ツクルバが、物件の見せ方において参考にしたのは、働く人の想いを紹介する仕事サイト「日本仕事百貨」。

そこでは、一見すると給与や勤務地だけで検索しても埋もれてしまいそうな仕事が、一つひとつの職場の取材により、そこで働く人の想いが浮きぼりにされ、魅力的に物語られています。このスタンスに共感し、 物件の“物語”というプレゼンテーションに、方向性が固まりました。

村上さん 今ある不動産のメディアって、間取りや面積、築年数といった物件スペックの訴求に頼りすぎているな、と感じていました。

新築なら100歩譲ってそれでもよいのかもしれませんが、中古になった途端、物件スペックだけでは抜け落ちてしまう要素ってすごく多いと思うんですよ。

例えば、リノベーションを仕掛けている人のこだわり、デザイン性、生活者目線の情景といった一番欠けている情報が、中古物件ごとのかけがえのない個性でもあり、実は訴求すべき魅力なんじゃないかって。

中村さん 物件スペックを中心に掲載しているサイトや、エッジの効いたキュレーター目線による厳選物件サイトなどもありますが、僕らは何よりもつくり手、売り手の“言葉”を大切にしようと思った。だから編集も、コンテンツを収集するキュレ―ションではなく、あくまでその想いへの“インタビュー”で。

だからスペックも、もちろん掲載しますが、それだけの掲載を依頼されても、残念ながらNGなんです。あくまであなたの想いも物語って欲しい、というところにこだわった。

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リノベーションを手掛けた人など、物件のつくり手に、ライターとカメラマンが1時間以上もかけて丹念に取材しています

そして、家をいずれ“買うかもしれない”層までユーザーと考えているので、まずは“読みものとしても楽しい”ことも重視しているそう。かつ、スマホで隙間時間にも読んでもらえるように、気軽に読める文字数とインパクトある写真の構図にも工夫を。

中村さん 実際、オープンして間もなく、過去1年以上売れていなかった物件にも問い合わせが入ってきていています。限られた情報の伝わり方がネックとなって市場で埋もれていた物件が、僕らのプレゼンテーションで魅力を放ちはじめた。

そして、こうやってつくり手、売り手の想いを丁寧に伝えていくことで、住み手とつながって。ああこれがやりたかったんだ、って実感しています。

ちなみに、cowcamoが扱う物件の価格は一般的な不動産の相場と変わらないそう。また、今現在、カウカモで登場する人は、リノベーション会社の方が多いですが、もちろん“個人の売主さん”も対象としています。

村上さん 将来的には、自分が想いを込めてつくって住み続けた家を売るときに、その想いをきちんと分かってくれる住み手にぜひ売りたい! という“個人”のお客さんが多くなればいいな、と考えています。

今まで知る機会の少なかったビンテージ物件にも出会えるということですね。このように、今後も首都圏を中心に、想いのこもった素敵な物件の物語を、丁寧に集めていく予定だそうです。

ミスマッチだらけの中古流通。売り手の選択肢を増やしたい

中古住宅ブームと呼ばれるような活況ぶりを呈しているものの、欧米と比べると、まだまだ盲目的ともいえる新築信仰が強い、現在の日本の不動産マーケット。

もともとマンションデベロッパー出身のお二人は、コピー&ペーストしたような部屋を揃え、工業製品のごとく住まいをあつかう新築マンションに違和感を覚えていました。
 
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村上さん だから今回も、ストック活用うんぬんというより、誰かの想いが込もった一品ものの住まいのほうに、僕らがシンパシーを感じているから、というほうが近いです。

俗にいう新築・中古のメリット・デメリットを論じる以前に、そういう住まいが世の中に流通していく世界を応援したいな、と。

中村さん その中古流通では、まだまだ売り手の選択肢は限定的。

例えば建築家に、こだわりのデザインで一軒家をつくってもらったものの、諸事情で手放さないといけない場合。大手の不動産なんかに査定してもらうと、「ここ駅徒歩15分ですから、せいぜいこのくらいですね」って、いわゆるスペックだけの定量的な査定になっちゃう。

他に例えば、代々引き継いできた日本家屋を手放さないといけない時に、「じいちゃんが丹精込めて育てた庭の木も、ぜひ評価して欲しい」という想いがあったとしても、「いやいや、我々不動産屋ですし」と全くとりあってもらえない(笑)

そんな感じで、想いのミスマッチが多いと思うんですよ。

暮らしを見つめなおし、住まいのバリエーションがある街へ

そこで、家を買いたい人含め、すべての住まい手に対し、「まずは暮らしを自分ごと化することを提案したい」と語ります。

中村さん そもそも日本人は住まいとか暮らしの話って、あまり教育を受けてこない領域。“食育”とか“体育”とかありますが、“住育”はほとんどない。

大半の人が、「自分にとってのいい住まいってどんなもの?」と考えることがなかった。果たして、今の家が、「これぞ自分の暮らしで、本当に自分の住まい」 という感覚を得られている人が、どれくらいいるのか。

例えば「co-ba」の入居者が、そこでアイデアや人脈をシェアでき、自分の本棚がいつもそこにあって、マイオフィスとして属している感覚。

あるいは、僕らの手掛ける賃貸マンション「CLASKIT」でも提案している、自分で部屋をカスタマイズする感覚。

そういった、少しずつでも自分の周りを愛着ある場所にしていくことが、自分にあった住まい探しの一歩だと思うんです。そうすべきという「べき論」じゃなくて、そのほうが本当に楽しいと思うのでオススメしたいんです。

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村上さん 一方で今、住まいの“継承”が増えている。例えば、10年間空き家だった祖父母の家を住み継いだり、あるいは自分たちの暮らしにあわせ、そこをリノベして住むことを選択する人も出てきた。

それは同時に、ここはおじいちゃんのお気に入りの空間だったとか、昔からお世話になっていたあのおばちゃんになんでも聞くといいよとか、そういう記憶の履歴のようなものも含めて受け継いでいくことになる。

そんな、自分らしい暮らしを模索しながら、家をつくる人、売る人、借りる人、買う人すべてへ、僕たちが、cowcamoやCLASKITのようにオルタナティブな選択肢を提供していけたらなぁ、と。何より、僕らがそれを欲しいですし。

また一方で、このように自分の住まいに愛着をもった暮らし方を実現していく、そんな住まいのリテラシーのある人が増えると、東京の街の風景も変わっていくのでは、と続けます。
 
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中村さん 例えば、今後中古の住まいを自分らしくリノベーションして住み継ぐ人の割合が増えると、築年数も50年、60年…といった住まいが増え、世代のバリエーションがある街並みになっていく。

それってぴっかぴかの新築を追い求めたり、都市開発に猛進してきた戦後の東京にとって、前人未到の風景になっていくと思うんですよね。

そんなおじいちゃん的な建築も健在で、新作の元気な若手もいるよ、っていう多様性のある街並みになっていけば、すごくおもしろいんじゃないかと思いますね。

確かに、自分の心地よい暮らしを追求していくと、住む場所の選択肢が増えていく気がします。家を探すことは、本当の自分に向き合うことなのかもしれません。

このように、「どこかに自分にぴったりの物語があるかもしれない…」と、わくわくして楽しめるcowcamo。

今は家の購入を考えていなくて、自分の暮らしを見つめ直すきっかけにもなりそうですし、中古物件の意外な魅力に出会えるかもしれません。ぜひ一度、サイトをのぞいて見てはいかがでしょうか。
 
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リノベ―ションした家に住み、楽しんで生活する人にもインタビュー

中古物件に興味はあるけどよく知らないし、まだまだ不安や抵抗もある…という人に向け、「中古物件ってどんな種類があるの?」「買うときの流れは?」といった「お勉強的コラム」も充実させていきます。

また、自分で取り付けられる棚やハンモックの吊るしかたといった「プチカスタマイズ術」でも、サイトを盛り上げていく予定。自分の家のプチリフォームや、インテリア向上のためにも、活用できそうですね!

そのほか、中古物件を手に入れ、楽しみながら素敵に暮らしている方のインタビューや、住まいをテーマにしたショートエッセイなど、住まいへの感度を高めてくれるような、素敵なコンテンツも用意していますので、ご期待ください。

最後に、「自分が大切に住み継いだ家に、新しい住み手を探している人も大歓迎!」だそうなので、住まいを売り出し中の方はぜひcowcamoまで。