最近いろんなところでよく耳にするDIY。必要なものは自分でつくり出すという精神。それを街全体で行うと、どんな素敵な出会いが生まれるのでしょう?
今回は、3年前にgreenz.jpで取り上げた「Detroit SOUP」のその後について、ご紹介します。
4年前から始まった「Detroit SOUP」は、もともとはアーティスト同士が意見交換をする交流の場として生まれました。
月に一度行われる、食事会の参加費は5ドル(スープとサラダ付)。街を活性化するためのナイスなアイデアを持ち寄ってプレゼンをし、食事会の最後に応援したいアイデアに投票をして、優勝者には参加費として集められたお金が贈られるという仕組みです。
投票が始まる前は、スープで腹ごしらえ。
投開票は、毎回緊張と興奮の瞬間です!
2010年2月にデトロイトの小さなグループから始まったDetroit SOUPは、わずか4年で大きく成長しました。いまや、映画の撮影でもよく使われてきたデトロイトの築80年の歴史ある建物をつかい、「Jam Handy」という立派な拠点を築くことを実現したのです。
「Jam Handy」
毎月の食事会には平均200人が参加し、2013年の一年間だけで4000人が集まったのだとか。そしてアーティストだけでなく、何かを始めたいと思っている人ならだれでも参加できる、地域のコミュニケーションの場として浸透しました。
過去の優勝者たちは地域のNPO事業や教育、公共の美化、地域の映画製作などに貢献をしており、食事会の場でその後の活動報告を行っています。
子どもたちも安心して過ごせる街にするために。
今年の9月に行われたSOUPでは、「Clean Up Detroit」というプロジェクトが優勝しました。これは、管理の行き届いていない土地や廃墟を整備しようというプロジェクトです。
もともとデトロイトは1970年代には自動車製造の一大中心地でしたが、1980年代以降の自動車工業の不振で人口が減少し、市内の3割が空き地や朽ち果てたビルと化してしまい、麻薬の売買の場として使われてしまった場所も。
そこで、子供たちのためにも自分たちの住む街を安全にしようと発足されたのが「Clean Up Detroit」でした。獲得した優勝賞金は、整備のためのトレーラーや備品購入のために使われるのだそう。
会場では、提案したアイデアについて、参加者同士でフランクな会話も楽しめます。
Detroit SOUPはJam Handyに留まらず、周りの“ご近所さん”たちにまで広がりを見せています。SOUPに賛同してくれる個々の支援者が「Neighborhood SOUP」という新しい食事会を開催したり、若者のための「YOUTH SOUP」と呼ばれる食事会が開かれているのです。
Detroit SOUPから多くのプロジェクトが生まれたと言われるのですが、私たちは何もしていないんですよね。参加者同士の自然発生的なアイデア共有によって、彼らのプロジェクトがブラッシュアップされ、多くの人々をひきつけたのだとおもいます。
と語るのは、Detoit SOUP立ち上げ人のAmy Kaherl(以下、エイミーさん)。最初はエイミーさんのボランティアで始まった活動でしたが、今後は支援金によって更なる発展を目指していくそう。
Detroit SOUPの立ち上げ人、エイミーさん
デトロイトは2013年の「惨めな米都市番付」でワースト1位になってしまうほど、暴力や犯罪の多い荒れ果てた都市で、あまり良くないイメージを持つ方も多いのではないのではないでしょうか。
しかし、「欲しいものは自分たちの手で、協力してつくり上げていく」という新しいデトロイトの精神は、そんなイメージとは一転、たくましくさと活気に溢れていて、周りの人々との関係を強めてくれるかもしれませんね。
[viaSOUP,UPWORTHY,michigan daily]
(text:吉岡遥菜)
– INFORMATION –
11/12(水)マイクロファンドの新しい形。
リトルトーキョーで、市民のプロジェクト発表の場「HAT」第2回開催!
https://greenz.jp/2014/10/17/hat2/
リトルトーキョーの市民はそれぞれ「はじめようとしていること」を実行するために活動中。活動をする資金を集めるために、自分のプロジェクトを発表するイベント「HAT」を開催します。
参考にしたのは、今回の記事でも紹介している「Detroit SOUP」。誰でもプロジェクトを発表できて、仲間を見つけたり、応援してくれる人に出会えたりする場です。
ゲストプレゼンターとして、今話題のウェブマガジンYADOKARIのさわださん、ウエスギさんをお招きします! ゲストからどんなプレゼンが聞けるのか!?お楽しみに。