歩道は歩行者の邪魔になるし、車道は危険だし、どこを通ればいいだろう…普段自転車に乗られている方ならば、なにか肩身が狭い思いをしている方も多いかもしれません。
今回は、そんな自転車ユーザーに希望を与えてくれる、コペンハーゲンでの自転車フレンドリーなまちづくりをご紹介します。
コペンハーゲンといえば、住人の50%以上が自転車通勤という自転車シティ。その数は、なんとアメリカ全体で自転車通勤をしている人の数を上回るのだそう!そのため自転車フレンドリーなインフラ整備が、当たり前のように行われているのです。
たとえば、信号の変わるタイミングが自転車のスピードにあわせられていたり、自転車で通りやすい、滑らかな丸石の道路が整備されていたり。自転車専用道路の総距離は、なんと約354kmにもなるのだとか。
そして、この夏に誕生したのが、「Cykelslangen」という自転車専用道路です。長さは約220mで、港近くのショッピングセンターのまわりを橋のように取り囲み、すいすいとペダルを漕ぐことができます。
この道路ができた場所は港の目の前であるため、のんびりと散歩を楽しむ歩行者で混み合っていたそう。また、階段をつかわなくてはいけない場面もあり、自転車ユーザーには負担の大きい場所だったのです。
幅は約4mで、通常の自転車の2倍の大きさのカーゴバイクもすっぽり収まる広さ。道の上には勾配をつけ、自転車がスピードを出しすぎないようにするなど、安全面にも配慮されています。何より歩行者から見ても、楽しいデザインになっているのが素敵ですね。
外からは、自転車がちらちらと動く様子が見える設計
港の上を自転車で漕ぐ爽快感は格別
暗い夜にも映えるきれいなオレンジ色
このプロジェクトを手がけた建築家のMikael Colville-Anderson(マイケルさん)は、こう語っています。
Cykelslangenを通る自転車ユーザー、それを眺める歩行者。どちらから見てもワクワクする景色になることを意識しました。自転車が交通手段としてさらに尊重されて、人や車のためだけではない多様なまちづくりになるといいですね。
余談ですが、私が住む地域の最寄駅では、駅の開発のために多くの駐輪場が閉鎖されてしまいました。その影響で、駅のまわりには不法駐輪の数が激増。コペンハーゲンとは真逆で、自転車ユーザーにはなんとも厳しい状況です。
とはいえ、街は自転車だけでなく、歩行者、車利用者のすべての人たちが過ごす場所。それぞれの立場の人がお互い暮らしやすくなるよう、対話を重ねられたらいいですね。
何より自転車の一番の魅力は、風を感じながら、街の変化を体で感じられること。みなさんも自転車を漕ぎながら、自分の住むまちについてアイデアを膨らませてみませんか?
[via Co.EXIST,youtube,WIRED, Visit Copenhagen]
(text: 大石真由)