「あなたが住んでいる町に、発電所が建設されます」。
もしもこのように言われたら、みなさんはどのように感じますか? 騒がしくなりそう、空気が汚くなりそう、などネガティブな感想を持つ方も少なくないかもしれません。
今回は、そんな発電所をみんなの遊び場として開放することで、発電所との心の距離感を縮めてしまおうという取り組みをご紹介します。題して、「発電所スキー場化計画!」
舞台はデンマークの首都、コペンハーゲン。アンデルセンの童話がつくられた美しい街の中心部に、40年以上稼働して、生活や産業を支えてきた火力発電所がありました。
その後、老朽化にともない、廃棄物利用エネルギー(Waste-to-Energy)を活用した新たな発電所として作り替えるコンペが開催されます。そこで入賞したのが、「Bjarke Ingels Group(以下、BIG)」という建設会社が提出した、「発電所の屋根にスキー場をつくろう!」という奇想天外なアイデアでした。
「単なる発電所以上のもの」という思いから生まれたこのアイデアは、雪は多いけれど、平らな土地ばかりというデンマークの特徴に着目して生まれたようです。”遊びに行ける発電所”として身近な存在になれば、生活と切り離されたところにある電力会社のイメージも変わりそうですね。
夏場はハイキングも可能
他にもユニークなアイデアは盛りだくさん!例えば発電所の煙突からは、1トンの二酸化炭素が燃やされるごとに、輪っかが登場し、どれだけ排出されているかを確認できるようになっているのです。
「こんなに二酸化炭素を排出しているなら、無駄な電気を使わないように気をつけよう」と節電に対する意識も上がるかも?
発電所をはじめ多くの公共施設に、もっとアートの要素を取り入れることができると思います。建築はアートとしてビジョンを提示することもできますし、想像を現実のものにできる科学でもある。私たちは建築を通して、より多くの課題の解決を目指しています。
とビヤルケさんは語ります。発電所の完成は4年後の予定とのことで、完成したら遊びに行きたいですね!
建築は、単に建物を建てるだけでなく、街の誇りにもつながります。みなさんはどんな場所が遊び場になったら楽しいと思いますか?