来週2月8日(土)〜15日(土)まで、子どもたちと同じ目線で未来を描くための対話の場「Child Future Session Week」が開催されます。
主催するのは、「こども未来探求社」代表の小笠原舞さんと、「株式会社フューチャーセッションズ」の野村恭彦さん。
フューチャーセッションとは、対話によって未来を生み出す手法のひとつ。ワクワクする雰囲気の中で深く対話をしながら、「一緒に未来を創るアクションを起こしていくための場」として注目されています。
立場の違う参加者同士で目的を創り出し、主体的に実行するチームを生み出していくフューチャーセッションをもっと広げていくため、今年は「子ども」というテーマにフォーカスし、一週間にわたる「Child Future Session Week」として開催することに。
そこでどんな思いで今回のイベントを開催することになったのか、お二人にお話を伺いました。
イノベーション・ファシリテーター/株式会社フューチャーセッションズ 代表取締役/K.I.T.虎ノ門大学院教授。富士ゼロックスにて新規ナレッジサービス事業KDIを立ち上げた後、2012年6月、企業、行政、NPOを横断する社会イノベーションをけん引するため、株式会社フューチャーセッションズを立ち上げる。著書に『フューチャーセンターをつくろう』、監修/監訳書に『シナリオ・プランニング』、『コネクト』などがある。
保育士として働きながら、子どもたちのより良い未来を目指し、こども未来プロデューサーとしての活動を始める。2012年夏より始めた子育て支援コミュニティ「asobi基地」は、ほぼ毎週末イベントを開催している。2013年6月には『合同会社こどもみらい探求社』を立ち上げるなど、常に新しいチャレンジをし続けている。
立場の違いがあるからこそ、協調アクションが生まれる
グリーンズ どうして子どもにフォーカスすることにしたんですか?
野村さん おととしにも「Future Session Week」を開催したのですが、その後も継続的にセッションが開催されていたのが”子ども”というテーマのセッションだったんです。「asobi基地」もそこから生まれたこともあり、私たちの取り組みのひとつのモデルケースとして、もっと応援したいと思ったんですね。
ワークショップの隣に子どもが自由に遊べる「asobi基地」があると、普段は参加できない親子連れの方も対話に参加できます。逆に、普段子どもと関わる機会がない方も、asobi基地のおかげで子どもとの接点ができる。結果的に参加者に多様性が生まれて、よりたくさんのアイデアが生まれるようになりました。
グリーンズ それは素敵ですね。
野村さん それともうひとつは、何より小笠原さんを応援したいという思いがあるんです。出会った当初は社会に対する”怒り”から活動をしているような雰囲気だったけれど、だんだんとさまざまな立場の人に対してフラットにメッセージを発信できるようになっていった。
だからこれから小笠原さんがさらにどう変化していくのかとても楽しみで、いろんなテーマを小笠原さんのカラーでかけ算してみたらどうなるんだろう?って興味がわいたんです。
小笠原さん 私は社会に対していくらでも問いたいことがありました。保育士をしながら日々感じていたのは、「子どもたちは保育園の中だけで生きていくわけではない」ということ。家や道路だったり、食べ物だったり、社会の中でいろんなものと関わっています。それなのに、「何でみんな”子ども”のことが自分ごとにならないの?」という怒りと疑問が、最初の頃は強かったんです。
その思いのまま、何回かセッションを主催してみても、参加者の人たちがなかなか行動してくれないことにジレンマを感じていました。でもあるとき、それではダメなんだということに気付いて。もっと参加者の想いを拾いながらも、私が感じた疑問を周りの人たちに投げかけることで、想いを行動に移す過程をお手伝いすればいいんだと思うようになりました。
普段、「子どもについて考えていない人」こそ歓迎される場
グリーンズ 「Child Future Session Week」では、どんなことを目指しているんですか?
小笠原さん そうですね。今回初めてではありますが、毎年続けていきたいと思ってます。最終的なゴールは、「子どもについて考える文化をつくること」なんです。
グリーンズ というと?
小笠原さん 企業が何か新商品を考えようとしても、大人の都合だけでは答えが出ないことってありますよね。でもそのときに、「子どもにとっていいものって何だろう?」と問いを変えてみると、思いもよらないアイデアが浮かぶんじゃないかと思うんです。
親にならないと子ども達のことについて、立ち止まって考える時間はなかなかないと思いますが、Child Future Session Weekをきっかけに、「子どもたちが答えを教えてくれる」というとてもシンプルなことを体感してもらえるといいですね。子ども達のことを尊敬する大人がたくさんいる社会って素敵だと思うんです。
野村さん 僕が期待してるのは、異なる立場だからこその多様性に富んだセッションがうまれること。。子どもについて普段考えていない人も大歓迎で、「子どもを中心にして、世の中を変えていこう!」という輪の中に参加してもらえたらと思っています。
僕も普段は自分の子どものことになかなか主体的には関われていないので、主催側にいるのは変だなって思ったりするときもあるんですが、そういう僕みたいな人でもできることがあるし、それがわかると嬉しくなるんですよ。
小笠原さん 自分の家族の中でも通勤中にでも、いろいろな人がそれぞれにできることをやればいいと私も思います。やっぱり無理をしても続かないですし、大人が無理する社会になってしまったら、子どもにもそれを強いる社会になってしまうので。だから、大人の人もそのままで、そこに子どもの視点をどうプラスするかを一緒に考えられたら嬉しいです。
小笠原さん Child Future Session Weekでは、参加者の方から「○○×子ども=□」の○○の部分を出してもらい、みんなで対話をしていく予定です。小学校の先生たちによる「学生×子ども」や「日常×子ども」というテーマもあります。
野村さん 僕だって別に最初からすべてのことが”自分ごと”だったわけではないんです。仕事を通して数々のセッションに参加することで、いろんなことが「僕にも関係ある」ことに気付いていきました。
だから「○○×子ども」の○○の部分は、「それ、子どもと全然関係ないっしょ!」と一見思えるようなテーマを入れてもらいたいですね。
普段あまり子どもの視点で社会を眺めることがないからこそ、人にやさしい社会の解像度があがる時間になりそうですね。それぞれが自分の強みを活かしてセッションに参加することで、自分と子どもとの意外と関係を発見できるかもしれません。
ぜひ、あなたにとっての「○○×子ども」も考えてみてください。