コミュニティイベントのひとつとして行われたMAD Cityトラベルのようす
千葉県松戸市の一角で行われているまちづくりプロジェクト「MAD City」。DIY・改装OKの賃貸物件を提供する不動産事業や、町会やアーティストと一緒に行うまちの公共空間を活かした企画など、ユニークなプロジェクトを展開しています。(詳しくはこちら)
先日、MAD City3周年記念イベントとして「ワンデーMAD City」というイベントが開催されました。MAD Cityの運営母体である株式会社まちづクリエイティブのスタッフとゲストによるトークショーと、住民主体で行われたMAD Cityの物件や名所をめぐるコミュニティイベントなど盛りだくさん!まさに「一日でMAD Cityを楽しめちゃう」イベントでした。今回はその様子をレポートします!
MAD Cityってどこにある?どんなまち?改めて解説!
開演後、まずはアイスブレイクで隣の人と自己紹介
最初に、まちづクリエイティブ代表の寺井元一さんから、改めてMAD Cityについて紹介。MAD Cityは千葉県松戸市、松戸駅前の半径500mのエリアを「MAD City」と名づけ、「クリエイティブな自治区」として、まちづくりを行っています。
トークイベントでは、株式会社まちづクリエイティブのスタッフが「今、一番会って話したい人」をゲストに迎え、それぞれの分野のトークを通じて改めて「まち」や「アート」などの話を深堀りしていきました。
千葉県・金谷で「KANAYA BASE」を拠点にまちづくりをしている西田直人さん、金子愛さんとのトークではまちづくりの現場での本音話が出たり、
西田直人さん、金子愛さん(ともにKANAYA BASE)×殿塚建吾(まちづクリエイティブ)
クリエイティブクラスターの岡田智博さんとのトークではクリエイティブ産業についての話が聞けたり、
岡田智博さん(クリエイティブクラスター)×庄子渉(まちづクリエイティブ)
3年ぶり2回めの登場となった、編集者&ライターである赤星さんとのトークでは、国内外のアーティストが参加するフリーマガジン「Krash Japan」やマチスタコーヒーを生み出したクリエイティブ魂が明らかになりました。
赤星豊さん(アジアンビーハイブ)×赤星友香(まちづクリエイティブ)
最後の、西本千尋さん、中村健太さんとのトークでは、あらためて「まちとは?」という定義やまちづくりについての議論が交わされました。
西本千尋さん(ジャパンエリアマネジメント)×ナカムラケンタさん(日本仕事百貨)×寺井元一(まちづクリエイティブ)
MAD City名物スポットをめぐる「MAD Cityトラベル」
アトリエや物件に入居する人もこの3年の間に増え、コミュニティも醸成されてきました。この3年間でMAD Cityエリアに拠点を移したアーティストやクリエイターたちは約100人。当日は住民主体のコミュニティイベントも数多く同時開催されていました。
まず、初めてMAD Cityに来た人におススメなのが、まちめぐりツアーの「MAD Cityトラベル」。当日は3回、MAD Cityの名物スポットをめぐるツアーが開催されました。ガイドは以前こちらの記事でもご紹介した行政翔平さん。旅行業界で働いていた経験を生かし、MAD Cityをめぐるツアーをたびたび主催しています。
こちらの壁画は アーティストが地元住民の意見を取り入れ、協力を得ながら制作したもの。完成後、この通りは「根本壁画通り」と名づけられました。
根本壁画
その後も昔の道の名残が残る小さな三角公園などをめぐりました。解説を聞きながらまちをめぐると新たな発見もありますね。
三角公園
MADマンション住民の生の声を聞ける「White Life Exhibition」
そして、以前ご紹介した「MADマンション」では、住民がそれぞれの部屋でゲストをおもてなし。「実際住んでみてどうですか?」など気になることを直接住民のみなさんに聞き、交流しました。
こちらの部屋の新谷さんは、イベント数日前に壁を緑に塗ったそう。室内には旅行で訪れた北欧の写真が飾られていました。
料理関係の仕事をしている古平さんは、この日は自室でカフェをオープン。
「MADマンションは、人と一緒に生活している感覚が得られるのがいいです」と住民の古平さん(写真右)
こちらの部屋に住む末光さんは、普段からフリーペインティングをしており、まるで部屋そのものがアート作品のような状態に!
当日は、ゲストも改装中の壁に紙を貼って壁画に参加
福島県いわき市で働いている蔵田さんは、松戸でいわきの現状を伝えています。
蔵田さんの部屋では、いわきのお菓子をいただきながら、震災などについての話が。
マンションの一室は住民のコミュニティルームとして、みんなで協力しながら改装しています。当日はゲストも改装に参加。
壁にブロックを貼っていきます。なかなかできない体験にテンションUP!
通常、マンションに不特定多数の人が入ることは難しいですが、マンション住民が周りへの配慮を十分にすることでこの企画は実現しています。実際に住んでいる部屋やコミュニティをのぞけるのは貴重な機会ではないでしょうか。
スタンプラリーをしながら、地元商店をめぐる
当日はMAD Cityの地元商店やイベントに参加ながら集められるスタンプラリーも実施されていました。これは「まつどい」という松戸のフリーペーパーを発行しているメンバーが主催。こちらの八嶋商店では「まねきねこが招いているものは左右それぞれ何?」の答えを店主の八嶋さんに質問。初めて来た人も地元の人と交流が持てるきっかけとなりました。
全てのスタンプを集めた山本さん。松戸の豪華商品をゲット
MAD Cityのシェアアトリエ「旧・原田米店」では、アーティストによる音楽とダンスが発表されたり、入居するクリエイターによるワークショップも開催され、終始にぎわっていました。
また、元ラブホテルの部屋を活用したアトリエ物件「PARADISE STUDIO」の内覧ツアーも行われました。このアトリエは4Fの8部屋のうち6部屋をクリエイティブスペースとして活用し、残りの2部屋はアーティストインレジデンス(アーティストに制作場所を提供し、滞在期間中に作品を制作してもらう仕組み)のスペースとして運営しています。
ほかにも、住民主催のイベントが同時多発的にMAD City各地で開催されました。ちょっとずつご紹介します。
手とハサミで雑貨を制作する小川さんはオーダーメイドハンコをその場で制作。
松戸のオーガニックカフェ「Slowcoffee」はフェアトレードアイスコーヒーをサービス
旧・原田米店に入居する建築家の西尾さん(中央)は松戸で見つけた枝を使ったバードコールつくりワークショップを開催
MAD Cityの魅力がぎゅっと詰まった「ワンデーMAD City」。まちの雰囲気や住民と交流のできる濃い一日となりました。このようなオープンイベントは今後も開催される予定なので、ぜひチェックしてみてくださいね!
(Text:猪鹿倉 陽子)