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ハロウィンにもぴったり!子どもたちの可能性を引き出すはがせる絵の具「ミラクルペイント」 [こそだて寺子屋]

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子どもの頃、マニキュアを塗っている大人に憧れて油性ペンで爪を塗ったり、図工の時間に身体にイタズラ書きをしたことある人はいませんか?

絵の具を使って“ちょっと違う自分”になるのは楽しいものですが、油性ペンなどを使って書いてしまったものはなかなか消えません。とはいえ「やめなさい!」と注意されても、ついついまたやりたくなるのが子ども心…。

それなら、すぐに消すことができて、肌にも環境にもやさしい絵の具があるとしたらどうでしょう。思う存分、「やりたい!」を表現できるなんて、まさにミラクル!そんなはがせる絵の具「ミラクルペイント」を開発・販売している、ハガレックス・ジャパンの平野豊宏さんにお話を伺いました。

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平野豊宏さん

世界中が盛り上がるイベントで環境が汚れていく。
そのことを知り、どうにかしたくなった。

「ミラクルペイント」は2002年の日韓ワールドカップをきっかけにうまれました。もともとは町おこしの仕事をしていた平野さんは、なぜ、はがせる絵の具を開発し、会社を立ち上げるにまで至ったのでしょうか。

町おこしの仕事に携わりながら、危機感があったんです。何百年も続いてきたお祭りが終わってしまったり、日本特有の伝統工芸品も後継者がいないことによって、途絶えてしまったり…

「もっと具体的に日本を元気にすることをしなくては!」と思い立った平野さん。日本から発信する世界初のモノを作って、日本を元気にしようと思いつきます。しかし、予想以上に“世界初”は難しく、すぐに大きな壁にぶつかってしまいます。そんな中、転機となったのが日韓ワールドカップでした。

サッカー観戦サポーター

世界中から人が集まる大きなイベントですし、これはチャンスだと思いました。いろいろ調べていくうちにわかったのが、ユニフォームやタオルなど、サポーターが使うものはよく売れるということ。その中で、唯一の消耗品がフェイスペイント材だったんです。

従来のフェイスペイントの絵の具は、2種類しかありませんでした。一つは水性で、すぐ落ちるもの。汗で落ちてしまったり、服について汚れてしまうこともありました。もう一つは油性のもの。こちらは落とすのが大変で肌に負担がかかってしまいます。

水性・油性に関係なく共通していたのは、水を使わないと落とせないということ。それも、平野さんの心の中でひっかかりました。

地球上の資源で水はとっても大切だと感じています。水も石けんも使わずに、”はがせる”商品にしたかったのは、環境のことを考えていたからでした。フェイスペイントを落とした後の水は、結局環境を汚してしまいますからね。

オリンピックとワールドカップという2大世界イベントが行われる度に環境が汚れてしまっている…!逆に言えば、“環境にもお肌にも良いフェイスペイント材”ができたら、世界を驚かせることができるんじゃないかと思ったんです。

ミラクルペイント商品

“アイプチ”からヒントをもらった「ミラクルペイント」

「おもしろいことをして、環境や人のためになる商品を作りたい」とは思いつつも、ひらめくまでや、ひらめいたものをカタチにすることは難しいもの。

平野さんの人生の中で、「ミラクルペイント」に至るまでに、どんなアイデアの種があったのでしょうか。

「はがせるものって何かないかな」と妄想を広げたんです。そうしたら、昔アイプチをしたことを思い出しました。そこでアイプチの原料を見てみると、「天然ラテックス」って書いてあって。

天然ラテックスは半年で土に戻るんです。なおかつ、肌にもやさしい。それで天然ラテックス工場を探して、工場長に直談判しました。当時の僕は、暑苦しかったと思います。だからでしょうか、工場長も開発を手伝ってくれることになりました。

変身!

言葉を超えたコミュニケーションもうまれた

「すべてを捨ててる覚悟がないとつくれないだろう」と、仕事も辞めたという平野さん。こうして開発された商品は、ワールドカップの開催1ヶ月前に無事に完成し、開催10日前に会社を立ち上げます。

当時、お金がたくさんあったわけではないので、完成した商品を友人に見せて、出資してもらいました。結局1万5000個しか作れなかったのですが、ハンズやロフトで実演販売をしながら売りました。そのとき運良く『ワールドビジネスサテライト』というテレビ番組に取り上げてもらったこともあり、1万5000個を売り切ることができたんです。

とはいえすべてが順調とはいきませんでした。大量生産に合わせて新しい機械を導入するも、成分と機械の相性が悪く、時間が経つと腐敗してしまうようになってしまったり…しかもそれは、ワールドカップ開催中の出来事。

そんな辛い時期でも「ミラクルペイントを使って、相手の国の国旗を顔に書いていたら、海外の人にたくさんハグされました!」なんて声をいただいたりして、うれしかったです。フェイスペイントをして、“いつもとはちょっと違う私”の楽しさを知ってもらいたいですね。

販売してから11年、次にもまた買ってくれるところが多く、リピーターが多い商品だということは、誇れることだなぁと感じています。

子どもからの人気は絶大!

何よりの魅力は、肌と肌で触れ合えること。「ちょっと手の甲を貸してもらえますか?」と平野さん。

こうやって絵の具があるから不自然じゃないですけど、絵の具がなかったら僕はただの変なおじさんになっちゃうでしょ。初対面でも、こうやって、肌と肌を触れ合えることができるってところがポイントです。ぜひ指で書いてほしいですね。

ミラクルペイントで書いてもらいました。

失敗も、かけがえのない大切な体験

ワールドカップをきっかけに、スポーツの応援シーンをより楽しく、よりエキサイティングにしようと誕生した「ミラクルペイント」ですが、実はフェイスペイント以外の活用方法もあります。

布に描くと洗濯しても落ちない特徴をいかして、オリジナルのTシャツやバッグ作りにも向いています。指を囲むようにして塗ってはがすと指輪ができたり、はがしたペイント材をまるめると、スーパーボールになって、はずませて遊ぶことも!

小さいお子様をお持ちのお母さんが、「子どもの靴下の裏にペイントして滑り止めとして使いました!」という方がいらっしゃって、お母さんたちの知恵って本当にすごいなぁって驚かされましたよ。

夢中な子どもたち

そんな無限の可能性を秘めるミラクルペイントを活用して、「親子で描きあうフェイスペイントのワークショップ」や、「親子でつくるエコバック・Tシャツづくり」など数々のイベントを仕掛ける中で、平野さんは「心配に思うことがある」と言います。

ワークショップは、子どもたちの創造力・表現力を引き出すことが目的なのですが、親御さんがたまらず「ああしなさい」とか「こっちの色の方がいいでしょ」と、すぐに口や手を出してしまう人がいるんですね。そうすると、子どもの無限の可能性をつんでしまうのではないかって。

「失敗をすると怒られる」「本当はこうしたいけど、怒られるのはいやだ」という体験を積み重ねていくと、「失敗したくない」「怒られたくない」との想いから「行動する子ども」が減ってしまうのではないかと気になっています。もっともっと失敗を、「かけがいの体験」と賞賛してあげてほしいですね。

失敗の体験があるからこそ、うまくいったときの喜びを味わえる。失敗を繰り返しながら、小さな成功体験を積み重ねることで、自信をつけ、自分のことを好きになることができる。それが「自己肯定感を育むことにつながる」と平野さんは考えています。

学習して知識を得るよりも、体験してほしい。僕もこれまでやってきたこととか、“世界初のものを”とチャレンジしてきたのもあって、失敗することを考えていたら、何もできなかったと思うんです。子どもたちには「失敗したのか。よかったなぁ」って言ってあげたいですね。

失敗も含めていろんなことを体験したからこそ、自分ならではのボキャブラリーとなり、それが人の心に響く言葉にるのでしょう。どんどん失敗してもOKな「ミラクルペイント」で、一緒に遊んでみませんか?