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夜も太陽といっしょ!ソーラーパネルでこころも明るくなる、“発電女子”のくらし

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わたしたち電力」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクトです。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

グリーンズでもたびたびご紹介している、「オフグリッド型太陽光発電」。
最近は、電力会社からの送電網(グリッド)に頼らず電気を自給するこのしくみや方法を学ぶセミナーやワークショップが各地で開かれるようになり、「おうち発電所」を自作する人々が増えてきました。

今回は、地元・北海道でこの発電方法を広めている早川寿保さんの指南で自家発電を始めた、2人の“発電女子”のご自宅を取材。彼女たちのくらしには、自家発電から始まった明るいニュースがいっぱいでした。

電気代月200円代の、豊かな“5アンペア”ライフ

この夏、電力会社との契約電力供給量を15アンペアから5アンペアに落とし、月500円代だった電気代が200円代になったという札幌市豊平区在住の河野育子さんは、札幌近郊に通勤する理学療法士。

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河野さんの、9月の電気代明細書

ピースウォークやサウンドデモなど、原発のない世界を求めるアクションにも軽やかに参加する、レゲエとソーイングを愛する河野さんのお宅は、真南向きのベランダつき1DK。

ちょうど引越しを考えているときに早川さんの講演を聴き、引越し前から太陽光発電の実践を念頭において、この部屋を選んだそうです。

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太陽光発電による照明で明るい、河野さんの部屋

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壁かけスピーカーから聞こえるレゲエ音楽もベランダ発電のたまもの。ちなみにこのソファは、たたんだふとんをベッドカバーでくるんだ、即席のお手製だそう

河野さんが日常的に使っている家電は、
・消費電力7WのLED照明3つ
・ケータイ電話の充電
・ノートパソコン
・脱水機
・スピーカー
・ミシン
・手芸用のアイロン
・ドライヤー の8つ。

これらの電力を自家発電をメインにまかない、足りない分を電力会社の電気で補っているそうです。

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河野さんは、今年3月にこのアパートに引越したのを機に、4月からさっそく自家発電にトライ。

最初に用意した機材は、
・真南に面しているベランダに置いた100Wの太陽光パネル1枚
・蓄電容量74Ahの車用中古バッテリー1つ
・インバーター2つ(LED照明やケータイ充電など、消費電力の小さい家電に適した300W対応型と、脱水機など消費電力の大きな家電に適した800W対応型)
・蓄電状態をスムーズに管理・表示してくれるチャージコントローラ
で、合計54560円でした。

最初の3ヶ月で発電の感覚をつかんだあと、7月からは太陽光パネルをもう1枚増やし、消耗の少ないディープサイクルバッテリーも購入(計36000円)。

日の当たり具合に対してパネルをちょうどいい角度で固定するための部材代や工賃も合わせ、総計10万円ちょっとで、河野さんの生活にジャストサイズの「おうち発電所」が完成したそうです。

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真南向きのベランダは、小さいながらもパネルを置いても充分洗濯物が干せる広さ。左に見える青いものは、干し野菜などを作るのに便利な3段網

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部屋の一角に置かれた、パネル以外の発電器材一式

発電開始から約5ヶ月経った今も、各器材は順調に稼動中。部屋の模様替えなどの際に行った、いったん全ての配線をはずし新たにつなぎ合わせる作業も、一人で問題なくできたそうです。

「ニーズ」にちょうどいいツール

河野さんのお宅には、自家発電を機に始まった、新発想のエコアイデアがいっぱい!テレビやエアコンはもちろん、冷蔵庫も洗濯機も掃除機もない生活ですが、それらに代わるスグレモノを賢く取り入れながらくらしている様子が、そこここに見て取れました。

例えば、この「パワフル脱水機」もその一つ。

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これはふつう、全自動洗濯機の弱い脱水力では満足のいかない人々が使うものらしいのですが、インターネットで見つけて、よさそう!と思って購入しました。

おふろで手洗いした洗濯物を放り込むとしっかり絞ってくれるので、とっても便利。たまにしか出ない大きな洗濯物は、ムリせず近くのコンランドリーを利用しています。

なるほど、これなら洗濯機を置くより場所も電力もスッキリ、ですね。「洗濯」という作業を冷静に分析してみると、汚れは「浸け置き洗い」などの工夫で比較的ラクに取れるので、より大きな手間と労力がかかるのは、洗う作業より絞る作業なのかもしれません。

鍋がすっぽり納まる、保温調理器
鍋がすっぽり納まる、保温調理器

次なるスグレモノは、この保温調理器。一度火にかけた熱い鍋をこの中に入れると、ガスも電気も使わず余熱だけでしっかり保温し、煮物などの味をじっくりしみ込ませてくれる二重構造のステンレス容器ですが、なんと河野さんはこれを夏の間、「保冷器」として活用しているとのこと。

この中に水を張り、金属の鍋に入れたお豆腐などをしまっておくと、保冷できるんです。中に収まるサイズのものにしか使えませんが、ひとり暮らしの私には、けっこう役立ってくれています。夏は保冷、冬は保温と、二通りに使えて便利ですよ。

モノは使いよう、とはこのこと!見事な逆転の発想ですね。他にはどんなふうに、食品を保存しているのでしょう?

切った野菜を干し網に並べてベンランダで天日干ししたり、空きビンを利用して、漬物や酵母づくりなどの“発酵生活”を楽しむようになりました。

今は天然酵母づくりにハマッていて、家に帰ってパンを焼くのが楽しみ。職場でも「元気にシュワシュワしてるかな~」と、思わず酵母に想いを馳せたりしています(笑)。

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空きびんで仕込み中の、「レーズン酵母」と「柑橘類の皮の酵母」

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自家製天然酵母パンは、実家のお古のこの無水鍋を使って、ガス台で焼いているそう

冷蔵庫なしの、おいしいくらし。

冷蔵庫なしの生活になり、夏の最初こそ食品を腐らせてしまうことがあったものの、慣れた今ではほとんど不便を感じないという河野さん。冷蔵庫のない生活の楽しさを、こんなふうに語ってくれました。

例えば、以前は「夏と言えば冷たいビール!」と思ってグビグビ飲んでいましたが、冷蔵庫がなくなって冷たいビールを飲まなくなったら体が冷えなくなって体調もいいし、ビールの味に敏感になり、常温のおいしさに目覚めました(笑)。

それから、酵母作りの本には「雑菌が入るから最初の3~4日は冷蔵庫に入れるように」と書いてあるけれど、実際はビンをきれいに煮沸しておけば常温でも問題なく発酵するんですね。

猛暑日は、ふつう3~4日かかるはずの発酵が1日で済んじゃったりして、トクした気分になりました。自分でやってみるとマニュアル通りじゃない発見がいろいろあって、おもしろいですよ。

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キッチンまわりには調味料などのビンがいっぱい。さすが「自炊女子」!

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部屋のいちばん北側に設けられた、河野家の保存食品コーナー

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漬物は冷蔵庫がなくても腐らない、生きた酵素たっぷりの常備菜

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葉もの野菜は新聞紙でくるんでおくと長持ち。特に農薬などを使わない土地で育った生命力あふれる野菜は、常温でも腐りにくいのです

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かぶせてある布をめくると…

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きれいに洗った、食品保存用の空きビンがいっぱい!

“寝に帰るだけの家”が、“帰るのが楽しみな家”に

自家発電を始めたら、電力会社から電気を買う一方だったくらしから、「自分のことを自分でやってる!」と実感できるくらしになって心地いいし、原発の電気を使う罪悪感やストレスも減り、おひさまのありがたさをしみじみ感じるようになりました。

晴れの日はどこにいても、「あ、今発電してるな~」と、うれしくなります。前は気にも留めなかった日照時間や太陽の角度にまで意識が行くようになり、天気や季節の変化にも敏感になりました。

最近は発酵食品づくりとともに、生ゴミを堆肥化するダンボールコンポストも始め、発酵のおもしろさをますます感じているという河野さん。

やり方は、木くず、米ぬか、水を混ぜてダンボール箱に入れ、そこに生ゴミを投入してかき混ぜるだけ。生ゴミの発酵力で熱くなるので虫や雑菌もわかず、イヤな匂いもしないそうです。菌の働きというのは、本当に神秘的でありがたいものなのですね。

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手づくり派の河野さんは、お裁縫も得意。カーテン、ラグマット、クッションカバー、電気の傘…とステキなハンドメイド作品がくらしを彩り、部屋の一角には、太陽電力で動くミシンを置いたソーイングコーナーも。

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「モノの成り立ちを知るのが好き」という河野さんが次にやってみたいのは、「自分で育てた小麦で粉を作ること」だそう。電力自給にとどまらない“育子エネルギー”は、今後もどんどん進化を遂げてゆきそうです。

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自家発電を始めてから使い始めた“手のひらサイズ”の「手芸用アイロン」は、小さいながらも頼れる相棒

おしごと交換で、夢の自家発電をスタート!

次にご紹介する発電女子は、札幌市南区在住のイラストレーター、やまふじままこさん。

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照明はすべて、自家発電の太陽電気

やまふじさんが発電を始めたきっかけは、なんと以前参加した早川さんの自家発電セミナー内で行われた「ビンゴ」で、最高賞品のチャージコントローラが当たったこと。自家発電を広めたい早川さんの気持ちが伝わってくる、アトラクションと賞品ですね。

「照明を太陽光でまかないたい」というやまふじさんの願いを叶えるべく南向きのベランダに設置したのは、100W分発電できる太陽光パネル1枚。室内には、当たった12Aのチャージコントローラ、容量115Ahのディープサイクルバッテリー、オンオフの切り替えタップが4つ付いた延長コード1本をつないだ500Wまでの家電に対応できるインバータ、各1つずつが設置されました。

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上のチャージコントローラが、ビンゴで当たったもの。赤い機材は、インバータ

けれど、やまふじさんは早川さんから、計約5~6万円相当のこれらの機材費用と設置料を現金で支払う代わりに、「名刺などのぼくの広報ツールに、イラストを描いてほしい」とリクエストされたのだそうです。

自家発電してみたくても資金を用意するのが難しく、チャージコントローラが当たってもなかなか実践に踏み切れなかったのですが、こんな申し出をもちかけてもらえたおかげで、思い切って始めることができました。

ありがたくて、うれしくて、早川さんのためなら何でもよろこんで描きますよ~!という気持ちです。

…と、やまふじさんは大感激。現金の代わりに互いの仕事を交換することで「欲しいもの」を満たし合うなんて、最先端のフェアトレードですね!

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太陽照明の点灯をよろこぶ、やまふじさんと早川さん

太陽光発電を始めたら、心も明るくなりました

今年の8月頭にオープンした、やまふじさんの「おうち発電所」でまかなっているのは、室内を網羅する計4つのLED照明、充電式の掃除機、電池の充電、の3つ。

LEDは最高でも9Wの消費電力しかないものを使っていますが、最近は2つくらいしか同時につけないようにしているとのこと。それだけでも充分、不自由なく過ごせるそうです。

実はやまふじさんは発電を始めて間もないころ、うれしくて部屋中の電気をつけたり、いろんなものにつないでみたりしたためバッテリーがキャパオーバーし、電気が使えなくなるというピンチを体験しました。

メールで早川さんに指示を仰ぎ、「しばらく太陽光は使わずしっかり充電し、一度電源を切って立ち上げる」という作業で解決。以来、電気を使い過ぎないよう心がけるようになりました。

自家発電した電気は限られたものにしか使っていないにもかかわらず、4000円近かった電気代は、ストンと30%オフに。先日は15アンペアだった電力会社との契約を10アンペアに下げたので、「来月の金額が楽しみ」だそうです。

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4つのタップ付き延長コードのところにある板には、何ともかわいいイラストが

太陽光発電を始めたら、太陽と直結した感じ。自然のリズムに寄り添ったくらしの気持ちよさに、ビックリしています。晴れの日と雨の日は過ごし方が違い、雨が続いて発電量が少ない日は、早く電気を消して休むようになりました。

晴れた日は出かけていても、「我家のベンランダではせっせと発電してくれてるんだなぁ!」ととうれしくなるし、家にいるときも、太陽が昇っている限りチャージランプがついていることに感動します。

どんなに曇っていても、雨が降っていても、毎日かならず日は昇り、日が沈むまでは確実に太陽光がチャージされる。それってすごいことだなぁ…!って。

太陽電力になってから、部屋の中の今まで光が届かなかったところまでも照らしてくれている感じがしてなりません。太陽光はくらしの栄養素でもあるし、こころの栄養素でもある。太陽光発電を始めてから、こころも性格も明るくなった気がします(笑)。

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イラストが描かれた板の上部には、神社のお札と、やまふじさんお手製のフェルトで作った女神さまが

「太陽光発電を始めてから、灯りをつけると小さな太陽が家の中に入ってきたみたいに感じるの」と笑う、やまふじさん。3WのまぁるいLED照明が、室内をやさしく照らしていました。

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心身に陽が灯る、ままこ式エコアイデア

やまふじさんのお宅でも、“逆転の発想”によるスグレ技を教わりました。それは、保冷剤を保温剤として使う方法。

熱めのお湯に入れて温めた保冷剤を、着古したセーターの袖部分や靴下のかかと部分を切ってつなげた筒状の布の中に入れて首や肩に巻きつけると、何度も使えて取り外しも便利なカイロになるそうです。

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所々に穴を空けた筒布に、温めた保冷剤を内臓。保冷剤も古着も活かせる一石二鳥ワザ!

そして、“おひさま照明”の横にも、こころがあったか~くなるステキなアイデアを発見。

最初は何だかわからぬまま近づいて、書いてある手書き文字を何気なく読んでみると…「ありがとうございます。ご恩わすれません」という言葉とともに、やまふじさんから出逢った人々への、感謝の言葉が寄せ書きされていたのです。

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誰に見せるわけでもなく、大切な人々の名とともに一言ずつ書かれた感謝の言葉…。出逢った一人一人を思い出しながらこんなメッセージを綴ったら、自然と心の隅々にまで、温かな光があふれてきそうです。

太陽ライトを受けて輝く言葉たちを見つめながら、やまふじさんの心を照らす日の光が、私の胸にも差し込んでくるような気がしました。

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太陽をかかえているような、ふじやまさんのお手製フェルト人形

「太陽の恵みを受け取って、自分で電気をつくってみる」。そんな一つのアクションから、水紋のように豊かな連鎖が広がっている、発電女子たちのくらし。

お金で買って一方的に「消費」するだけだった電気が「限りある大切なもの」になったことで、「使いすぎない工夫」が次々と生まれ、今まで気づかずにいた宇宙のリズムや身近な菌の営みを感じ取り、それらを楽しみ慈しみ始めた彼女たちの姿に、「自然エネルギー」の本質を教わった気がします。

今回ご紹介したのはほんの2例でしたが、今、日本各地で、発電を通しておひさまとつながる人々が増えています。くらしと心に陽の光が灯るよろこびを、あなたもぜひ、体感してみませんか?