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こんな死に方はイヤだ!人身事故を減らした、メトロのポップなキャンペーンソング「Dumb Ways to Die」[Cannes Lions2013]

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連載でお届けしているカンヌ2013のソーシャルグッドな受賞作、今日は日本でもネットで話題になった、“Dumb Ways to Die(マヌケな死に方)”キャンペーンをご紹介します。

「人身事故により運転を見合わせております」。電車の中でそんなアナウンスを聞くたび、暗い気持ちになりますよね。この「Dumb Ways to Die」は、そんな電車での人身事故をなくすためにメルボルンのメトロが実施したキャンペーンです。

まずはこちらの動画をご覧ください。

ジェリービーンズのようなかわいいキャラクターたちが、ポップなメロディに合わせて、いろいろなイヤ~な死に方をしていきます。歌詞もかわいいトーンですが、言っていることはとてもグロい…。

自分の髪に火をつける
グリズリーを棒でつっつく
賞味期限切れの薬を飲む
自分のアソコでピラニアをおびき寄せる…
マヌケな死に方、めちゃ多いマヌケな死に方

フォークでトーストを取り出す
電化製品をいじくる
独学で飛行機を操縦する
2週間常温でほったらかしたパイを食べる
マヌケな死に方、めちゃ多いマヌケな死に方

殺人鬼を家に招く
薬の密売人の新車に傷をつける
宇宙空間でヘルメットを外す
かくれんぼのとき乾燥機に隠れる
マヌケな死に方、めちゃ多いマヌケな死に方

ガラガラ蛇をペットにする
ネットで腎臓を両方とも売る
瞬間接着剤を食べる
この赤いボタン、何だろう…と
マヌケな死に方、めちゃ多いマヌケな死に方

狩猟シーズンにヘラジカの着ぐるみを着る
スズメバチの巣にいたずらする
電車のホームの端っこに立つ
遮断機をよけて踏切を渡ろうとする
逆側のホームに行こうと線路を横切る

韻は踏めてないかも知れないけど、たぶん…
死に方のおバカさでは一等賞だ
電車のまわりではお気をつけて。メトロより

このシニカルでキャッチ―なテーマソングは、お説教が届かない若者にブレイク。特設ページでさまざまなソーシャルメディアでシェアできるようになっていたこのキャンペーンソングはあっという間に拡散。このキャンペーンが始まって3カ月後、事故は21%も減ったそうです。

ダサいことが死ぬよりもイヤだと思っている若者たちにとって、このキャンペーンソングに出てくるような死に方はあり得ないでしょう。マナー広告というと、耳や目をそむけたくなるようなお説教くさいものが多いですよね。このキャンペーンはその逆を行き、人に伝えたくなるようなコンテンツに変えたのです。

事故死をエンターテインメントすることでクレームも来たかもしれません。それでも事故を減らすという目的のためにキャンペーンを続け、確実に事故を減らすことに成功したメトロ。不幸を減らすために、常識やモラルと戦う姿勢は学ぶべきものがあるのではないでしょうか。

カンヌライオンズ受賞作の連載はまだまだ続きます!引き続きお楽しみに。

(翻訳協力:モリジュンヤ