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150日間で500人のチェンジメーカーと友達に!
ロンドンに誕生した日本人「ホームレス社長」

”ホームレス社長(Homeless CEO)”こと藤本太一(タイチ)さん ”ホームレス社長(Homeless CEO)”こと、藤本太一さん

ロンドンを拠点にコラボレーション事業を行う「Happiness Architecht(ハピネス・アーキテクト)」代表取締役の藤本太一(以下タイチ)さん。グリーンズでも「MYPRO LONDON」で現地からのフレッシュな記事を届けてくれていますが、なんでも、先月から”ホームレス”になったそうです。

というのも、家を持たずに「150日間で500人のチェンジメーカーと友達になる」という企画「ホームレス社長(Homeless CEO)」を実現させるためだとか。このユニークな企画について、ロンドンでお話を伺ってきました。重そうな荷物は一度、降ろしていただきまして…。

コラボレーションを生む「ハピネス・アーキテクト」

タイチさんがCEOを務めるコラボレーションデザインエージェンシー「Happiness Architect」 タイチさんがCEOを務めるコラボレーションデザインエージェンシー「Happiness Architect」

「Happiness Architecht」は、コラボレーションを通じてハピネスとイノベーションをつくることを目指し、ロンドンを拠点にイベントやワークショップ、チームビルディングを通じて、さまざまなプロジェクトのプロデュースを行っている会社です。

タイチさんは学生時代に、友達と音楽イベントやアートイベントを企画・運営し、リアルな場で人と人がつながり、コラボレーションをすることで、イノベーションが生まれることに”ハピネス(幸せ)”を感じてきました。

語学留学を機にロンドンに来て、今年で5年目。コラボレーションを仕掛けてイノベーションを起こし、世界を”ハピネス”で埋め尽くしたい。そんな想いを2年前に事業化したのが「Happiness Architect」です。

これまで、イギリス生まれの社会起業家のためのコミュニティ「i-genius」や「MakeSense 」の日本版のスタートアップや、今年は「Logbar 」や「まかないプロジェクト」といった日本生まれのプロジェクトのロンドン版のスタートアップなど、ロンドンを舞台にたくさんの”ハピネス”を生み出しています。

「ホームレス」になるという”逆転の発想”

このように日本とロンドン、そして世界をつなぐキーパーソンとして活躍中のタイチさんが、なぜ”ホームレス”になったのでしょうか。

ロンドン中心部のカフェにて。重い荷物を運ぶ日々で、筋肉がついてきたとか? ロンドン中心部のカフェにて。重い荷物を運ぶ日々で、筋肉がついてきたとか?

正直なことを言うと、ビザの更新と事業を続けるためにお金が必要で、家賃を払うのが難しくなったからです。クラウドファンディングも考えたのですが、応援してくれる友達がもっと増えなければ難しいことに気が付きました。

お金がない。ホームレスになりそう。ネットワークも足りない。それならば”ホームレス社長”になってしまおう、という、逆転の発想だったんです。

もともと社会起業家などのチェンジメーカーの友達が多いタイチさん。友人宅を泊まり歩き、一緒の時間を過ごしながら、新たなチェンジメーカーに出会う。そうすれば、家とネットワークの両方の問題が解決するのでは?という、発想の転換だったのです。

イギリスでの滞在許可(ビザ)が失効する前の「150日間に新たな友達を500人つくる」という目標数値も設定し、プロジェクトのゴールを明確化しました。

ロンドンから日本を笑顔に

「Happiness Architect」Facebookには、出会った人や泊まった家の情報が日々更新されています。Facebookページでは、出会った人や泊まった家の情報が日々更新されています。

ロンドンでの”ホームレス生活”の様子は、ブログやTwitterFacebookなどで日々発信されています。日本から、グリーンズ読者はどんな風に楽しめるのでしょうか。

ああ、バカなことやってんなぁ…くらいの気持ちで、楽しんで見てもらえればと思います(笑)。僕自身も楽しんでやっています。

お金がないとか、仕事が忙しいとか、子どもがいるとか、いわゆる言い訳みたいなことっていっぱいあるけど、それって本当に言い訳で、確かに”プロブレム”なんですけど、反対から見たら”チャンス”でもあるんですよね。

タイチさんが日本を発ちロンドンを目指したのは、日本人の”働きかた”に疑問を感じたから。当時、企業でアルバイトをしていたタイチさんは、声を上げても”アルバイトだから”と意見が通らず、働き始めた周りの友達は仕事のグチばかり…。

この企画について、「楽しんでほしい」「笑ってほしい」と繰り返したタイチさん。日本をもっと楽しく、元気に、自由にしたいという想いが込められているのでしょう。

あなたがロンドンでやってほしいことは?

みなさんからのリクエストも、随時受け付けているそうです。

ロンドンでやってほしいことがあったら、Twitterでリプライください。ホームレスなので完全に自由だから、なんでもできるから。「テムズ川に飛び込め!」とか言われない限り、基本的にやります(笑)。結婚式のビデオあいさつも承ります!

どこまでが引き受けてもらえるボーダーラインなのか分からないのですが、どなたかまずは試してみてください。もちろん、企業や出版社とのコラボも大歓迎とのこと。

この企画に関わる人が、笑って元気になってもらえたら本望です。それを通じて、「Happiness Architect」というコミュニティの一部になりたいと思ってもらってもらえたら嬉しいです。

それがいずれクラウドファンディングにつながったら、自分にとってもハッピーだと思っています。日本帰国の際には、報告会もしたいです。

重なるチェンジメーカー500人の物語

タイチさんがロンドンで出会う多国籍のチェンジメーカーたちタイチさんがロンドンで出会う多国籍のチェンジメーカーたち

タイチさんは、この”ホームレス生活”で出会う500人にインタビューを行い、ブログで随時公開しています。現時点で20人目。社会起業家、これから世界一周旅行に出かける人といった、世界中からロンドンに集まった”チェンジ”をつくり出す人たちが、タイチさんに語った素直な言葉が記録されています。

国籍も肌の色も多様ですが、読み進めるごとに、何か共通点があるようにも思えてきます。

ロンドンの公園に寝転ぶタイチさん。すっかり馴染んでいます。ロンドンの公園に寝転ぶタイチさん。すっかり馴染んでいます。

何が起こるかわからないこの時代。社長もホームレスになるし、ホームレスも社長になることだってあるんです。公園に寝転びながら、タイチさんはカメラ(みなさん)に向かって、こんなひと言…。

Give me a “change”, please!

※英語でchange(チェンジ)=変化、小銭

これからどんなチェンジメーカーとの出会いを重ね、”ホームレス生活”はどんな方向へと展開していくのでしょうか。日本にいるみなさんも、タイチさんを通して世界をより身近に、そしてわたしたち自身をもっと”身軽”に感じられるかもしれません。みなさんからのひと言が、思わぬ展開を呼ぶかも?