こちらが今回の記事の舞台である「やっちまえアトリエ」
千葉県松戸市の一角で、シェア物件などを提供する不動産事業と、エリアプロモーションを通じてクリエイティブなまちづくりを行う「MAD Cityプロジェクト」。不動産事業では、数多くのユニークな物件を扱っており、多くのクリエイターやアーティストらが入居しています。
今回は、そんな入居者の一組、ものづくりチーム「ta-re」の活動拠点である「やっちまえアトリエ」にお邪魔し、その活動などについて伺ってきました。実は、この物件、MAD Cityホームページに掲載された当時はその”廃墟感”がかなり話題になった物件。期待半分、不安半分でアトリエを訪ねました。
地元を大事にしながら、都市へ発信したい
「ta-re」は竹内寿一(としかず)さん(以下とっくん @tokkun_com)を中心に立ち上げられた、「モノヅクリ」や「コトヅクリ」を行っているクリエイティブチーム。美大出身のメンバー4人で活動を行っています。
ta-reメンバー(左から本谷真理さん、とっくん、笠井嶺さん)
とっくんこと、竹内寿一さん
とっくんは上京後、NPO法人Kissが運営するコミュニティスペース「KISSCAFE」に参加し、デザインを通じたまちづくりやコミュニティづくりについて学びました。吉祥寺(※現在は西荻窪に移転)のKISSCAFEには地元のおじいちゃんがお茶を飲みに来たり、地元の人に向けてワークショップが開催されていました。そんな活動から「まちとデザイン」というテーマを意識するようになったといいます。
その後、大所帯バンド「渋さ知らズオーケストラ」に美術家として参加。ライブの出し物の企画を考えたり、ワークショップ形式で舞台セットや出演者の衣装を制作しています。
他にも、現在は福島県いわき市や三鷹市などでもアートのワークショップを開催。ワークショップでは「表現をしたい」という欲求を満たしてくれるので大人も楽しむことができ、最後には完成した作品で発表会をするそうです。
「渋さ知らズ」に加入した2010年には東京ミッドタウン・デザインハブ第23回企画展「PACIFIC PEDAL LIFE DESIGN」にスチール、映像担当として参加 。また、ユニクロのTシャツデザインコンペ「UT CANNES LIONS GRAND PRIX 2010」で入賞し、デザインしたTシャツが世界中で販売され、広く名前が知られるようになり、活動の幅を広げていきました。
「UT CANNES LIONS GRAND PRIX 2010」で入賞したTシャツデザイン
東京ミッドタウン・デザインハブ第23回企画展「PACIFIC PEDAL LIFE DESIGN」で展示された写真:2010年
その後、2011年にものづくりユニット「ta-re」を立ち上げました。今年は東京デザイナーズウィーク2013にユカイ工学株式会社と共に出展し、「ロボットのある生活」をテーマとした作品を展示するそうです。こちらもおもしろそう!
これまでは都内を拠点に活動していましたが、前述のKISSCAFEでの経験もあり、とっくんは「地元を拠点にし、そこから都内へ作品や情報を発信していきたい」と思うようになっていきました。
現代では、東京への一極集中から地方へ移住する人も増えています。もっと、自分の住んでいるところを大事にしながら生活をしてもいいんじゃないか。純粋に自分たちがつくるもので勝負して、地方都市から都市へ殴りこみしたいと思ったんです。もっとそういう人が増えて欲しいですね。
自分たちが使うところも自分たちで作る
そんな思いを抱いている中、「やっちまえアトリエ」に出会い、今年2月末に隣り合う2部屋に入居しました。現在は2部屋の壁を取っ払い、大きなワンルームとして活用しています。
ものづくりチームとして、自分たちが使うところも自分たちでつくりたい、と思ったんです。与えられたことをこなしていくだけでは視野は広がりません。自分たちで作ることでスキルや考え方を他の仕事にも生かせます。
入居当時は部屋はこのような状態でした。
痛んでいた畳や床材をはがして、新しい床をはったり、壁の修復などを行っていきました。
「構造が分かれば、椅子や机など作れるようになりました」(笠井さん)
メンバーの笠井さんは、アトリエの改装をする中で、DIYのスキルが格段にあがったそう。アトリエで使っている木の椅子や机は笠井さんのお手製です。「欲しい物がなければ作る」というのは頼もしいですね!
アトリエスペースも広くなったので、より大きな作品も作りやすくなりました。最近では、代官山蔦谷書店の「丸若屋×モリワキ展」の什器を製作。アトリエの改装で得たスキルがさっそく仕事にも生かされたようです。
代官山蔦谷書店 本だけではなく文具や雑貨など様々な商品が並ぶ
代官山蔦谷書店 丸若屋×モリワキ展の什器
「ta-re」ではこのアトリエからこれからも様々なプロジェクト発信していきます。そのひとつが渋さ知らズの神奈川芸術劇場公演(10/5,6)での舞台のフタのアイディアを募集するという、史上初の美術コンペ。こちらも注目です!
アナタのアイデアで、祝祭的超巨大パフォーマンスバンド・渋さ知らズの舞台を彩ってみませんか?渋さ、初KAAT上陸を記念し,巨大な美術のデザイン(舞台のフタのアイデア)を大募集!
◎ 応募方法
1.2の2点を下記まで、郵送または、ご持参ください。
1.応募用紙 →ダウンロードはこちら!
氏名・住所・年齢・電話番号・メールアドレス・学校または所属(あれば)・簡単な説明文を記載したA4の紙1枚
2.アイデア用紙 A3サイズ以内の紙、1枚
・募集内容にっているなら、どんなアイデアでも構いません。
・スケッチ、写真貼付、CAD図面、どんな形態でもOKです。どんなご提案か伝わるものをお送りください。
※1アイデアにつき、1枚。複数アイデアの場合は、アイデアの数の枚数をお送りください。
※メディア(CD-R等)での応募は不可とします。プリントしてお送りください。
◎ 応募締切 8月16日(金)必着
◎ 応募先・問合先
〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町281 KAAY神奈川芸術劇場 渋さコンペ係
045-633-6500
応募用紙ダウンロード、その他詳細はこちら
http://www.kaat.jp/detail?id=7735#.UckFB_n0FNg
■ta-re
http://ta-re.jp/
MAD Cityには、このようなユニークな活動をしている人たちがたくさんいます。彼らの活動はMAD Cityで開催されているイベントやツアーなどでも垣間見ることができるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
(Text:猪鹿倉 陽子)