green drinksは世界中で広がるサステナビリティをテーマとした飲み会です。green drinks下北沢では、下北沢好きで、若くてクリエイティブな人たちが集まり活動をシェアする場をテーマとしています。
3月22日を最後に、小田急線下北沢駅は地下へ潜って行きました。ニュースや新聞で取り上げられ、同時期に地下化した東急東横線渋谷駅と共に大きく街が変わりました。地下化当日にはたくさんの人が最終電車を見送りに下北沢へ集まりました。
地下化当日の最終電車をお祝いする下北沢ファンたち
前回のgreen drinks下北沢「下北沢が好きな人が、クリエイティブな活動をシェアする場」が行われたころ、小田急電鉄から地下化実現の日程が発表され、参加者の中から地下化する下北沢をお祝いしたい!なにか大きなイベントをしたい!という意見が集まり、イベントが多数開催されました。そのイベントの数々を支えてくれたのは、下北沢を愛する人々と、その情報を発信してくれた地域メディアの存在です。
今回は、住民の暮らしに関わるニュースから、全国の下北沢好きにまで広く情報を発信し、街を盛り上げている4つの地域メディアが集結しました。
つぶやきから企画始動!
まずお一人目はユーザー参加型のみんなで作るウェブサイト「下北沢ブロイラー」の佐藤蕗子さん。
下北沢ブロイラーとは、運営する有限会社第四企画の社長が下北沢の街が好きすぎて下北沢バージョンのmixiを作りたいという言葉から、下北沢の痒いところまで手が届くような情報を発信しています。下北沢ブロイラーの最大の魅力は一週間で行われるライブ、演劇、藝術、映画、お笑い、その他イベントなどが、一覧で分かること。出演者や料金まで、詳しく掲載されています。
もともとはこの街に魅力を感じていなかったという佐藤さん。下北沢ブロイラーの仕事を始めてから、大好きになったその想いを伝えてくれました。
ユーザー目線でコミュニケーションを計りながらサイトを作り、下北沢で撮った写真をユーザーが投稿できる仕組みを目指しています。現在行っているのは「下北沢イケメンマップ」。私がツイッターで「イケメンマップを作りたい」とつぶやいたところ、アプリ会社から後日連絡があり制作が始まりました。イケメン店員さんは、SNSを使ってユーザーからの情報です。
アプリをダウンロードし、毎週金曜日に更新されるハートのスタンプで隠されたイケメン写真をタッチすると、見られる仕組みになっています。下北沢で御店選びをする際に、参考になればうれしいです。
下北沢ブロイラーの軸となるのは、下北沢の今の「写真」、下北沢の今の「イベント情報」、下北沢の今の「ブログ」。目指すのは、これらを一方的に発言するのではない、コミュニケーションをとれるウェブサイトです。仕事をして、下北沢のことを知るたびにこの街を好きになってきました。そんな人たちを増やしていきたいです。
今後注目していきたいのは、参加型ボランティア。驚くべき内容は「下北沢で遊んでください」というもの。なんと遊んだお会計はすべて下北沢ブロイラーが支払ってくれるそう。そのかわり参加者が下北沢で遊んだ“今”を下北沢ブロイラーのブログに掲載するという、なんとも斬新で新しいボランティアです。
休日にお店探しや娯楽に迷ったときは、下北沢ブロイラーのブログから“今”の情報を探して遊びに出かけてみてはいかがでしょうか。
この街を愛すきっかけに
二人目は「I Love下北沢」の阿部達哉さん。
I Love下北沢とは、下北沢を愛している!盛り上げたい!という人たちをつなぎ、盛り上げる、地域密着型ウェブサイトです。ウェブでの活動だけでなくイベントをとおして、下北沢に来てもらった人にお店を好きになってもらうことを目的にしています。
イベントを通して普段行きづらかった店が入りやすくなり、お店を好きになることが狙いとする「バーホップナイト」では、17店舗のバーで最初の1杯が400円で飲めちゃうイベントを開催。お花屋さんなのに夜になるとお酒が飲める店や、ラーメン屋さんまでが参加し大好評。今回の地下化イベントとして、終電を見送り始発で帰ろうという「さよなら踏切、下北沢で逢いましょう!~朝まで飲んでシモチカ1番乗り~」を開催しました。次回のバーホップナイトは夏に開催予定です。
そんな下北沢の街を知り尽くしたこの男、阿部達哉さんにお話しを伺います。
下北沢には、カレーの専門店だけでなく、カフェなどにも自慢のカレーがメニューにあるお店がたくさんあります。昨年10月に第一回カレーフェスティバルを開き、一週間で参加店舗が43店。来場者数は2万人を動員した、下北沢最大級のフードイベントです。
カレーを一杯食べるとスタンプがもらえて、2つ集めるとステッカー、5個でTシャツ、7個でカレーまんになれます。カレーまんというのは、カレーフェスティバルのマスコットキャラクターで、下北沢の有名人です。(※他の街では無名です)
今年は“10”にこだわり、10月に10日間、参加店舗100店、来場者数は10万人動員を目指します。イベントを一緒に盛り上げたいという人も募集しています。
I Love 下北沢では、今後カレーフェスティバルで10万人集めるためのアイデアを集めるための、カレーサミットを毎月開催。店舗関係者、下北沢ファン、カレー大好きな方々とイベントを作っていきます。カレーまんもサミットに参加するので気になる方はウェブサイトをチェック!
認知度不足で良き店が姿を消す前に
続いて3人目は「ぶらり下北沢」の鍛治川直広さん。
下北沢の街を歩いていると、至る所にマップが設置されています。初めて下北沢に来た人でもわかりやすく、どの年代の方にも楽しんでいただけます。このMAPを制作しているのが、ぶらり下北沢の鍛治川直広さん。「下北沢が盛り上がるためならなんでもやります」とアツい想いを語ってくださいました。
ぶらり下北沢駅周辺MAP 2013年春版
下北沢は交通の利便性が非常に高く、住みたい街ランキングでも常に上位に位置しています。カフェや雑貨、古着など人気のある店舗は多数あるのにも関わらず、賃借料が高く採算がとれない店は入れ替わりが激しいのが事実です。
本当に良いお店が潰れていくのをみて、これまでIT、金融、コンサル、税務・会計の経営サポートなどの業界で働いてきた経験を活かし、企業を守るのと街を守るのは一緒だと思いエリア活性化事業を設立しました。
街を守り、活性化をさせるには情報を知っていかないと意味がありません。知るための手段は?と考えるとネットしない人もいますよね。そこで誰にでもわかりやすく情報をみられるマップを作りました。情報を発信することで、認知から来店を促しているのです。
さらに鍛治川さんはこの春、気仙沼、陸前高田、大船渡の3市の情報を集める「ぶらり気仙」をオープン。現地のメディアでも期待が高まっています。
昨年10月に「下北沢×大船渡 秋のサンマフェア2012」、今年の2月には「しもきた天狗陸前高田フェアwith下北沢大学」を行いました。陸前高田フェアで行った わかめしゃぶしゃぶ は、各メディアから注目を集めました。三陸は海の幸が豊富なので生産地としての地方と、消費地としての都市を繋ぐ、互いの強みを活かした役割でコラボを通じた活性化を目指しています。
今後のぶらり下北沢と連携した活性化が楽しみです。
下北沢の面白さを全国の人へ届けたい
最後は「下北沢経済新聞」の小川たまかさん。
下北沢経済新聞は、2006年8月にスタートした下北沢近郊のビジネス&カルチャー「みんなの経済新聞」ネットワークです。下北沢の他にも全国79箇所に編集部を持ち、YAHOOニュースに配信されています。モモクロが大好きで、いつかモモクロが下北沢に来てほしいらしい下北沢経済新聞編集長の小川たまかさんにお話を伺います。
私たちのターゲットは近隣に住む人、下北沢が好きでニュースを探している人、面白いニュースを知りたい人です。普段はYAHOOニュースに配信していますが、私たちが目指す配信先は、YAHOOのトップページ。今回の地下化でトップページに掲載されたときは本当に嬉しかったです。前回掲載されたのは、2010年12月の「世田谷ボロ市」での記事でした。それから約3年ぶりに掲載され、それだけ地下化が世間に注目されていることがわかります。
私たちの目標はYAHOOトップページ掲載することですが、今回で満足していません。まだまだ足りません。面白い話題を、下北沢の人と、全国の人に知ってほしいと思っています。
下北沢を代表する地域メディアの4つが並ぶセッション
今回会場となったのは、北口からおよそ3分のところにある「Café KICK」。2012年8月にオープンした、スタッフ全員で手作りしたオシャレなカフェ。コンセプトはアート&ミュージックで、注目アーティストの作品展示や、ライブスペースがあり厳選ミュージシャンのライブが定期的に開催されています。
お腹が満たされたところで、次はパネルディスカッションです。下北沢の今とこれから、そして今の下北沢のHOTな話題をテーマに話が弾みました。下北沢という街の特徴と、これからの姿を参加者とともに考えます。
阿部さん HOTな話題と言えば、駅の地下化。それから2月に発売されたミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに下北沢が載ったことでしょうか。外国人向けのガイドブックに街が載ったことで、東日本大震災から低迷していた外国人観光客の足取りが増えてきました。駅が地下化したことによって、街を歩く人の流れも変わってきています。
小川さん ミシュランに載ったというニュースを聞いてヨーロッパ、フランスにうけると思いました。海外の友達が下北沢の街を紹介した雑誌が出版されていると教えてくれたこともあります。日本人が気がつかない下北沢の良さがあるのでしょう。ミニチュアでかわいい街という印象が強いようですね。
鍛治川さん 外国人がおもちゃ箱をひっくり返したような街だと言っているのを聞いたことがあります。海外向けの記事も作っていければいいですね。
外国人をターゲットにした店も増える中で、お客さんをどのように街へ呼び込むか、下北沢という街のイメージは。これからの下北沢の課題はどのような点なのでしょうか。
鍛治川さん 南口は特にチェーン化が進んでしまいました。若い人も他の都市に行ってしまい、夜の人も減ってきています。ぶらり下北沢としては、初めて来ても面白い情報を発信していきます。
小川さん 若い人が集まるという点で、下北沢は音楽、古着、演劇の街という壁がありませんか?下北沢を知らないから楽しめないという部分があると思います。
佐藤さん 私は下北沢ブロイラーの担当を始めて4ヶ月経ちます。私はもともと下北沢という街に魅力を感じてはいませんでした。音楽、古着、演劇、などの古いイメージが強くて、どちらかといえば横浜などの綺麗めな街のほうが良かったです。ですがこうやって仕事をしていくうちに、下北沢の街と人が好きになりました。
鍛治川さん 以前にぶらり下北沢で、「下北沢のイメージは?」という街頭アンケートを行いました。その結果、音楽や演劇というイメージを持つ人は1割弱で、訪れている人はそこまで固定されている訳ではないんですよね。外からのイメージが強くなってしまうのでしょうか。ですから、下北沢のイメージを超えられるようなイベントを開催していきたいです。
佐藤さん 下北沢のイベントは、なんでもありといいますか、やりたい!という気持ちに否定する人がいませんよね。今回の地下化イベントもこんなに規模が大きなイベントになるなんて思わなくて、下北沢ならなんでもできるんだと感じました。肉団子フェスでも、でんぐり返しコンテストでも、なんとかコンテストをブロイラーで企画したいと思います。
セッション終了後は、それぞれの想いをシェアして盛り上がりました。
下北沢のイメージは、音楽・演劇・古着の街というハードルを感じる人が多いと思います。ですが、それぞれの特技を活かし実行するクリエイティブな想いが集まっています。中からみると多様性に溢れているのです。このハードルを越えて街に人を呼び込むイベントや情報を、このgreen drinks下北沢の出会いの場から生まれることを期待し、今回の会は終了です。